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伊勢海老より美味いと漁師が言う「足袋エビ」でいただく絶品パスタ 美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

この情報は2021年11月28日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は、高知市にお店を構える、高知愛にあふれる食材と料理を提供する「ととや」を訪ねました。

「足袋エビ」をご存知か?

伊勢海老より美味しいと漁師が言うエビである。

高知県内だけで食べられ、県外には出ていないという。

その希少な足袋エビをパスタでいただいた。

おお、これはウチワエビではないか。

体長15~20cm程の、平たくウチワのような形をしているエビである。

頭胸甲の部分の縁にのこぎり状の切れ込みが沢山あり、エイリアンのような姿でもある。

見た目は奇怪だが、これがうまい。

いただいたのは、高知市内にある「ととや」だった。

ご夫婦お二人でやられている店で、高知の食材を使った洋風料理で評判を呼んでいる店である。

「足袋エビのパスタ」とあるのを見て、速攻頼んでしまった。

登場したパスタは、アサリやトマトなどと合わせてあり、縦二つに割られた足袋エビは、小さめの伊勢海老のようである。

おおっ。

エビを食べて思わず叫んだ。

伊勢海老よりマッチョで、身を噛みしめる食感がいい。

噛んでいくと甘みがぐんぐん滲み出す。

足袋エビを噛み締めながらパスタを食べれば、足袋エビのミソ、あさりの旨味、トマトの旨味がパスタに絡んでいて、顔が崩れた。

足袋エビの旬は、10月から11月末だというから、まさに今である。

だがこんなに美味しいのに、甲殻類をあまり食べる習慣のない高知県人は頼むことが少ないという。

ならば我々が食べよう。

このように「ととや」には、高知愛に富んだ料理が溢れている

前菜として頼んだ「ながれこ(トコブシ)のフリット」もそうである。

茹でて食べることがほとんどだが、こうして軽い衣でサクッと揚げられたながれこは、甘みを膨らまし、衣の軽やかな食感と肉体的な貝の食感があって、酒が恋しくなる。

添えられた草類のフリット、すいばの酸味、きんじそうの苦味と香り、よもぎの青々しい香りもいい。

「四万十鶏の唐揚げ  プロヴァンス風」も工夫がある。

 皮下の脂が少ない四万十鶏は、唐揚げ自体が美味しいが、味付けがまたにくい。

バターでカリカリに揚げたニンニクとトマトのみじん切りをのせ、そこにアーモンドとバルサミコ、白ワインを煮詰めたものがかけてある。

そのコク深い甘酸っぱさが、四万十鶏の肉汁をさらに持ち上げる。

これを迎え撃つのは、オリジナルの「柚子サワー」だろう。

大豊町の実生の柚子と日本みつばちのハチミツ、種子島の粗糖で作った特製サワーである。

実生だけあって、柚子の香りが深い。

しぶといというか、心を掴む香りである

そこに日本みつばちのまろやかな甘みと粗糖のコクが加わるのだからたまらない。

虜になるサワーなのである。

盛り上がってきた。

最後には、「四万十豚の煮込み」を頼んだ。

共に煮込んだ野菜の甘みが煮汁に生きていて、穏やかなほっこりとした味わいに、目が細くなる。

上に乗せられたマッシュ里芋の甘みも豚脂の甘い香りと合う。

すべてがシェフの温和な性格を投影しているような、心休まる料理であった。

もし行かれるなら、アラカルトもいいが、3,900円のコースがおすすめである。

何とこのお値段で、ヴォリュームたっぷりな料理が7〜8品出されるのである。

これもまた、シェフの誠実さの現れである。

高知県高知市はりまや町2丁目「ととや」にて

 

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この記事を書いた人
マッキー牧元

マッキー牧元

食ジャーナリスト・タベアルキスト

1955年東京生まれ。「味の手帖」取締役編集顧問。国内外で年間600食以上を食べ歩き、立ち食いそばから高級割烹まで幅広いジャンルを取材・執筆。『dancyu』『東京カレンダー』などへの寄稿、テレビ出演、料理開発や東京の「虎ノ門ヒルズ」にある飲食店街「虎ノ門横丁」のプロデュースなど多方面で活躍。高知の食文化に造詣が深く、「高知家の〇〇」では高知グルメコラムを300本以上執筆している。