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響き渡れ我らの音楽よ!「第41回 高知フライデー・ウインド・アンサンブル 定期演奏会」開催!
この情報は2022年11月5日時点の情報となります。
高知出身の歌手・三山ひろしさんの出身地である南国市立大篠小学校の子供たちのために行われた、特別公演の模様をお送り致します。
令和4年10月23日、南国市立大篠小学校6年生の総合学習の時間に、南国市出身の演歌歌手「ビタミン・ボイス」三山ひろしさんが特別講演を行った。
三山ひろしさんはコンサートツアー中で、前日は滋賀県野洲市での2回公演、そして翌日24日は高知市での公演が控える中、ふるさとである南国市の子供たちのためであればと特別授業を快諾。
疲れなど微塵も見せず笑顔で、自身のルーツ、子供たちの夢について、地元の土佐弁で熱く語ってくれた。
「子供の頃、友達の間ではTRFさんとかCHAGE &ASKAさんとかが流行ってた頃、僕だけは吉幾三さんとか鳥羽一郎さんとかの歌を聴いて、それを自分も歌って過ごしよったがです」
という三山さん。
地元のカラオケ大会に出場したり、高知県民にはおなじみのKUTVテレビ高知ののど自慢コンテスト「歌って走ってキャラバンバン」にも10回以上参加して、演歌を歌っていたそうだ。
そんな三山さんが演歌を好きになったルーツは、大好きなおばあちゃんにある。
「もう、うちのおばちゃんが演歌が大好きで、大好きで。まあ、昔は演歌というジャンルがなくて流行歌(はやりうた)という風に言いよったがですけど、春日八郎さん、三橋美智也さん、村田英雄さんの演歌三羽烏と言われたお三方が特に大好きでね。
なんか、子供たちが、誰それ?って顔して聞いてますけど、すごいお三方なんですよ。おばあちゃんは三人の中でも三橋美智也さんが特に好きで、夜になると枕元でカセットテープかけて聴きゆうがやけど、やっぱりおのずと僕も聴くことになるがですよ。
で、聴きよったら、えいなー、僕も歌いたいなーって思いよったら、おばあちゃんがそこの公民館に僕を連れて行って、うちの孫が歌うき、ちょっと聴いちゃってくれんろうかゆうてね。
そいたら、みんなも拍手しながら、うわー!ってなってくれてね。おひねり貰うたりして。それがもう子供ながらに嬉しくて。だからちっちゃい頃から、演歌ばっかり歌ってました。」
小学生になっても、三山さんの演歌愛は止まらない。
「僕は長岡小学校やったがやけど、まわりの友達は演歌を知らないから、ちょっとした優越感やったりしてね。友達に、「お前こんな歌、知っちゅう?」って聞いたら「知らん」ゆうき、「ほな、歌っちゃろう」ってね。そしたら、みんなが喜んでくれるんですよ。だから同級生は、僕が演歌を好きなことをみんな知ってました。」
ここで三山さんの子供の頃の思い出を。
「うちは僕が小学2年生の時に離婚して、お父さんがおらんなったので、お母さんが働きに出ないかんようになり、僕の面倒はおじいちゃん、おばあちゃんが見てくれているっていう状況やったき、まあ家にお金がなくて。いま、みんなはいろいろな服を着ているけど、僕の普段着というか、常に着ているのは長岡小学校のジャージでした。もう一年中ジャージ。おかあさんとしては、余所行きの服なんかも買ってやりたかったがやろうけど、もう家にぜんぜんお金がないのはわかってるから、僕から「服はいらん。僕はジャージが一番好きや。ジャージを着させてくれ」言うてね。学校のジャージやったら、なんぼでも使えるし。ただ、確かにお金はなかったけれども、愛情は一杯に育ててくれたがよ。だから今こうやって、大好きな歌を仕事にして、少しやけれども毎月仕送りも出来る。もう感謝してもしきれんがよね」
歌手という夢を、現実のものと考えだしたのはいつなのかという質問に、三山さんはゆっくりと語りだす。
「僕、NHKのど自慢大会に2度出てるんですよ。1回目は高校生の時で、歌ったのは吉幾三さんの「雪国」。そしたら鐘2つ。キーンコーンって。あ、こらいかん。僕はもう歌手にはなれんと思ったんですよ。僕は極端な人間やき、そこでもう歌手はあきらめて、もう絶対歌は聴かんって自分で決めて、おばあちゃんにも言うたがですよ。夢って持ち続けるのはすごく大変なことで、一つのことだけを念じて、ずっと思い続けるのはなかなか難しくて、諦めることってあると思う。実際、僕は一度諦めたからね。」
「けど、やっぱり基本的には歌が好きなので、時間がたってくるとまた歌いたいと思うようになるがよね。そんな時に背中を押してくれたのがおばあちゃんで、「あんたもう少し一所懸命、真面目に練習したら歌手になれるかもしれんのに」って毎日毎日、顔合わすたびに言うてきて。そうしゆううちに、一緒に詩吟の教室に通うようになって、詩吟をやり始めたら大会に出るようになり、そこで賞をもらったりするようになると、宗家の先生から「君は吟詠家になりなさい」って言っていただけるようになったがよね。やけれども、やっぱり演歌が好きやから、同じ歌うなら演歌の歌手になりたいと思うようになって、先生に相談するとそこまで言うならば演歌の道へ進みなさいって言うてくれて。じゃあ、すみませんが詩吟の方はお休みさせていただきますって言うてしまったものやから、こりゃあ本気でやらないかんと思ってたところに、土佐清水市でNHKのど自慢大会があると聞いて、もう必死に練習して、大会に出たがよ。そしたらそこで、今週のチャンピオンになり、グランドチャンピオン大会に出場できて。なにも賞はもらうことは出来なかったけれども、東京のNHKホールのあのステージに立ってみると、僕は必ずもう一度このステージに歌手として帰ってくる。こんどこそ、この夢は諦めないって決めたんです。」
そして三山さんは、子供たちに語り掛ける。
「自分の夢を叶えるためには自分のやりたいこと、得意なことを『一所懸命』にやる。『一生』かけて『懸命』にやるって難しいけど、『一所』やったらできそうな気がするやろ。ひとところ、一個だけで良いから『一所懸命』にやる。僕はそれでいいと思うがよ。自分の得意をとにかく追求すること。遠回りに思えるかもしれんけど、これが多分夢への近道だと僕は思うがよね。」
三山ひろしさんと言えば、そう「けん玉」。そのけん玉の技を披露してくれた三山さん。
三山さんの話に聞き入っていた子供たちも、三山さんの軽妙なトークと鮮やかなけん玉の技に引き込まれていく。
ひとつひとつの技が決まるたびに、子供たちからは大きな拍手が上がり、どこからともなく「すげー」「おー」「えーっ」と声が上がる。
さらにこの日は、けん玉4段で「日本けん玉協会」の指導員の資格を持つ三山さんが、子どもたちのけん玉10級の検定を行ってくれた。
この日は三人の子供たちが、三山さんの名前が入った認定証を受け取り、満面の笑顔を浮かべ喜んでいた。
三山さんはけん玉もそうだが、何でも自分でやってみることが大事だと語る。
「人生はトライ&エラー。失敗ばっかり。それでもチャレンジせんと、何でもやってみんとわからん。今はインターネットで、何でもやろうとしゆうことの先が見えてしまうけんど、自分でやってみんと、そこで生まれる感動なんて絶対にわからん。自分でやってみんとわからんことがたくさんあるからこそ、いろいろなことに興味を持って、チャレンジし、自分の頭で考えて、たくさんたくさん悩んでほしい。」
授業を終えた三山さんに、子供たちからたくさんの質問が飛ぶ。
持ってきたけん玉や色紙にサインをねだる子供たちが列をなし、予定時間を大幅に超えるが、三山さんは子供たち一人一人に優しく声をかけていた。
今日のこの特別な時間は、大篠小学校の子供たちになにを残しただろうか。
自分たちと同じ南国市出身で、子供のころからの夢をかなえた三山ひろしさんと、わずかな時間ではあるが触れ合った子供たちの目が輝いて見える。
時々、子供たちには今日のことを、そして三山さんの言葉を思い出してほしいと思える、そんな素敵な時間であった。
そんな三山ひろしさんが10回以上参加したという「歌って走ってキャラバンバン」を初めて舞台化した「歌って走って笑って踊ってキャラバンバン」が2022年11月26日(土)・27日(日)高知県南国市の地域交流センターMIARE!で上演される。
そして、なんと!三山ひろしさんがスペシャルゲストとして11月27日(日)の2ステージに登場!
三山さんの他に、ワハハ本舗の佐藤正宏さんやその他キャストで上演する貴重な舞台を、是非観に行ってみてはいかがだろう。