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【高知グルメ】メニューごとに異なる特製ダレに絡めて仕上げた焼肉屋さんランチ「焼肉はりまや」ほっとこうちおすすめ情報
この情報は2022年2月13日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹にとんかつ、フレンチにエスニック、そしてスイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす「美食おじさん」ことフードジャーナリストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する高知家の〇〇の人気連載記事「高知満腹日記」。今回は、あまりのこだわりがゆえに、マッキーさんから「変態」と呼ばれるシェフがいるイタリアン、高知市の「トラットリア トロドーロ」を訪ねてきました。
朝起きると、まだあの温かみのある味の余韻が残っていた。
昨日食べた、「トラットリア トロドーロ」の変態シェフが作る「リボッリータ」の美味しさである。
まだまだ食べたりないぞ、と胃袋が言っている。ならば、他の料理も食べなくてはいけない。
そして、あの山本シェフの変態ぶりをもう一度、確かめなくてはいけない。
そう勝手に理由を付けて、二日連続で出かけた。
営業確認の電話をすると、「どうぞお待ちしています」と、電話口で笑っている。
さあ、今日は何を食べようか。
白ワインを頼み、アンティパスト、前菜から楽しもう。
【記事】誰も頼まないイタリアン伝統のスープを作り続ける愛すべき変態シェフがいる店「トラットリア トロドーロ」
「仁淀川産マッシュルームとルッコラのサラダ」は、マッシュルームの香りが高い。
柔らかく、ほのかに甘いマッシュルームの香りが、胡麻のようなルッコラの香りと出会って、食欲を刺激する。
二品目は「イカと青菜のトスカーナ風煮込み」である。
トスカーナやリグーリア地方のイカを煮込んだ料理で、黒に近い焦げ茶色をした無骨な料理が現れた。
ああ、一口食べて唸る。
イカの濃密な旨味が汁ににじみ出ていて、ほうれん草の甘味と合う。
添えられたパンにつけて食べ、ワインを飲めば、もう止まりません。
ニンニクで炒めた輪切りイカを、赤ワインと水だけで煮込み、ほうれん草を加えたのだという。
うむ、これはイカだが赤ワインにも会うぞと、キャンティを頼む。
すると「これも食べてください」とシェフが何やら持ってきた。
「花ズッキーニのフリット 栗ペースト詰め」である。
ズッキーニの幼い甘みが、揚げることによって生かされている。
そして花の部分に詰められた栗ペーストが甘く舌にしなだれ、思わず笑顔になった。
次は、「宿毛豚のサルシッチャ(ソーセージ)」。
ハーブの香りがいい。
宿毛豚は、餌に高知の地酒である「美丈夫」の酒粕を混ぜて食べさせているそうで、そうすると肉が硬くなりにくいのだという。
ロースとバラを8対2で混ぜ、セージ、ローズマリー、フェンネルで風味付けをしたそうである。
再び豆が食べたくなり、今度は「エンドウ豆のストゥファート(煮込み)」をお願いした。
茹でて、チーズとオイルをかけただけの料理だが、色艶よく、豆の甘い香りに満ちて、幸せな気分を運んでくる。
この豆料理で勢いがついた。
さらなる豆料理をと、「仔牛のトリッパと白インゲン豆のフィレンツェ風煮込み」を注文する。
優しい味付けで、クニュリと弾むトリッパと、ほろりと甘く崩れていくシロインゲン豆が、仲睦まじい両想いを見せている。
いいなあ、こういう煮込み料理。
そしてパスタは、シェフのお勧め、「イタリア産黒トリュフと自家製リコッタチーズを詰めた栗のラビオリ」。
ううむ、ここはトスカーナか。
黒トリュフの妖艶な香りとチーズのコクが入り混じり、陶然となる。
時間が緩んで遅くなっていくような、優雅な時間である。
最後のドルチェは、「栗の粉のクレープとローズマリーのジェラート」をいただく。
素朴さの中に栗のクリームのあたたかさがあって、心が温められる。
添えた香り高いローズマリーのジェラートもいい。
ドルチェの余韻に浸りながらエスプレッソを飲んでいると、彼が何やらプレートを持ってきて見せてくれた。
「これもらったんです」という金のプレートには、店名と「エクセレンスイタリアン」と書かれている。
何でも、イタリアの食べログのようなもので、優れた料理を出す店に贈られるのだという。
店にイタリア人が来て食べたわけでは無く、おそらく贈った方も高知の位置もわかってないだろう。
しかし、我々が海外の寿司屋の写真を見て良し悪しを判断できるように、料理の写真を見ただけで、ここが「本物」だと理解したのだろう。
そのことがシェフは嬉しくてたまらないらしく、小学生が初めて一等賞をもらったような、くったくのない顔で笑うのだった。
高知県高知市菜園場町4丁目「トラットリア トロドーロ」にて