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高知の屋台餃子「安兵衛」と路面店「いまどき安兵衛」で知るパリパリ皮と熱々スープの二つの喜び

この情報は2026年9月27日時点の情報となります。

高知の夜の〆は、やっぱり安兵衛の餃子です

高知の夜といえば、屋台の明かりの下で食べる小ぶりで香ばしい餃子。それは、ここ「安兵衛」の餃子なんです。

何度この屋台で締め餃子と締めビールをしたことか、と思い返すほど。他でしっかり夕食を食べていても、あのパリンパリンとした皮の小さな餃子は最強の誘惑で、一人前なんてペロリと食べてしまう。夜空の下で食べるその瞬間、私は完全に餃子の虜なんです。

安兵衛といえば高知市内の屋台が有名ですが、実はグルメの鉄板スポット「ひろめ市場」や路面店の「いまどき安兵衛」という店舗も展開しているんです。ところが、高知に通って十年。私はずっと屋台ばかりに足を運んでいました。そして今回、初めて「いまどき安兵衛」の扉をくぐった瞬間、なぜもっと早く来なかったのかと、猛省したのです。そこには、屋台では決して味わえない、また別の喜びが待っていたんですから。

路面店「いまどき安兵衛」で発見する、焼き餃子と水餃子の二つの喜び

いまどき安兵衛の焼き餃子と水餃子
屋台の味を継承しながら、新しい楽しみを提供する「いまどき安兵衛」

メニューを開いた瞬間、私は目を疑いました。焼き餃子だけでなく、水餃子もあるではないか。店内を見回すと、多くのお客さんが焼きと水、両方を堪能している様子。「よし、まずは両方いってみよう」と決めたんです。

慣れ親しんだ焼き餃子が運ばれてきました。食べた瞬間、あの懐かしいパリンパリンとした皮が歯を責める喜びが蘇ります。食欲の背中を力強く押されるように、ぐんとお腹が空いてくるんです。店長の徳弘栄作さんに聞けば、焼き手はもう17年焼いているのだという。熟練焼餃子師による、確かな仕事が感じられます。

焼き餃子には三つの喜びがあると、私は思うんです。カリッとした皮に歯を当てる喜び、しなやかな皮を噛み締める喜び、そしてよく練られた肉の餡を食べる喜び。ところが水餃子は、これがまた違う世界を見せてくれるんです。

水餃子が来た瞬間、湯気がふわりと立ち上ります。箸で持ち上げると、唇を惑わす皮の滑らかさが指に伝わる。そっと口に入れて噛むと、もちっと歯にめり込む皮のたくましさが印象的。そして、その向こうから餡からにじみ出る熱々のスープが、舌に優しく流れ込む。よく練られた餡のうまみが、スープとともに体中に広がる喜び。これは焼きでは決して味わえない、四つ目の喜びなんです。

基本はスープをつけて食べるのが作法ですが、私は餃子のタレにつける方が好きだな。タレの塩辛さが、皮とスープの優しさとぶつかって、新しい味わいが生まれるんです。

【記事】屋台餃子にレモン酎ハイ!食べ過ぎ飲み過ぎ必至の超人気店「いまどき安兵衛」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記 | 【高知県公式】高知県のあれこれ深掘りサイト「高知家の◯◯」

アクセス・営業情報

名称いまどき安兵衛
住所高知県高知市はりまや町2丁目7−6
営業時間16時00分~0時00分
定休日火
電話088-885-7762

 

屋台の熟練職人技を感じる、パリンパリンの秘密と「連夜行列」の理由

屋台安兵衛の調理風景と行列
昭和48年から続く屋台「安兵衛」。連夜の行列は、職人技の結晶

屋台安兵衛は、昭和48年、初代が屋台を開いたのが始まり。たっぷりの油で小さい餃子を、一旦スープを入れて蒸し、そして揚げ焼きするという、他にはない珍しいスタイルで人気となったんです。この蒸して揚げるという独特の調理法が、あのパリンパリンを生み出す秘密なんですね。

ところが先代が亡くなった時、レシピが残されていなかったという。息子さんや従業員が味の記憶を辿り、再現したのが今の安兵衛の餃子。小さき餃子に秘めた、何十年もの試行錯誤の歴史があるんです。

餃子は、作り置きせず、常に包んでいるのだそう。見学していると、その手の速さに驚かされます。測ってみると、一つわずか3秒で包んでいるんです。この手練れになるには、一年かかるのだという。さらに焼き手も、屋台という特殊な環境での熟練が必要。湿度や温度、季節によって水分などが常に変化するため、最初の蒸し加減、その時間を感じるのが難しいのだとか。

一見簡単なようで、実は包みと焼きという二つの技があってこそ、この美味しさは生まれるんですね。連夜の行列も、そうした職人の気概と技術への絶対的な信頼があるからこそ。小さい餃子は、皮が薄く、パリンパリン。包みたて極薄皮を、たっぷりの油で揚げ焼きするから、パリパリサクサク。このパリンパリンがくせになって、いくらでも食べられてしまう危険な奴なんですよ。

【記事】「連夜行列、日本屈指の人気屋台餃子の秘密とは。」食べ歩きスト・マッキー牧元の高知満腹日記 | 【高知県公式】高知県のあれこれ深掘りサイト「高知家の◯◯」

 

路面店だからこそ味わえる、レモン酎ハイと夜の〆文化の違い

「いまどき安兵衛」で屋台と一番違うのは、レモン酎ハイがあることなんです。グラスに焼酎と蜂蜜レモンを入れて凍らせておき、そこにソーダを注いで底の氷焼酎と混ぜ、レモンを絞る。冷え冷えの爽快感は、飲みやすさを産む。つまり、実に危険なんだな(笑)。何杯でも飲めてしまうんです。

また、屋台にはない様々な料理があるのも大きな魅力。ピーマンとごま油、塩昆布による「切ピーマン」、茹でたニラをごま油で和え、生の黄身を乗せた「ニラたまご」、高知の竹輪はよく伸びることを証明する、キュウリとちくわが完全に密着した「ちくきゅう」などが並びます。どれも酒を呼ぶ、軽いつまみばかりだから、つい頼みすぎちゃうんですよね。

さらにおすすめは、自分で潰して食べる「ポテトサラダ」。

私は何を隠そう「ポテトサラダ学会会長」であるから、今まで様々なポテトサラダを食べてきました。小さなすり鉢とすりこぎ棒で潰していく。どこまでつぶすかは好み、というのがいいですね。また、ゆで卵のピクルスや枝豆を頼んで、入れてもおいしいんです。

最後に屋台と違うのは、屋台には酔っ払ってからいくが、ここは一軒目だということなんです。冷静にじっくり飲むことができるんですね。だから屋台のように、やたら焼餃子を盲信的に追加はしません。ところが、レモン酎ハイを飲み過ぎると、やはり焼餃子追加し、あれもこれもと頼んじゃうのが、困ったもんです。

高知の食文化に息づく、小さな餃子の大きな価値

高知の夜の文化を象徴する「安兵衛」の餃子。屋台で飲み直した後の〆として、また路面店で冷静に味わうラストオーダーとして。場所は違えど、そこには昭和48年から続く、職人たちの手と心が込められているんです。

パリンパリンとした焼き餃子と、滑らかで温かい水餃子。二つの喜びを知った時、私は思いました。高知の食文化の豊かさは、こうした小さな工夫と、それを支える人の情熱にあるんだな、と。次に高知を訪れたら、屋台と路面店の両方で、この二つの世界に浸ろう。そう心に決めたんです。

この記事を書いた人
マッキー牧元

マッキー牧元

食ジャーナリスト・タベアルキスト

1955年東京生まれ。「味の手帖」取締役編集顧問。国内外で年間600食以上を食べ歩き、立ち食いそばから高級割烹まで幅広いジャンルを取材・執筆。『dancyu』『東京カレンダー』などへの寄稿、テレビ出演、料理開発や東京の「虎ノ門ヒルズ」にある飲食店街「虎ノ門横丁」のプロデュースなど多方面で活躍。高知の食文化に造詣が深く、「高知家の〇〇」では高知グルメコラムを300本以上執筆している。