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【高知グルメPro】高知県民LOVEな「ぼうしパン」に「ニコニコパン」創業90年を超える町のパン屋さん「リンベル」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

この情報は2023年10月8日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす美食おじさんことマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は、高知県民が大好きなパンを作り続けて90数年の町のパン屋さん「リンベル」を紹介します。

各県には必ず地元の人々が心を寄せる、ソウルパンがある。

高知のそれは、「ニコニコパン」であり「ぼうしパン」だという。

「ニコニコパン」に「ぼうしパン」。まったく想像できない。

高知に通って10数年になるが、これらのパンには出会っていなかった。

これでは高知通を名乗れない。

そこで朝イチで、「リンベル」に乗り込んだ。

高知の人がここのパン屋を愛しているのは、学校の食堂で売られていたからだという。

お昼休みに、生徒たちがこぞってパンを求めあった光景が思い浮かぶ。

「リンベル本店」は、どの街にもありそうな、町のパン屋さんという佇まいで、街に溶け込んでいた。

このパン屋さんが高知県民の心を捉え続けたとは思えぬ、さりげなさである。

店内にはイートインスペースがあり、コーヒーも頼んで、早速購入したパンを食べた。

まず「ぼうしパン」から行ってみよう。

麦わら帽子状、あるいはU F O形状をしたパンで、中央がふっくらと盛り上がっている

なんでも、メロンパンを作る工程の中の、カステラ生地をかけるタイミングを間違えたことから生まれたのだという。

ほんのり甘く、膨らんだところはカステラと同じくふんわりとしているが、下に流れ出た周囲の円の縁はちょっと固くて、その対比が面白い。

妙に美味い。妙にクセになる。

きっと僕が高知県民で学生だったら、先にドーム状だけ食べ、下の薄いとこはそれだけを残し、サブレのように別の楽しみ方をしていただろうな。

次に、もうひとつの名物「ニコニコパン」をいってみた。

これはクリームの少ないクリームパンである。

ホットドックと同じ小さなコッペパンの真ん中にクリームを挟んでいるのだが、そのクリームの量がいい。

多すぎないところ、クリームの少なさが逆に愛しくなるのだな。

クリームにもパンにも敬意を払ったバランスが、クセになる。

さらには、少し黒い謎のパンも生地自体がほんのりと甘く、クリームと絶妙な相性を見せている。

この生地はどうしているのだろう?

代表的な「ニコニコパン」と「ぼうしパン」で満足する、われらが高知家の〇〇取材班ではない。

「完熟トマトのチキンカレーパン」は、赤色のカレーが入ったカレーパンで、トマトの甘酸味が前面に出ていて、普通のカレーパンとは違う魅力がある。

さらに謎の「コンビ」も行ってみよう。

これは、昭和なココアスポンジとブリオッシュ的なパンの組み合わせである。

つまり、 高知とパリの合体である。

その不思議な食感の対比が斬新で、惹きつけられる

そのほか「ナポリ」はナポリチーズクリーム入りで、「ジャポニカ」はつぶあん焼きタマゴサンドという。

これまた他のパン屋には無い商品であった。

最後にふたつの名物パンについて、店の方から話を伺った。

「ぼうしバン」はいまだに人気で、日に60個が売れているのだという。

製造の秘密は、最後にトロッとしたカツラ生地というものを最後に上からかけるのだという。

カツラ生地?…まだまだ謎は多い。

「ニコニコパン」は、黒糖をカラメル状にして生地に入れ込んでいるのだという。

だから少し黒く、パン生地自体もほの甘いのであった。

「コンビ」の外側の生地はデニッシュで、ココア生地を中に巻き込んで焼いているのだという。

「ニコニコパン」が、一番古いかもしれないという話だった。

ぼうしパンは昭和30年に登場したというから、もう68年間も作っているのである、

創業90数年となり、昭和2年から同じ場所でコッペパンを卸していたのだという。

恐るべし「リンベル」。

老舗パン屋の実力を思い知った日だった。

高知県高知市永国寺町1-43「リンベル」にて