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「【続編】酒飲み天国高知に学べ!これぞ究極のお座敷遊び《酒のポーカー》とは?」食べ歩きスト・マッキー牧元の高知満腹日記 その54

       

この情報は2019年6月2日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。

前回のお座敷遊びはいかがだったろうか。

【前回の記事】➡「酒飲み天国高知に学べ!これぞ究極のお座敷遊び《酒のロシアンルーレット》とは?」

特に「菊の花」は、特別な道具がなくてもできることなので、ぜひ広めて欲しい。

お酒のポーカー「はし拳」

さて今回は、より高度なお座敷遊びである。

「菊の花」が、「お酒のロシアンルーレット」なら、この遊びは、「お酒のポーカー」とでも呼びたい心理戦が展開される。

それでは、土佐が生んだ屈指のお座敷遊び、「はし拳(はしけん)」を紹介しよう。

用意するのは、6本の箸で、二人それぞれが3本ずつ持ち合う。

高知では、郷土料理の皿鉢の取り皿に添えられた短めの「赤箸」が道具になる。

まず最初はジャンケンをして、勝った方が先手、負けた方が後手となる。

まず後手が3本の箸のうち何本かを片手に隠し持って、「いらっしゃい」と、という(0本でもいい)。

先手は、相手が何本を出したか予想しながら、自分の本数と合計して3本になるように何本か隠し持ち、「3本」という。

何しろ先手は「3本」としか言えないのだ。

つまり、相手が0本と読んだら3本隠し持ち、1本と読んだら2本隠し持ち、2本と読んだら1本隠し持ち、3本と読んだら何も持たない。

だがまだ決着はつかない。

後手は、相手と自分の本数を合わせて「1本」か「5本」になるように箸を隠し持ち、出す。

そうしてやっと、それぞれ片手に持った箸を見せ合う。

二人の合計が3本なら先手の勝ち、1本か5本なら後手の勝ちとなる。

合計の数が、後手の言い当てた数と違った場合、(つまり「1本」と言った時は、合計本数が0.2.4.5.6本)は引き分けになる。

合計が二本なら「逃げた」、四本なら「夜逃げ」といい、場が流れる。

また、後手が1本しか持っていないのに「5本」と言ったり、2本以上持っているのに「1本」と言うと後手の負け。

勝負は3回勝負で、一回ごと攻守交代。1-1での3回目は「大勝負」と言う。

こうして詳しく書いても、なかなか理解するのが難しい上に、酔っ払いながらやるので、かなり頭とカンを駆使する。

相手の表情を見ながら、読み取るのである。

しかもテンポが早いので、瞬時の判断が求められる。

「はい、いらっしゃい!」

「3本!」

「5本!」という具合で、テンポよく出していくのである。

高知県宿毛に九州からやって来た船頭が酒宴で始めたのが原型と言われ、明治時代から広まったのだという。

普通、勝負というものは、負けると悔しい。

しかしこの「はし拳」は、なぜか負けた方が嬉しい顔をする。

負けた方が一杯、「献杯」といって、勝った方より酒をもらって飲めるからである。

なんとこの「はし拳」、10月1日には、高知県酒造組合の主催で、大体的に「はし拳大会」が行われるのだという。

県内から屈強なる「挙士」が集まり(単なる飲兵衛だとの噂もある)、熱戦を繰り返すのだから、もはや「頭脳スポーツ」と言ってもいいだろう。

ちなみに私も「料亭濱長」で、美味しい郷土料理をいただいた後に芸妓さんとやりました。

結果はもちろん、何度やっても惨敗であります。

まだまだ修行が足りない。

「はし拳は、負けるが飲める面白さ」。