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【高知グルメ】食感にこだわったふわふわドーナツ「NICO CAFÉ」ほっとこうちおすすめ情報
この情報は2019年9月15日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。
餃子で泣いたのは、生まれてはじめてである。
高知「よこじい」の、葉わさび餃子に泣かされた。
メニューに見つけて、こりゃ頼まんといかんと頼んでみたのである、
聞けば葉わさびが、こじゃんと入っちゅう。
一口目、二口目はなんともないけど、七回噛んだあたりから葉わさびが顔を出す。
鼻奥を蹴飛ばされ、涙が一筋、つうっと流れるのであった。
高知の可愛い不良じいさんが一人で営む「よこじい」に来たら、ダイエットなぞ忘れるしかない。
大抵は、3〜4軒目に来るのだが、料理が、次々と我々の食欲をたきつけるのである。
シンプルで皮が薄く、小さい「餃子」は香ばしく、一方「醤油餃子」は、サクサクとした食感で、ニンニクとゴマが効いとる。
さらに「梅ネギ餃子」は、梅干入りとネギ入りで、ほどよい酸っぱさが癖になる。
さらには餃子だけでないから、困っちゅう。
ジャコがたっぷり入った「ネギとジャコの玉子焼き」は、硬めのジャコを噛んだ時の香りとネギの香りが入り混じって、たまらん。
せせりはタレの具合が鶏のうまさを引き出して、豚ニラは、味付けの甘辛さが豚肉の甘さと響き合って箸が止らない。
ある日の深夜には、
「ラーメン食べたいんだけど、体に優しいのはない?」と、尋ねると、
「なら、シジミラーメンを、麺少なめで作ろうか」という。
「はいお願いします」
国分川の汽水域で取れるという、でかいシジミを、徹底的に砂をはかせてから冷凍して旨味をふくらまし、水に入れてスープを取る。後は、塩とネギと生姜だけ。
みよ。この澄んだスープを。
塩加減が精妙で、味が澄んで、体に力がみなぎる。
酔いに、シジミラーメンの包容力が溶けて、心が豊かになる。
「こんな手間かけているのに、なぜ裏メニューなんですか?」と聞くと、
「みんなが頼むと、めんどくさいやろ」と、よこじいが嬉しそうに笑った。
よこじいは、どこまでも優しく、料理上手で、一徹なのである。
そんな彼が好きで、みんなここに足を運ぶ。
そういえば昔、したたかに飲んだ後に深夜に店に入り
「なにか体に優しいラーメンが食べたい」と言ったら、
「よし、それなら、メニューにはないけど、どこでも食べたことない奴作ったる」。そういってよこじいは動き出した.
「飲んだ後に肉はいらんろう。うどんにしようかと思うても、ラーメンも食べたい。これはラーメンとうどんの中間やき」。
そう言って、和風のダシにラーメンの細麺を入れて、竹輪とカマボコの薄切り、天かすに鶏肉、たっぷりのネギを具にした麺料理を作ってくれた。
透き通ったスープが優しく、アルコールを中和させながら胃袋に消えていく。
「これはうまい。初めて食べる組み合わせや」というと、ヨコジイは、子供のような笑顔で笑った。
またある日は、食べて飲んでもどこか別れがたく、次の日の夜にもよこじいと一緒に、「龍馬」という店に繰り出すことを約束した。
一見ぶっきらぼうで、愛想が悪そうな“よこじい”だったが、翌日の龍馬を予約してくれ、帰り際に、
「じゃあ明日6時に」といって、屈託のない笑顔を浮かべるのだった。
高知は、こういう「人との結び」が生まれる街なのだ。
たまらんぜよ。