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【高知カツオ県民会議シンポジウム】「高知と言えばカツオ!」…だったのが高知の美味しいカツオを自慢できなくなる日がやってくるかも!
この情報は2018年5月19日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなすタベアルキストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。
高知市に来ると、カツオの洗礼を受ける。
多くの飲食店の店先に「カツオ」の文字が踊っていて、これはどうしても、なんとしてでも「カツオを食べなきゃあかんぜよ」という気分になってくる。
おなじみの「カツオのたたき」だけではなく、皮をつけたままや皮を引いた刺身も揃っていて、旅人としてはその質の高さに魅了される。
最初に驚かされたのは、「塩たたき」であった。
玉ねぎ、ネギ、ニンニクという薬味は変わらないものの、ポン酢ダレではなく、粒の大きい高知の天日塩を炙ったカツオの切り身にふりかけたもので、ポン酢よりもカツオの旨味が引き立って、酒が進む。
「高知に来たなら是非塩たたきを食べて」」と、「ひろめ市場」の「やいろ亭」に連れて行かれ、食べたのが最初だった。
塩だけで食べる。
それは鮮度と質が高いカツオが大量に流通する、高知という土地ならではの食べ方なのである。
しかし、これで驚いていてはいけない。
これがカツオなのか! と、目を見開き、膝を打つカツオがあったのである。
「ゆう喜屋(ゆうきや)」は高知市内にあって、寿司も握ってくれる酒亭である。
この店でカツオの皮付きの刺身と、皮を引いた刺身を食べて、愕然とした。
色からして違う。
深緋というか暗紅色というか、いままで出会った濃い赤をしていない。
うっすらとピンク色がかった紅色なのである。
皮付きの方は、その薄紅色に銀色が対比して、皿の上で波しぶきが舞っている。
もはやその姿は、凛として、手をつけるのをためらうほど神々しい。
色気と潔さが入り交じった自然の不思議を抱えている。
この上なく新鮮なカツオだからこその色なのだろう。
噛めばねっちりと舌にしなだれ、品のある脂の甘みが滲み出て、その奥にひっそりとたくましい鉄分が眠っている。
一片の刺身が、意志を持ったかのように舌の上で崩れていく。
僕はカツオとディープキスをしている錯覚に陥って、心が溶けてしまった。
食べ物に、食材に惚れるとはこういう瞬間をいう。
高知に来てよかった。
真のカツオに惚れてよかった。
この後でソウダカツオやその新子、そしてスマガツオやモンスマガツオの衝撃にもであうのだが、その話はまた後日。