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木でつくる繊細な幾何学模様!匠の技「土佐組子」と松屋銀座がコラボしたバレンタインオブジェ公開中

       

この情報は2021年2月6日時点の情報となります。

    東京銀座にある「松屋銀座」でお披露目された万華鏡のようなバレンタインオブジェ。こちらは、日本の伝統的な「組子」を高知で制作する株式会社 土佐組子とのコラボレーションで制作されたもの。美しい幾何学模様の秘密を探ると、そこには想像を超えた展開と革新があった。


    <画像提供:株式会社松屋>

    百貨店やハイブランド店が立ち並ぶ、東京銀座。

    銀座を代表する老舗百貨店のひとつ「松屋銀座」で、土佐の職人技が注目を集めていると耳にした○○取材班。一体どんな職人技がお披露目されたのか、松屋銀座に向かった。

     

    松屋銀座のショーウインドウに大きな万華鏡

    正面入口横のショ-ウインドウで見つけた大きなオブジェ。

    近づいてみると、

    木でできた、2メートルほどもある大きなオブジェだ。

    組子という日本の伝統的な技術がアート作品としてディスプレイを彩っている。

    さらに近づいてよく見てみると、組子プレートが重なっていて、ゆっくりと回転していることが分かる。

    組子プレートが回転することで繊細な模様が様々に変化し万華鏡のように光りと影が映し出されている。オブジェに見とれていると、行き交う人から「可愛い!」という声が聞こえてくる。

    この素敵なオブジェを作ったのが株式会社 土佐組子だ。

     

    松屋銀座が発信する日本のものづくり

    松屋銀座は館内装飾を通じて日本のものづくりを紹介していて、今回松屋銀座のバレンタイン装飾と土佐組子がコラボレーションしたのだ。

    そこで、土佐組子とコラボした理由を株式会社松屋ブランドデザイン部のBD推進課長の柴田さんに聞いてみた。

    -松屋銀座のバレンタインデー装飾とのコラボに土佐組子を選んだ理由を教えて下さい。

    柴田さん:私は経済同友会の「地方創生ワーキンググループ」に参加しています。そこで高知県を訪れた際、土佐組子さんを紹介していただき、組子の素晴らしさを知りました。
    地方の伝統や匠の技を銀座で紹介したいと考えている中、バレンタインデーの万華鏡のデザインと組子の柄がマッチするのでは、また新しい可能性があるのではと思い岩本社長にお話をしました。
    岩本社長は若く、技術があるのはもちろん、組子の伝統を守りつつも新しいことに挑戦し続けています。その姿勢にとても感動したんです。

    柴田さんが感動したという岩本社長はどんな匠なのか。

    万華鏡のような美しい組子を制作した岩本社長にお話も伺おうと、今度は高知市内にある土佐組子の工房に向かった。

     

    土佐組子の伝統と革新

    伝統的な工芸品なので、作られる方はきっと寡黙な親方のような方だろうとイメージしていた○○取材班。迎えてくれたのは笑顔の素敵な岩本社長だった。

    -岩本さんが組子を作るようになったきっかけは何ですか。

    岩本さん:実家は祖父の代から続く「岩本木工」という建具屋で、高校を卒業して家業に入り建具の勉強をしていました。
    障子・襖(ふすま)などの建具は日本家屋でよく使われてきましたが、時代の流れで建物がモダン化し、建具を使う家が少なくなってしまったので、何か新しい取り組みをしなければと思っていました。そこで出会ったのが「組子」です。実は、組子は祖父の代からやりたいと思っていたもので、父は埼玉県にある組子の学校で学んでいます。まずは技術の基礎を学ぶため、私は宮城県で組子細工を学び、2011年に帰高。それから株式会社 土佐組子を設立し、組子細工を制作しています。

    組子の材料を見せていただくと、このようなちいさな木片がたくさん。

    この木片の組み付け方次第で、約200種類の模様ができるのだ。

    -組子細工を制作するなかで、大事にされていることは何ですか。

    岩本さん:「伝統と改革」です。こうした考えに至ったのは、「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT」に参加させてもらったことが大きいです。

    「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT」は、地域の特色や技術を生かして新しいものづくりに取り組む技術者をサポートしてくれる取り組み。岩本さんは、半年間アドバイザーからの指導や助言をもらいながら作品作りに取り組んだ。

    岩本さん:私はファッションジャーナリストの生駒芳子(いこまよしこ)さんにアドバイスしていただきました。その時に、生駒さんから「市場が反応するものを作ることが大事」ということを言っていただいたんです。技術者は技術を突き詰めようとしがちですが、高度な商品は価格も高くなります。ものづくりに大事なのは高度な技術より手にとってもらえるものを作ることだということを気づかせていただきました。

    こうして、組子細工に樹脂を組み合わせたバッグが誕生した。


    <画像提供:株式会社土佐組子>

    樹脂と組み合わせることで、繊細で華奢な組子細工が扱いやすくなるので、商品の幅が広がった。これをきっかけに、ファッション業界やスポーツ用品などに組子細工の商品を展開していこうと取り組んでいるところだ。


    こちらは、酒造メーカーから動きのある贈答用の箱ができないかと相談を受けて制作したという「ギミックボックス」という商品。

    一番上のパーツを左右に開くと、下のパーツまでのすべてが連動して開閉する不思議な木箱だ。上下のパーツが連動して動くこと、左右のパーツの可動域を制限する仕組みに匠の技術が生かされている。

    また、2019年には「TAKUMI CRAFT CONNECTION -KYOTO」という全国から若い技術者が集まって作品を展示するイベントにも参加したという。なんと、その時には、建築家の隈研吾氏とコラボした作品を制作し、発表したという。

    色々な方との出会いで岩本社長のものづくりは進化を続けてきたのだ。

    -松屋銀座からコラボのお話があったとき、どんなお気持ちでしたか。

    岩本さん:素直に、嬉しかったです。「デザインの松屋」と言われる松屋さんに選んでいただくことは、とても光栄なことです。こうしてお声がけいただくことで「成長できている」「結果が出ている」と感じることができます。

    -岩本社長の野望を教えて下さい。

    岩本さん:世界トップのステージに立つことですね。世界で土佐組子の商品をお披露目したいです。
    それと、組子の技術を若い世代に伝える学校をつくり、技術を継承していきたいです。日本全国に私たちの技術を継承する技術者が広がり、作品が展開されると嬉しいですね。

     

    伝統を守りながらも革新にチャレンジしている岩田さん。

    土佐組子の今後の展開が楽しみだ。