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季節ごとに足を運びたい、たたずまい静やかな和食の銘店『みどり川』美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2021年1月10日時点の情報となります。

    立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす美食家・食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。2021年最初にご紹介するお店は高知の銘店『みどり川』。

    おいしいもんを出す店は、必ず佇まいに滲むなにかを感じる。

    高知市内に店を構える「お料理処 みどり川」も、そんな「おいしいよ」と囁かれる雰囲気があった。

    白や黄色、青やオレンジの半のれんは、日本料理屋としては珍しいが、温かみがあり、人を迎え、楽しんでもらおうとする気持ちが滲んでいるような気がした。

    そして何より清潔感がある。

    佇まいも室内も、特に個性が際立ったり高級感があるわけではないが、こざっぱりとして気持ちがいい。

     

    さあ、先ずは刺身をいただこう。

    高知の旨い魚を食おうぞ。

    魚を選んで、盛り合わせていただいた。

    コーロー(石鯛)は、ねっとりと舌にからみ、少し野暮ったいような甘みがにじみ出て、心が緩む。

    アオハタの刺身は、あっさりとしているが、噛んでいくうちにほんのりとした甘みが出てくる。

    そこへすかさず酒をやる。

    もちろん酒は土佐の酔鯨、香魚である。

    次は土佐沖で獲れたというキハダマグロの中トロをいってみた  

    いい。実にいい。

    なめらかで脂が品が良く、舌と同化するような中トロである。

    アカニシ(ニシ貝 サザエと似た巻貝)のつぼ焼きを食べりゃ、サザエより柔らかく、歯がやさしく包まれて、笑顔になる。

    「風呂吹蕪友和え」は、カブのすり流しに炊いたカブが入った料理である。

    蕪の甘みが際立って、なんとも素晴らしい。

    「はあ」充足のため息がでる。これはご主人かなり手練れとみた。

    次は、安納芋を練り込んだ豆乳胡麻豆腐である。

    ねっちりとした胡麻豆腐に芋の朴訥とした甘みが溶け込んでいる。

    そのバランスや見事。

    続いて、「さえずり酢味噌」といってみた。

    角切り風にされて茹でられたさえずりは、特有の脂の香りに淀みが一切ない。口の中でするりと溶けて、余韻に残る脂を、塩梅がいい酢味噌が洗い流す。

    そして肴の最後は、王道の「カツオたたき」である。

    高知で数々の鰹のタタキを食べたが、これはトップクラスである。

    冬だというのに、脂が乗っていて香りも高く、身質もしなやかで美しい。

    すっかり嬉しくなって、〆のご飯も頼んでしまった。

    「天むす」である。

    これがまた泣かせるね。

    小海老は揚げたてで、甘辛い天つゆも、海苔もご飯もいい。

    一点の曇りもなき天むすである。

    こうなるとご主人のことが気になってくる。

    ご主人、オーナー小松高志さんは大阪や京都で修行されて高知で店を開き、もう6年目になるのだという。

    「春夏秋冬で高知はさまざまな産物があるので、その品々を楽しんでいただいております。四方竹やむかごは農家から取り寄せるんですが、すごく大きいむかごですよ。真冬には、クエで鍋と刺身もやります。春は筍がいいですねえ。夏は鱧です。湯引きにします。貝はナガレコがおいしいですね。ああ、冬は、トンゴロイワシを鱗付で揚げるのが人気ですよ。とにかくおいしい野菜と魚がありますから、それを組み合わせて料理にするのが楽しいです」。

    大変だ。

    これは季節を変えて、また来なくては。

     

     高知県高知市鷹匠町1丁目「みどり川」にて