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中華をつまみに食べて飲める夜中華「チャイナバル茂」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2022年8月14日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす「美食おじさん」ことマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は、高知市はりまや町2丁目の食べて飲める夜中華「チャイナバル茂」にお邪魔してきました。

このコラムにて、3回にわたり紹介して、高知のキングオブ町中華と絶賛してきた「宝永」が、今年店を閉められた。

そのニュースを聞いて、我々は呆然とし、「これからは、夜にどこで中華を食べればいいんだぁ」と叫び、むせび泣いたのである。

高知市内には、以前紹介した「弥栄園(みいろんゆん)」という、素晴らしい中国料理の店はあるのだが、ここはどちらかというと飲みの店ではない。

もう、高知で中国料理をつまみながら、大いに飲むことはできないのかぁ、と嘆いたところ、ある筋より情報が入った。

「町中華ではないですが、「宝永」無き後、この店がオススメです」と、聞きずてならぬ、貴重な情報をいただいたのである。

店名を「チャイナバル茂」という。

「チャイナバル」という名前がいいではないか。

様々な料理をつまみにして、飲んでくださいねという意思表示である。

早速訪ね、ビールを頼んでから、料理をじっくり考察してお願いした。

突き出しからしていい。

「小夏の山椒マリネ」である。

小夏の甘酸味に山椒の刺激がヒリリと効いて、食欲を刺激する。

そして運ばれたのが「牛舌とハチノスの麻辣ソース」である。

ハチノスは分厚く、丁寧な下処理がされている。

タンもしっとりとして質がいい。

そしてなにより、ソースのキレがいい。

辛さと痺れを破裂させながら、濃い旨味で魅了する。

「すいません。紹興酒ください」と、思わず頼む。

そこへ「空豆と高菜のネギ和え」が運ばれた。

空豆が、生姜と高菜とネギで炒められているのだが、生姜と高菜とネギのバランスが良く、どれひとつとして突出することなく香りと味を深めている。

さらにはそれぞれが、同寸に切られており、ピタリとそら豆に馴染んで、心地よい。

すっかり気分が良くなってきたところに運ばれたのは、「若鶏の燻製パリパリ揚げ」である。

いわば脆皮鶏(ツイピージー)と呼ばれる広東料理で、東京の高級中国料理店で出される、香港人が好きな逸品である。

しかも、東京の高級中国料理店では5千円ほどするこの料理が千円である。

鶏は普通の鶏のようだけど、美味しい。

焼きあがった皮から放たれる香りだけで目が細くなり、パリンッと皮が弾ければ、しっとりとして、優しい滋味に富む肉に歯が抱きかかえられる。

添えられている「ピーナツの五香粉煮」も、心憎い。

続いては、「ながれこの蒸し物香港風」ときた。

ながれこは、トコブシの高知での呼び方で、アワビの仲間である。

しかし、食べればもはや小鮑と言いたい代物で、筋肉質であり、肝が甘く、うまいことうまいこと。

上から高温の油をかけたのだろう、ネギの香りが立っている。

カブやズッキーニ、紅芯大根の付け合わせもきれいである。

最後に「中国季節野菜の炒め」の炒め物が運ばれた。

マコモダケ アスパラ、椎茸の炒めもので、塩味が決まっている。

酒も飲んだ、料理も食べた。

次があるので、ここでやめるつもりだったが、つい麺を頼んでしまった。

「あっさり汁そば」である。

これまた大正解である。

すっきりと綺麗な旨味のスープに細麺が絡む。

具は、青菜と細かいネギにシラスで、このシラスの塩気と淡い甘みがそばを盛り立てている。

こりゃあ、飲んだ後の締めに食べにくるものいいな。

ということで、すっかり気に入ってしまった。

「宝永」とは別の魅力を持った夜中華に通いそうである。

高知県高知市はりまや町2丁目「チャイナバル茂」にて