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【高知グルメPro】地元愛されイタリアンから人気の和食屋に夜の〆の屋台餃子までそろう「廿代町」のおススメグルメ6選 食いしんぼおじさんマッキー牧元の高知満腹日記セレクション
この情報は2019年9月10日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。
「おやこんなところに」。
その店は、そんな場所に佇んでいた。
鏡川のほとりに立ち並ぶ、閑静な住宅街の一角である。
店の名を「とさ」という。
店は、地下にあって、入口も目立たない。
こんなところでお客さんが来るのかなあと思いながら入ると、すでに常連客が数人カウンターに座っていた。
店を切り盛るのは、老夫婦の二人である。
ご主人が料理を作り、奥さんが運ぶ。大衆居酒屋の正しき体制である。
こういう店に間違いは、ない。その淡々とした姿勢がいい。
それが店の中に居座って、のったりとした緩い空気が流れている。
老夫婦ゆえに、終わりが早いのかな(全国にあるこういう体制の店は、大抵店じまいが早い)と聞けば、夜中3時までやっているという。
繁華街でもないのにである。
やはりこれも、酒飲み天国高知ならではの宿命か。
さて肴を頼もう。
壁に貼られた品書きを見れば、いやあ幅広く、多くの料理が並んでいる。
刺身の種類も多ければ、締めの丼物も充実している。
これまた良い大衆居酒屋の基本である。
それでは刺身から、いってみよう。
子供をみっちりと抱いた「メシイカ 」を噛めば、ねっとりとして甘い。
イサキの刺身は、なんと嬉しや肝つきで、肝の味がきれいでたまりません。
厚切りのイサキの身は、いかった勢いがあって、甘みをぐんと舌に乗せて来る。
この二品で、すっかりおじさんは楽しくなってきちゃいました。
ええい燗酒をお代わりだあ。
ニンニクと炒めた砂肝は、ニンニクのきかせ方がほどよく、レモンをかけて食べれば、瞬く間になくなってしまう。
さらに「ヤキナス」を頼めば、ナスの肉がきめ細かく、食べれば甘さと香理の余韻を残しながら、溶けるように潰れていく。
調子に乗ったおじさんは、ここで「ウインナー」を頼んでしまった。
やはり昭和30年代生まれとしては、ウィンナー焼きの魅力には、抵抗できない。
案の定パリパリに焼かれて、パリンと弾けてくれる。
ええいちきしょう、もう一合だあ。
そのあとに頼んだ、「ダシマキ」も「揚げだしトーフ」も、優しき出汁がたっぷりで、一口食べた途端に顔が崩れる。
そうか、間違いない、ここは高知のおじさんたちの安息地だったのか。
高知県高知市堺町「とさ」にて