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老舗かまぼこ店の野望!山本かまぼこ店の広がる夢とその背中を後押しする「Shikokuブランド」

       

この情報は2021年2月3日時点の情報となります。

高知県の東南端、室戸岬のある室戸市に、創業80年を超える老舗「山本かまぼこ店」はある。

山本かまぼこ店(通称「山天」)は地元で愛される練り物屋さんだ。

高知ではじゃこ天などのことを「天ぷら」ということから、練り物を扱うお店のことを「天ぷら屋さん」と呼ぶ。このことから、山本かまぼこ店は「山本の天ぷら屋さん」略して「山天」として親しまれているのだ。

室戸市は、古くから漁業が盛んな街。

味にうるさい漁師さんから特に好まれたのは「天ぷら(じゃこ天)」。船上での食事は「おにぎりと『山天』の天ぷら」が定番だったそうだ。

 

素材にこだわり、製法にこだわった商品作り

山本かまぼこ店の商品は、保存料や合成甘味料不使用で、素材にこだわった逸品ばかり。

社長の山本正幸さんにお話を伺った。

-商品のこだわりについて教えて下さい。

山本さん:選び抜いた自然食材と、いい塩、いい水を使って作っています。揚げ油には米絞油を使うなど、素材の一つ一つにこだわっています。アレルギー対応の食品作りにも取り組んでいて、安心安全で、食べた人が「美味しいね」と喜んでくれることが私たちの喜びです。

素材だけでなく、製造工程のほとんどが手作りというところにもこだわりが。

山天の創業当時から「変わらない味」を求めて、地元のお客さんが連日訪れている。

 

まわりの力をうまく使って、高知県で一番「うまいもの」を開発

先日、山本かまぼこの「魚ん棒(さかなんぼう)」という商品が、高知県が主催する「うまいもの大賞2021」で大賞を受賞した。

この商品は、高知県工業技術センターで製法や配合などを指導してもらいながら完成させたもの。工業技術センターは、技術支援などで地域産業の振興を目指す県の研究機関だ。

開発当初、そこからもらったアドバイス通りに作ってみるも、うまくできない。工業技術センターの担当者と何度もやりとりを重ね、やっとの思いで製品化にこぎつけたのだ。

山本さん:原材料には高知県産のシイラを100%使用しています。実は、地場の魚を100%使用するというのは、弊社では近年は失われかけていたことです。塩にもこだわり、添加物をできるだけ加えずに作っている自慢の商品です。

こだわりの商品づくりに自信を持っている一方、その魅力を伝える営業力には頭を悩ませていたという。

山本さん:魚ん棒の開発には高知県工業技術センターに技術面で指導していただいて、外部の方の力を借りることが弊社にとって力になることを経験しました。そこで、不得意としている営業力についてもなんとかできないかと思い、相談したのが四国銀行です。

ちょうど、四国各県の地方銀行(四国銀行、阿波銀行、百十四銀行、伊予銀行)がブランディングや販路開拓をお手伝いする会社「Shikokuブランド」が立ち上がったタイミング。

山天の商品を、もっと多くのお客様に知って欲しいと山本さんは「Shikokuブランド」へと相談を持ちかけた。

 

高知から全国、そして世界へ!山本かまぼこ店を後押しするもの

「Shikokuブランド」で山本かまぼこ店を担当したのは、渡辺浩之さんだ。

2020年4月の「Shikokuブランド」立ち上げ時、四国銀行から出向した渡辺さん。マネージャーとして、高知県を中心とする企業のブランディングや販路開拓業務に関わっている。

渡辺さん:とても想いの強い方だなというのが山本さんの第一印象です。それは、一年近くお付き合いをした今でも変わっていません。山天さんの素材、製法へのこだわりや地元・室戸への熱い想いをもっとみんなに知ってもらうことが私の役割だと思っています。デザイナーなどと一緒になって、こだわりや商品の良さがより多くの方に伝わるよう全力でお手伝いをさせていただいています。

現在は、山本さんの想いを形にできるようにブランディングに取り組むほか、販路開拓ができるよう事業のサポートを行なっている。

山本さんの熱い想いを聞くうちに、渡辺さん自身もすっかり「山天」ファンになっていたのだとか。

渡辺さん:妻が室戸市出身なのですが、私が室戸に行くときには「山天の天ぷら買ってきて」と必ず言われるんです。山本かまぼこさんは、自分や妻を含めて、たくさんのファンがいるお店です。そんな、地元の人から愛されているお店のサポートをさせていただけているのが嬉しいですね。

山本さん:新工場の建設やハイクオリティ商品のブランディングなど、取り組みたいことはたくさんあります。海外の需要も見据えて、イスラム教徒の食事に対応した「ハラール認証」も取得しました。日本国内、そして世界へ「山天」を届けることが目標です。

山本かまぼこの夢への挑戦はまだ始まったばかり。サポートしてくれる仲間を巻き込みながら進む、山本さんの強い引力があれば、遠くない未来に実現することだろう。

「山天」の次なる一手が楽しみだ。

 

山本かまぼこ店

住所:室戸市室津2431-1
電話:0887-22-0011
営業時間:午前8時30分〜午後5時
定休日:日曜、正月

 

文/長野春子