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音楽の楽しさを響き渡らせる「第41回 高知フライデー・ウインド・アンサンブル 定期演奏会」の熱い練習風景をお届け!!
この情報は2023年11月30日時点の情報となります。
幕末時代に流行した歌舞伎を描いた絵師・金蔵の「芝居屏風絵」の数々。30年前から、この芝居屏風絵をもとにした「絵金歌舞伎」が町内外の有志たちの手によって上演されている。今年の上演では、子ども歌舞伎役者が急増するという嬉しい変化が!しかし、それによって新たな課題も生まれている。
高知空港から東へ車で約10分、高知市中心部からは約30分の香南市赤岡町に芝居小屋「弁天座」はある。
弁天座は小さいながらも、回り舞台や花道、升席などを備えた本格的な芝居小屋で、歌舞伎役者を招いた公演や各種舞台、音楽イベントなどを行う文化施設だ。
年間通してたくさんの公演が行われる弁天座だが、中でも地元の人から愛されるのが毎年7月に上演される「絵金歌舞伎」。
「絵金歌舞伎」とは、幕末時代に活躍し、赤岡町に居を構えた絵師・金蔵が描いた「芝居絵屏風(歌舞伎上演の様子を描いた屏風絵)」をもとにした歌舞伎のこと。
1993年から町内外の有志が「土佐絵金歌舞伎伝承会」として取り組みをはじめ、30周年を迎えた。
有志が役者となり、衣装から小道具はほとんどが手作り。
歌舞伎では、演目や登場人物によってお決まりの衣装があるが、その衣装を専門業者に依頼して作るとなると、一着何十万円というお金が必要となる。
そのため、絵金歌舞伎では衣装のほとんどを手作りしているのだ。
写真提供:土佐絵金歌舞伎伝承会
資料をもとに本物に忠実に手書きするなど創意工夫を重ねてきた。
写真提供:土佐絵金歌舞伎伝承会
30年続けてきたことで、設立当初から家族と一緒に練習を見に来ていた赤ん坊が主役をはる役者へと成長するなど、嬉しい進化を遂げてきた。
そして今年、さらに嬉しいことがあった。
それは、子ども役者が大幅に増えたことだ。
写真提供:土佐絵金歌舞伎伝承会
きっかけは、小さい頃から練習を見てきた役者さんのお子さんが小学生になり、学校で絵金歌舞伎の取り組みを「こんなのやりゆうで」と友達たちに広めてくれたこと。
その結果、絵金歌舞伎がグッと身近なものとなった地元の赤岡小学校の児童を中心に約10名の小学生が参加し、今年7月の公演では子どもだけで「白浪五人男」という演目を演じた。
写真提供:土佐絵金歌舞伎伝承会
3ヶ月ほどの期間、大人と一緒に練習を重ねた。
写真提供:土佐絵金歌舞伎伝承会
写真提供:土佐絵金歌舞伎伝承会
慣れない体の使い方や発声、ちょっとした仕草に至るまで、定期的に東京から先生を招いて稽古を重ねて、7月の上演を無事に終えることができた。
衣装などさまざまな舞台用具を手作りしてきたことは先述したが、ここで子どもたちの頭に注目してほしい。
写真提供:土佐絵金歌舞伎伝承会
カツラの下に耳がチラリと見えるくらいが本来のサイズ。
ところが、耳どころか、肩についてしまいそうなほど大きい。
それもそのはず。大人用のカツラを着用しているため、ブカブカになってしまっているのだ。
写真:左から、土佐絵金歌舞伎伝承会
横矢さん:衣装は工夫して手作りしてきましたが、カツラは手作りするのが難しく、子どもたちは大人用のカツラを着用しています。新しく作ろうにも、非常に高額でこれまで購入できずにいます。
頭を大きく振るとズレてしまうため、せっかく練習してきた「見得(みえ)」もかっこよく決めることが難しい。
せっかく増えてきた子ども役者たち。地元の宝として絵金歌舞伎を未来につないでいくためには、子どもたちに演技に集中してもらい、歌舞伎を楽しんでもらうことが必要だ。
そこで土佐絵金歌舞伎伝承会は、子どもたちに合ったサイズのカツラを作ろうと四国銀行の支援を受けてクラウドファンディングにチャレンジしている。
別役さん:カツラに加えて下駄、草履、傘といった歌舞伎の演目に必要な小道具を購入するために、現在クラウドファンディングに挑戦しています。子どもたちが絵金歌舞伎に取り組む環境を整え、地元の文化や伝統に触れる機会を一層増やすことができればと考えています。
子どもたちの「絵金歌舞伎って楽しそう」という興味からグッと人数の増えた、子ども歌舞伎役者たち。
地元の宝として育み、この輪をさらに広げていくために、多くの方の支援をお願いしたい。
土佐絵金歌舞伎伝承会のクラウドファンディングについてはこちら(↓)
https://readyfor.jp/projects/ekinkabuki
※支援募集は2023年12月25日午後11時まで
弁天座
住所:高知県香南市赤岡町795番地
TEL:0887-57-3060
文/長野春子