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「土佐山の清澄で脳と胃袋を清める」食べ歩きスト・マッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2018年8月12日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなすタベアルキストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。

土佐山の清澄な空気と緑香に、清流の音色が響く。

ここは高知市内から車で30分ほど走った、山の奥である。

緑が生い茂る。清流がほとばしる。

高知の良さの一つは、こうして街中からわずか走っただけで、民家もなき自然に囲まれることにある。

「オーベルジュ土佐山」は、そんな山中で、ぽつねんと佇んでいる。

部屋はすべて渓谷を望み、入室しただけで自然の只中へと投げ出される。

清流の音に包まれた露天風呂に浸かり、湯上りにはテラスに出て、ジントニックをすすった。

冷たい酒が喉を降りていく。

体に、ゆっくりと精気が戻ってくる。

時間が緩み、都会の垢がはらりと落ちていく。

1時間も経っただろうか。数時間すぎた気がする。

さあダイニングに移動して、夕ご飯を食べよう。

緑を望むダイニングでは、赤いジュースが待ち構えていた。

「桃太郎フルーツトマトいごてつソルティ」である。

完全天日干し塩いごてつの塩分が、熟したトマトの甘みを持ち上げる。

高知が誇る食材をまず最初にのんで、舌を喉を清める。

粋な食事のスタートである。

チャンバラ貝、室戸西山大地のゴールドラッシュ、苺、カツオのたたき、窪川米豚、近隣で獲れた野菜類など、高知の恵みが並ぶ。

中でも、ナスとズッキーニ、モロコインゲン、新玉ねぎとかボツアの天ぷらが良かった。

からりと揚げられた衣の中から、野菜の甘みが弾ける。

そして最後の締めは、卵かけごはんである。

天日干し黄金錦という土佐山中切の香り米に、土佐ジローの卵、宗田節醤油という布陣が並ぶ。

艶々と輝くごはんに卵をかける。塩を振り、宗田節醤油を

数的たらす。

ああ、卵が美しい。

黄身の味わいに品があり、ごはんの甘みと抱き合って、ふくよかな甘みが膨らんでいく。

思わず、お代わりをしてしまった。

 

朝の宿はいい。

澄んだ山中をさらに研ぎ澄まし、純粋を極め、無垢となった空気に満ちている。

思い切り吸い込めば、体内にエネルギーが流れ込んでくる。

そして楽しみは、朝ごはんである。

テーブルでは、蒸しどうふ、自家製の干物、土佐ジローのベーコンエッグ、じゃこ天、サラダ、小魚佃煮に、ご飯と味噌汁が待っていた。

なんといってもごはんがおいしい。

野菜に力がある。

そして自分で作り上げる土佐ジローのベーコンエッグのたくましい味は、ご飯を恋しくさせる。

東京の名店「金田中」から京都で修行し、ここで料理長を務める松本昇吾さんはいわれた。

「高知に帰って20年になりますが。まだまだ飽きない。ここは、料理人にとってもお客さんにとっても最高の舞台です」。