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誰も頼まないイタリアン伝統のスープを作り続ける愛すべき変態シェフがいる店「トラットリア トロドーロ」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

この情報は2022年2月6日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹にとんかつ、フレンチにエスニック、そしてスイーツから居酒屋まで、年間700食を食べ歩き、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす「美食おじさん」ことフードジャーナリストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する高知家の〇〇の人気連載記事「高知満腹日記」。今回は、3年間、誰も頼まないイタリア伝統のスープを作り続ける変態シェフのいるイタリアン「トラットリア トロドーロ」を紹介します。

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以前、ここであげた、高知市内の「トロドーロ」というイタリア料理店のことは覚えておられるだろうか。

そう。頼む人がいないのに、豆のスープを作り続けてメニューに載せている変態シェフの店です。

【記事】また一人、高知の愛すべき変態イタリア料理職人を見つけたの巻。トラットリア トロドーロ」

記事が公開されてからすぐ、店は豆のスープを頼む人で混雑し、売り切れ連続となったということですが、3日くらいで元に戻ってしまったといいます。

その話を聞き、まだ変態ぶりを発揮しているのかを確かめに、再び訪れました。

ランチのメニュー見ると、パスタ類に混ざって「リボッリータ」があるじゃないですか。

「リボッリータ」とは、白インゲン豆や黒キャベツ、香味野菜、パンなどを煮込んだ野菜がたっぷり入ったイタリア・トスカーナ地方の伝統的な食べるスープです。

『リ』は再び、『ボッリータ』は煮込む、という意味があるように、家にある残り物の野菜と硬くなったパンを入れて、煮込む料理です。

イタリア料理通には人気で、東京の北イタリア料理の店でもたまに見かけますが、素朴な料理ゆえに、頼む人が少ない。

そんな料理を昼からメニューに載せている店は、さすがに東京でもありません。

しかもパスタ料理に混ざって書かれているため、「リボッリータ(パスタではありません)」と但し書きが書かれている。

そこで山本シェフに聞きました。

「ランチでこれ、頼む人いるの?」

即答でした。

「いません」。

「じゃあ夜に、たまに頼む人がいるんだ」。

「いません」。

「この器もリボッリータ用に買ったんですが、今まで誰も頼んでいただけていません」。

誰も頼む人がいないのに、自分が作りたい、伝えたい料理を作り続ける。

しかも、もう3年も作り続けているという。

堂々たる変態です。人の良い変態です。

さらに彼はいいました。

「リボッリータ用に、トスカーナのパンも焼いています」。

もう一度言おう。堂々たる変態です。

なぜ作り続けるのか聞きました。すると彼はいう。

「イタリアには、ピッツァ協会と同じような、正統リボッリータを作る店を認定する協会があって、そこの認定をいつか取りたいと思っています」。

だから夢みる変態は、リボッリータを作り続けているのですね。

毎日、まかない飯となっても、作り続けるのですね。

早速注文して、食べました。

優しい。実に優しい。

豆の甘みと野菜の甘み、そしてパンの甘味が境界線なく一つとなって、丸く丸く、舌を撫でる。

イタリア人でもないのに、思わず「懐かしい」と言いたくなる。

力強さもあるのに、毎日食べても飽きない味です。

よく見れば、この料理には欠かせない黒キャベツ(カーボエネロ)が入って、その甘みが全体を押し上げて、美味しさを膨らませている。

「へえ、カーボエネロが入っているんだ」というと、

「そこをわかってくれるところが嬉しい」と、顔を崩しました。

リボッリータのおいしさに敬意を評して、豆づくしといってみよう。

断面が四角いロングパスタのキタッラと魚介とヒヨコ豆のラグーソース

そして「ウチェレット 白いんげん豆のトマト煮込み」です。

豆への愛に満ちた料理で、ほっこりと心を温めてくれる。

冬には欠かせない料理ですな。

これは明日の昼も来なきゃ。

以下次号へ続く。

 高知県高知市菜園場町4丁目「トラットリア トロドーロ」にて

 

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