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全日本大学駅伝 出場回数全国一!「京都産業大学陸上部」が合宿地に高知県を選ぶ理由

       

この情報は2022年3月14日時点の情報となります。

    関西の大学の名門陸上競技部といえば、真っ先に名前が挙がるのが京都産業大学です。男子の全国大会である「全日本大学駅伝対校選手権大会」には48回も出場し、これは全国でも1位です。

    この結果を出すために、冬の沖縄県、夏の北海道などなど、その季節ごとに最適な合宿地を選び、練習に励んできました。そして、春の合宿地は高知県です。

    その京都産業大学陸上競技部で、男子駅伝チームを指導する妹尾(せのお)誠・男子長距離監督に、合宿に対する考え方や、合宿地に高知県を選ぶ理由などをお聞きしてきました。

    全国大会の全日本大学駅伝に53回中48回出場の名門陸上競技部

    ─京都産業大学陸上部について教えてください。

    妹尾さん:1965年、大学の開学と同時に陸上部もできました。「長距離」「投擲(とうてき)」「短距離・障害・跳躍」の3つの部門で構成されています。これら全部を合わせると男女約110人の部員がいます。

    私が監督をしているのは、男子の長距離です。私たちにとって、もっとも大事な大会をあえてひとつだけ挙げると、「全日本大学駅伝対校選手権大会(伊勢路駅伝)」です。毎年11月の第1日曜日に開かれ、愛知県名古屋市の熱田神宮から三重県伊勢市の伊勢神宮まで、全8区間106.8キロメートルで襷(たすき)をつなぎます。

    妹尾さん:よく知られている「箱根駅伝」は、関東学生陸上競技連盟に加盟している大学だけが参加できます。大学駅伝の全国大会といえば、伊勢路駅伝の方なんですよ。

    伊勢路駅伝は毎年6月に選考会があります。各大学10人が1万メートルを走って、その合計タイムで競い、関西からは上位3校だけが出場できます。1970年に始まり、昨年が53回大会でした。そのうち48回まで出場しています。ただ、昨年(2021年)は選考会で4位に終わり、出場を逃しました。今は、雪辱を目指しているところです。

    暖かさと交通の便のよさを兼ね備えた高知県

    ─春の合宿の目的を教えてください。

    妹尾さん:陸上長距離は、春から秋のトラックシーズンと冬の長距離シーズンに1年が分かれます。

    駅伝やマラソンなどが行われるのが長距離シーズンです。一般道を走るので、ロードシーズンとも呼びます。大学生に限っていえば、メインは駅伝です。

    トラックシーズンの競技は、距離でいえば5千メートルや1万メートルで、競技場の中の400メートルトラックを周回します。春の時期の合宿では当然のことながら、トラックシーズンを念頭に置いた練習が主になります。

    ─トラックシーズンと長距離シーズンでは、練習方法が異なるわけですね。

    妹尾さん:ロードでは硬いアスファルト道への対応が必要なのに対し、トラックでは少し弾む走路への対応が必要になります。また、駅伝ではチームプレイが問われるのに対し、トラックで行われるのは個人競技です。春の合宿でも、選手一人一人の記録の底上げが大きな課題になります。

    ─その春の合宿地に高知県を選んでいる理由は何でしょうか?

    妹尾さん:まずは、すぐそばを黒潮が流れていることもあって温暖なことですね。もちろん、暖かさだけならば、沖縄や九州南部もあります。今年は新型コロナウイルス感染症の影響で取りやめになりましたが、実際に毎年2月には沖縄などで合宿をしています。ただ、京都からこれだけ近くて、しかも温暖なところは他にはありません。沖縄ほどには暖かくはないとはいえ、厳冬期でなければ十分です。

    今後の展開について

    ─名門陸上競技部であり続けるには、何が必要なのでしょうか?

    妹尾さん:とにもかくにも、伊勢路駅伝などで結果を残し続けることでしょう。その結果を見て、有望な選手も集まってくるし、それでまた結果も残せます。好循環というやつですよね。

    関東に有望選手が集まりがちなのは確かです。あちらには箱根駅伝があるのも影響しています。「箱根駅伝を走りたい」と思う選手が多いのは私も理解できます。

    しかし、関東以外の大学で地道な努力が実を結んでいる例もあります。たとえば、愛知県の名城大学の女子チームです。環境としてはうちと変わらないので、参考にしないといけないでしょう。

    高知県への想い

    ─高知県での合宿には何を期待しますか?

    妹尾さん:京産大は私の母校で、1984年の卒業です。ただ、昨年春に男子長距離監督として戻ってきたばかりで、まだ高知県にも行っておらず春の合宿は経験していませんので、「高知県はどんなところなんだろう」と、とても気になるところです。

    とはいえ、練習場所の高知県立春野総合運動公園には期待しています。プロ野球の埼玉西武ライオンズのほか、サッカーのJリーグのチームにもキャンプでの練習場所に選ぶところがあるぐらいです。早く見たいですね。

    私が戻る前ですが、前年までは高知県内のほかの場所で練習していました。そこのトラックは、レンガなどを粉砕して敷き詰めたアンツーカーでした。雨などでぬれているとやや滑りやすいなどの欠点があります。春野総合運動公園の陸上競技場のトラックは、合成ゴムで作られ、雨天にも対応できるオールウエザーです。練習のパフォーマンスも上がるんじゃないかな。

    この正月の第98回箱根駅伝を大会新記録で優勝したばかりの青山学院大学の陸上部も先日、初めて高知県で合宿をし、春野総合運動公園を練習会場にしていました。同じトラックを走ることで、他地域の強豪校の存在を身近に感じることができ、選手にもいい刺激になるはずです。

    団体情報

    京都産業大学 陸上競技部 男子長距離

    活動内容:5千メートル走、1万メートル走、駅伝など

    男子長距離監督:妹尾誠

    設立:1965年(陸上競技部)

    住所:京都府京都市北区上賀茂本山

    URL:http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/circle/trackandfield/

    電話番号:075-711-3030