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【高知カツオ県民会議シンポジウム】「高知と言えばカツオ!」…だったのが高知の美味しいカツオを自慢できなくなる日がやってくるかも!
この情報は2022年12月27日時点の情報となります。
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巷で耳にすることが増えた「DX」という言葉。
Degital Transformationの略で、経済産業省は「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と定義している。
少し難しいので、ここでは「デジタル技術を活用して、業務に変革を起こし、競争に勝つ!」と便宜的に解釈する。
今回は、実際のところ高知でDXってどのくらい進んでいるの?という疑問を持った高知家の◯◯取材班が、DXに精力的に取り組む企業やDXをサポートする四国銀行にお話を伺った。
写真提供:和光商事
高知市にある和光商事は医療用機器、動物用医薬品、水産用の医薬品・飼料を販売するほか、養殖業
高知県には本社のほかに須崎市と宿毛市に拠点があり、愛媛県宇和島にも営業所がある和光商事では、社員間の連絡や情報共有には紙が用いられ、FAXにて担当者間のやり取りが行われることも少なくなかった。
そこで、和光商事がまず取り組んだのが、社内コミュニケーションの改善だ。全社員にスマートフォンを貸与し、やりとりはLINE WORKSを活用することで、スピード感のあるやり取りが可能となり、後から振り返ることができるので「言った言わない」といったトラブルも回避することが可能となった。
社員のスケジュールについてもこうしたツールを活用することによって共有が容易になり、管理職の負担が軽減された。
また、紙で管理されていた業務マニュアルをデータ化し、欲しい情報にいつでもアクセスできる環境を作ることが可能となった。属人的になっている仕事の業務フローの作成やクレームやエラー情報の蓄積をすることで、問題が発生した時の解決スピードがアップするなど成果も出ている。
写真提供:和光商事
一方で、道半ばのDXもある。
養殖に関する業務において、当日の出荷内容をいち早く本社と共有することは大事な業務である。
従来の手順は以下の通りだ。
①出荷量を船の上で手書きでメモ
②営業所のパソコンに入力して出荷伝票として本社に送信
③本社で伝票を一度印刷
④販売管理システムに入力
この手間と時間を要する手順に課題があることを感じたDX推進プロジェクトメンバーは、船の上から本社に出荷情報を共有できるアプリを導入した。
しかしながら、細かな仕様をアプリに実装することが難しく、実用を一時中断。
現在でも、業務効率を改善するために試行錯誤が続いている。
写真:和光商事業務部の吉良さん(写真右)と片岡さん(写真左)。
吉良さん:「いつ、どこで、誰が、何を行っているか」を把握し、自社の課題をしっかりと洗い出した上で、何をどう解決したいのか。それを明確にすることによって、自社にあったデジタル化を推進することができたと思います。これは自社だけで可能になったのではなく、ベンダーさんからアドバイスをいただいたり、同業他社を視察させていただいたりといった協力あってのことです。
社内では多くの情報がペーパーで保存されており、事業所間の連絡にはFAX・郵送を使用するなどDXからは遠い状況にあった和光商事だったが、丁寧に情報交換を行い、社内の理解を深めていくことで取り組むことでデジタル化が実現していった。
片岡さん:情報セキュリティやデジタル化への知識が無いままスタートしたことで、当初は理解するまでに時間がかかっていましたが、徐々に人材が育ってきたことで段々とスムーズに進むようになってきました。また、業務効率への意識が全体的に高まってきたように感じます。楽しみながらDXを進めていけるよう、取り組みやすいテーマから始めて継続していくことが大切だと考えています。
専門家のサポートを受けて進めてきた和光商事のDX。今までやってきたことを変えるには時間も労力も要するが、徐々にIT人材が社内で育ってきたことにより、DXの推進力は着実に加速してきている。
写真提供:城西館
高知市内にある、明治7年創業の老舗旅館「城西館」。宿泊、婚礼、宴会、商品開発・販売を行う物販事業を行なう歴史ある旅館だ。
城西館でも、2年間DXに取り組んでいる。DXの目的は「愛される城西館であり続ける」ため。
コロナ禍で利用客が減少した2020年、改めて事業課題を洗い出すところからスタートし、本格的にDXに取り組み始めた。
プロジェクトを始める前にまず行ったのが、各部署への聞き取り調査。そこで抽出した14の課題について取り組むこととなった。
DXに取り組むにあたって、まず掲げたのが「LTV」の向上だ。LTVとは、Life Time Valueの略称で顧客が生涯を通じて企業にもたらす価値を指す。つまり、お客さまが城西館を好きになり、何度も繰り返し利用してもらうことを重要な指標として定めた。
そのために必要と考えたのがデータマーケティングだ。先述した通り、城西館は宿泊、婚礼、宴会、商品開発・販売という業務を行なっている。しかし、顧客データが部署ごとに分断されていて、「何度も利用してもらう」ための情報が社内でまとまっていない状態だった。
そこで、顧客データを一元管理できるプラットフォームを導入し、マーケティングにつなげていくことが可能になった。
また、和光商事と同様に社員のコミュニケーションツールとしてLINE WORKSを導入し、ふせん・メール・内線電話といった連絡方法から移行したことによって社内コミュニケーションが活性化された。
これによって、迅速な対応が必要なお客様のお忘れ物・落とし物への対応も、LINE WORKSによってすぐに解決するなど、業務にも良い影響が出ているのだ。
写真:城西館 常務取締役 藤本さん(写真右)、マーケティング部 河原さん(写真左)
藤本さん:課題の洗い出しを始めた2020年から2年間にわたってDXを進めてきたことにより、スタッフのITリテラシーが向上し、能動的に課題解決に取り組んでくれるようになったように感じます。例えば、データの一元管理を進めることによって、データの価値に気づき、有効活用していこうと考えるようになりました。勘で進めていたところから、データ・数字から判断するようになったという大きな変化です。
一方で、やはり大きな組織である以上、デジタル化に消極的なスタッフもいたよう。
河原さん:何が不安なのかを聞き取りし、一人一人と対話をしながら導入を進めていきました。トップダウンで命令をするのではなく、一人ひとりが納得をして進めていくことが大事だと思います。納得しないまま進めてしまうと、ツールを導入しても後々活用されない、ということにも繋がりかねませんからね。
藤本さん:私たちは、ベンダーさんから言われた「顧客はすでにデジタルにシフトしていますよ」という言葉で火がつきました。同じ悩みを持つ同業者の方たちからは、弊社の取り組みが「富士山を登るようだ」と言われることがあるのですが、一つ一つを見ていくと特別に難しいことをしているわけではないと思います。まずは、スタッフの情報共有ツールなど取り組みやすいことから始めてみるのがおすすめです。
できることから少しずつ、しかし着実にDXを進めている城西館。小さな積み重ねが業務効率の改善や顧客へのサービスに繋がり、「愛される城西館であり続ける」という城西館の目標を現実のものへと近づけている。
四国銀行でDX導入に向けたサポートを行う「イノベーション推進部」。こちらの部署で企業のサポートを行う藤坂さんは、「DXは目的ではない」と言う。
藤坂さん:DXにおいて、あれもこれもと考えてオーバースペックなシステムを導入することは厳禁です。まずは自社の向かっていくゴールを明確にし、そのために取り組むことは何かと整理することが大切です。その中で、今まではアナログでやっていたことをデジタル化しようという業務が出てきたり、デジタルツールを活用したらどうかというアイデアが出てきたりするはずです。まずは、小さな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
取材前は「DX」という言葉の印象から壮大な事業変革をイメージしていたが、取材を通して、意外とDXは身近なものなのかもと思い始めた◯◯取材班。
会社の進むべき方向性を改めて考え、まずは身の回りのお困りごとを解決することから始める。
小さな一歩がDXに通じているのだ。
DXに関するお問い合わせ先
四国銀行イノベーション推進部もしくは四国銀行各営業店まで
文/長野春子