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高知県最西端の島・沖の島での「炭窯」「炭焼き」復活ストーリー

       

この情報は2021年6月21日時点の情報となります。

    高知県の最西端、宿毛市(すくもし)の沖合に浮かぶ沖の島。
    この島で、一時消失していた「炭焼き」を復活させようと取り組んだ様子をレポートするぞ。

    木炭は、かつては料理や暖房の燃料として生活の必需品でした。

    そのため、炭作り(炭焼き)は全国的に盛んに行われ、高知県の最西部に位置する宿毛市(すくもし)のさらに南西の沖合に浮かぶ離島「沖の島」 でも同様に、炭作りが行われていました。

    その後、電気やガスなど燃料需給の状況が改善すると炭の需要は低くなり、炭焼きも衰退していきましたが、今もその名残があり、島の山の中に入ると約 30 箇所 以上もの炭窯の跡を見ることができます。

    2019年12月、沖の島で風化してしまった伝統産業を復活させようと、「集落活動センター妹背家(いもせや)」のメンバーが 炭窯をゼロから作る取組みをスタートさせました。

    赤土やれんが等、材料の大半は島内で調達し、直径約2メートル、 高さ約1.5メートルのドーム状の窯を2021年3月末に完成させました。

    そして、今年4月には初めての炭焼き、収穫を行いました。

    今回は、その炭窯作りの様子を順を追ってご紹介します。

     

    木が生い茂る土地を開墾するところからスタート

    沖の島地域では、人口減少・少子高齢化が進み、昔は田畑だったところが手が付けられなくなり、山に戻ってしまっているような土地が多くなっています。

    まずは、そのような土地を整備することから着手しました。

    生い茂った木々や暖竹(だんちく)と呼ばれる植物を刈り取っていきます。

    植物を取り除いたら、炭窯の底になる部分を重機を使って掘っていきます。

    掘った部分に小石を敷き詰め、

    赤土で埋めていきます。

    この時、炭焼きの過程で原木から水分が流れ出るため、窯底に排水管を埋め込みます。

    次は外壁作りです。

    スプレーで書いた寸法をもとに、炭窯の外壁の骨格となる石を積んでいきます。

    このような形で積み終えたら、次は屋根づくり。

    本来は炭窯の天井が完成してから屋根掛けをしますが、梅雨に入り、せっかく作った今までの工程が雨で痛んでしまう可能性があるのでこの段階で屋根を掛け始めます。

    炭窯の屋根掛けが完成しました。

    ついに炭窯の本体に着手。

    これは、炭窯の内壁を赤土で敷き詰める為の型枠を作っている様子です。円形の型枠を作っていきます。

    型枠ができたら、煙突になる部分を耐火レンガで組みます。

    それから、隙間を赤土で埋めたら、

    いよいよ炭窯の中に炭の原料となる木を敷き詰めていきます。

    焚き口に近い前の方が熱が高いため、原木が灰にな ってしまう傾向にあります。そのため、原木の置き方に工夫する必要があるのです。

    原木を詰め終わり、細かい隙間を塞いで綺麗な円形のドーム天井にする為、小枝を乗せて いきます。

    原木や小枝を乗せ終ったら、天井ドームになる赤土を被せていきます。まずは、隙間から土が漏れ落ちないように畳表を敷いていきます。

    畳表の上に、炭窯のドーム天井になる赤土を被せて叩き固めていきます。

    少し光沢が出るくらいまで、叩き固めたら完成です。

    完成した窯の前で記念撮影。炭窯の名称は『妹背窯(いもせがま)』です。

    そして、初めての炭焼きです。

    火入れをするとすぐに、白い煙がモクモクと上がってきます。

    ここからが長丁場。どんどん火を焚きながら、温度をあげていきます。

    夜が更けてきても、交代で見守ります。

    火入れから数時間たち、煙の色が白から黄色っぽく変わってきたところで、焚き口と煙突を閉じて密閉します。

    このまま熱が冷めるまで放置です。

    ついに、ドキドキの釜を開ける瞬間です。

    完成した炭が出てきました。

    炭窯を開けて中身を取り出したところ、ほとんど原木の状態で 炭になっていたのは一部分。

    原因としては、恐らく炭焼き時間が足りなかったのだろうとのことでした。

    一般的には20時間から5日間程かかるところ、今回は24時間焼き続けました。この量であれば、2日から3日間ほど焼くのが適当だったようです。

    それでも、約100kg程の収穫量。

    炭窯づくりに中心的に関わった地域おこし協力隊の中垣さんは、「これからは徐々に品質を向上させて、沖の島集落活動センター妹背家と沖の島地域の地場産業に育てていくことを目指していきます。」と意気込みを語ってくれました。

    品質向上とともに、炭窯の見学や炭焼きの体験型観光にも取り組みたいと話す中垣さん。高知県の西の端、宿毛市沖の島で復活した炭作りが、近い未来、人気の地場産業となる日がくるかもしれません。

     

     

    沖の島集落活動センター妹背家 地域部会 島の駅いもせや

    定休日:火曜日
    営業時間:午後2時30分~4時
    電話:0880-69-1033
    場所:高知県宿毛市沖の島町母島港

    沖の島集落活動センター妹背家HP
    http://ritouseikatu.php.xdomain.jp/okinosima.kochi.sukumo/