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響き渡れ我らの音楽よ!「第41回 高知フライデー・ウインド・アンサンブル 定期演奏会」開催!
この情報は2022年5月13日時点の情報となります。
株式会社ハートは1988年設立の、高知市に本社を置く寝具メーカー。その特徴は、「本物」のオーガニックにとことんこだわっている点だ。今回、社長の山岡弘章さん、統括本部長の竹村有紀子さん、そしてオリジナルブランド「SaFo(サフォー)」のデザインディレクターを務める島村卓実さんにお話を聞くことができた。
ハートが目指すものづくりとは。
写真中央:山岡弘章社長、右:統括本部長 竹村有紀子さん、左:デザイナー 島村卓実さん
高知家の◯◯編集部がまず気になったのは、「本物」のオーガニックと謳っている点だ。いったい「本物」が示すものとはなんなのか尋ねてみた。
山岡さん:私たちの製品は、生産から加工の全ての工程でオーガニックの国際的な認証であるGOTS(Global Organic Textile Standard)とOCS(Organic Content Standard)を取得しています。畑でコットンや麻が育てられているところから、一本の糸になり、一枚の布になり、そして布団になるまで。全ての工程において、農薬や薬品などを使わず、安心してお使いいただける製品をお客様にお届けしています。
写真:原材料となるコットン(ハートHPより転載)
今でこそオーガニック製品に対する認知が高まり、志向する人も増えてきたが、ハートがこうした取り組みを始めたのは30年以上前のこと。
その当時はオーガニックという言葉を理解できる人も少なかった。
竹村さん:そんな時代ですから、国内で協力してくれる工場を探すのも一苦労でした。縫製は自社で行いますが、その前の布になる段階までは請け負ってくれる工場の協力の上で成り立っています。しかし、薬品を使ってはダメ、トレーサビリティ(追跡可能性)のために記録を徹底するなど、オーガニック認証を得るために必要な約束がいくつもありました。
写真:縫製加工の様子(ハートHPより転載)
厳しい条件を前に、10社以上の工場に断られたこともあったという。そんな中で、ハートの想いを汲み取っていただける協力企業と出会え、30年という年月をともに歩んできた。
なぜ、ここまでオーガニックであることにこだわるのか。そこには、先代社長の熱い想いがあった。
山岡さん:弊社がオーガニックに取り組み始めたのは、私がアレルギー体質だったことに起因します。私の父である先代社長は、同じようにアレルギーで苦しむ人や体の弱い人でも安心して寝ることのできる、安全な布団を作ろうと本気で取り組み始めたことが始まりです。その熱い想いにたくさんの人が巻き込まれ、突き動かされて、今のハートの礎ができました。
こうして家族の健康をきっかけに、こだわりにこだわった布団が生まれた。
写真:大豊町にある工場(ハートHPより転載)
オーガニックにこだわった布団やタオルなどの製品を作っていたハートが、オリジナルブランド「SaFo」を立ち上げたのは2020年のこと。
ブランド立ち上げ前は、こだわった商品づくりを続けてきたことで自分たちの技術や製品には自信は持っていたものの、お客様へ十分に伝わっていないのでは?というモヤモヤ感を感じていたのだという。
山岡さん:今回オリジナルブランドを立ち上げたことで、「SaFo」が「安全・安心」を作り上げるための規範となり、オーガニックから連想される気持ちいい風合いや肌触りを感じていただければと思っています。
写真:(ハートHPより転載)
ブランドのデザインディレクターを務める島村さんは、品質のいい商品を作ることはもちろん大切だが、価値観が変容する現代においては、商品を通してお客様に伝えたいメッセージは何かということを明確に持つことがとても重要だという。
島村さん:「SaFo」とは作法のことです。世界中でオーガニックがあたりまえの時代になって常識になり、すべての人の日常の作法として定着していくことを目指しています
「SaFo」が提案するのは、「安心・安全」であること、そして「エシカル」であることです。尚且つ、デザイン的にも心地よい。そうした考えに基づいてものづくりを行うブランドであるという想いを込めて「SaFo」と名付けました。
エシカルとは、商品を作る過程において環境に負荷をかけず、作る人の安心・安全も確保されている状態で作られたものを指す。
SDGs(持続可能な開発目標)にも通じる、ソーシャルグッドな取り組みだ。
写真:大豊町の縫製工場(ハートHPより転載)
「SaFo」が大切にしていることの一つに、「Use it all」という考え方がある。生産しているものは、余すところなく「すべて使う」ということをブランドのアイデンティティとして持っている。
そうして最初に取り掛かったのが、製造過程で廃棄されるものの代表格、布の「ミミ」の活用だ。「ミミ」は布の約6%の部分にあたり、廃棄量は年で580kgにもなる。
山岡さんらは長年、こうして捨てられてしまう布が気になっていた。
何かに使えないかと考えた末に生み出されたのが、「ミミ」を集めて作った商品だ。
廃棄されてきたものがラグやクッションカバーなど魅力ある商品として生まれ変わった、まさにアップサイクルな取り組みだ。
ミミのフサフサとした手触りが心地よく、また均一に縫い重ねられた縫い目からは縫製力の高さを感じる。
山岡さん:こうした商品づくりから、「SaFo」らしさや私たちの想いを伝えていけたらと考えています。ただエコなだけではない、「欲しい」と思ってもらえるイイモノを高知から作っていきたいです。
地域での産業を守りながら、新しい価値ある商品を生み出そうと奮闘している株式会社ハートとそのオリジナルブランド「SaFo」。今後は海外での販売も予定しているのだそう。
産地、加工、縫製、販売というすべての工程における「こだわり」。そして、強い信念に裏打ちされたハートのものづくり精神は、世界でも多くの人の心に響き、暮らしに「心地よさ」を届けることだろう。
株式会社ハート
住所:高知県高知市北金田4-18
TEL:088-882-4788
https://www.heart-kochi.jp
文/長野春子