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高知県梼原町と友好都市交流30周年の節目「兵庫県西宮市」

       

この情報は2024年9月5日時点の情報となります。

町面積の91%が森林であり、標高1455mにもなる雄大な四国カルスト高原に抱かれた高知県梼原町は、雲の上のまちとも呼ばれる自然豊かな観光地。その梼原町と友好都市関係にあるのが、兵庫県西宮市です。

2021年度は、二つのまちが友好都市として交流を始めるようになって30周年の節目でした。本来であれば、西宮市を梼原町の関係者が訪ねて30周年を祝う交流事業をするはずでしたが、コロナ禍によって断念。代わりに、双方のまちのキャラクターを派遣して交流しています。

西宮市と梼原町がどのような経緯で友好都市になったのか、現在はどのような交流をしているのかを、西宮市役所秘書課の山中さんと西宮市立中央図書館の舩附(ふなつき)さんからお話を伺いました。

友好都市になるきっかけは国土庁の「リフレッシュふるさと推進モデル事業」

画像提供元:西宮市役所

—どのような経緯で梼原町と友好都市の関係になったのでしょうか?

山中さん:1984年に梼原町が国土庁の「リフレッシュふるさと推進モデル事業」の指定を受けました。そこで、梼原町の方々が「もっと人に来てもらうために、どこの都市と提携したらいいのか?」と考えていたところ、在阪梼原ふる里会から「西宮市はどうだろうか?」と提案があったようです。

—それからすぐに友好都市として提携したのですか?

山中さん:正式に提携が決定したのは、1991年3月24日です。提案を受けてから、しばらく後のことです。その間、年に一度催される「にしのみや市民祭り」で梼原町の国指定重要無形民俗文化財「津野山神楽」に参加いただいたり、反対に西宮市から「梼原町 高原まつり」に参加したりと交流を重ねていました。その交流が盛り上がり、1991年に友好都市になった経緯があります。

—提携前から交流が盛り上がっていたんですね! これまでどのような交流があったのでしょうか?

山中さん:少し特殊な事例になるかとは思うのですが、梼原町の職員が西宮市に、西宮市の職員が梼原町にそれぞれのまちの職員として1年間働く、職員派遣交流を平成14年から10年間ほど行っていました。

—短期移住みたいなイメージですか?

山中さん:そうですね。実際にそのまちで暮らしながら、仕事をすることで職員同士が心を通わせる交流を行っていたと思います。実際に梼原町で働いた本市職員の話を聞くと四国カルストマラソン大会に出場したり、よさこい踊りを地元の方と楽しんだりして、すごく良い思い出になったと話してくれました。

先日、梼原町職員の方が30周年の記念の展示を行うために来西された時に、かつて梼原町に派遣されていた職員数名と当時の話をして「懐かしい!」と再会を喜んでいましたね。その際に、梼原町の森づくりを行っている「地域おこし協力隊」が伐採した梼原町の木材で作ったスプーンを持ってきてくださいました。

これらのスプーンは、「皆さんの夢をすくい、心を潤す救いとなれば」といった願いを込めて作ってくださったとのことで、すごく粋なことをしてくれるなと嬉しかったですね。

—素敵なプレゼントですね。ちなみに、30周年という節目でどんな交流があったのでしょうか?

山中さん:今年度は、梼原町の方々を西宮市にお迎えして記念事業を行う予定で準備をしていたんです。ただ、このようなご時世なので、中止せざるを得ない形となってしまいました。

とはいえ、全く交流がないのはさみしいなということで、西宮市のキャラクター「みやたん」と梼原町の雲の上の図書館のマスコットキャラクター「くもっぴー」を互いに派遣して交流することになりました。

写真左が、雲の上の図書館のマスコットキャラクター「くもっぴー」写真右が、西宮市のキャラクター「みやたん」

山中さん:実はこのキャラクター交流がきっかけで判明したのですが、「みやたん」と「くもっぴー」の生みの親のデザイナーさんは、西宮在住でハッピークリエイターのたかい よしかずさんだったんです。顔をみていただいたらそっくりでしょ! さらにキャラクター交流が盛り上がりましたね。コロナ禍だからこそ、思ってもみなかったお宝発見!のような友好交流のきっかけをいただけたのかなと思います。

舩附さん:キャラクター交流によって、みやたんが私たちを代表して、梼原町でおもてなしを受けていることは、嬉しく感じますね。

【記事】魅力的なキャラクターを次々とデザイン 人や企業にとどまらず地方も幸せにする ー大阪市 ハッピークリエイター・たかいよしかずー

知るきっかけを作り 双方のまちの絆を強くしていきたい

—友好都市間で移住や観光、企業誘致に関連した制度はありますか?

山中さん:公にはないですね。ただ、今年は西宮市でEWC環境パネル展を開催した際に、梼原町からの発表作品という形で「環境と健康に配慮した体験型木造モデル住宅」を紹介するパネルを展示してもらいました。  

※EWCとは、「地球ウォッチングクラブ・にしのみや」の略称。パネル展では、環境のトピックスを中心とした子どもから大人まで手づくりの作品が展示される。

梼原町は、風力発電があったりと環境の施策にも力を入れているまち。西宮市民の皆さんにも環境に優しい生活がどのようなものか知ってもらいたいと思い、梼原町さんのご協力を得て作品展示をしていただきました。

直接、移住に結びつくわけではないですが、展示を通して梼原町でのさまざまな取り組みを知ることで、梼原町での生活に興味を持ってもらいやすくなると思っています。

—こういったきっかけで人の行き来が活発になると、友好都市間も盛り上がりますよね。

山中さん:そうですね。やっぱり、行政が主催のイベント開催のときだけではなく、双方のまちの住民が普段から友好都市に興味を持っていただけるようにしたいなと思います。今は梼原町までは高速道路を利用すれば、家族で1泊2日とかで旅行できたりするので、、ちょうど良いんじゃないかなと。

ただ、もっと私たちから発信していかないと、梼原町の魅力を知っていただく機会はまだまだ少ないです。そのきっかけを作るためにも、それぞれのまちがお互いの良さを発信していきたいですね。そして、西宮市民が梼原町へ、梼原町民が西宮市へ自ら行ってみたいと思えるようになれれば、もっと絆が強くなると思います。

人と人との繋がり 思いやりが生まれる都市交流にしたい

梼原町「雲の上の図書館」では、西宮市を紹介するコーナーが誕生!(画像提供:梼原町役場)

—梼原町に対してどんな思いを持って、これからの交流をしていきたいと考えられていますか?

山中さん:梼原町ぼ方には、西宮からいろんな人に来てもらって、梼原町の資源である森の木に触れたり、活用したりしてほしいという気持ちがあると思うんです。それには、私たち西宮市が、梼原町のことを知る機会を少しでも多く作っていかなければなりません。今回、梼原町の雲の上の図書館においても、30周年記念として西宮市を紹介するコーナーを設けていただいていますので、西宮市においても梼原町さんからいただいたスプーンなどを活用して、少しでも梼原町に思いを馳せてもらえるようなきっかけ作りをしたいです。

舩附さん:私は、文化の違いを知れたらもっと梼原町に興味が湧いて、親近感が増していくと思います。特に子どもたちは誰かが梼原町を紹介しないと、何歳になっても知らないまま歳を重ねることになります。だからこそ、何歳でも、誰でも来られる図書館で梼原町を紹介できれば、子どもにとっても大人にとっても良い機会になるのかなと思います。

—こういった都市交流で知るきっかけを作ることは大切なんだなと感じます。

山中さん:たぶん、子どもたちも写真や本を見たり読んだりすることで、自分が住んでいないまちのことについて、いろいろと想像が膨らんでくるのではないかと。それらを通して、自分の住んでいるまち以外の人の生活に対しても優しい思いやりが育まれるんじゃないかなと思います。

梼原町と西宮市の都市交流が人と人との繋がりとなり、あたたかい心が育つところに都市交流の意義を見いだせるようにしていきたいです。

施設情報

画像提供:西宮市役所

西宮市役所 秘書課 

住所:〒662-8567 兵庫県西宮市六湛寺町10番3号

問い合わせ先:0798-35-3459

HP:https://www.nishi.or.jp/