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暗闇に浮き上がる極彩色の世界!命が生み出す『アートアクアリウム展』がこの冬、高知に初上陸

       

この情報は2020年12月25日時点の情報となります。

    今回は『アートアクアリウム展』が四国・高知に初上陸。
    高知家の〇〇取材班も早速、先日開館したばかりの『アートアクアリウム展』へ潜入してきた。

    金魚が美しく舞い泳ぐ姿を作品として展示する『アートアクアリウム展』。

    国内だけでなく、海外諸国からも注目を集めるこちらの展覧会。現在までに世界各地で計39回展覧会を開催し、累計1,000万人以上の観客を動員している。

    アーティスト・総合プロデューサーの木村英智さんは、文化庁開催の『日本博』で日本を代表する現代アーティストとして認定されている方だ。

    今回はそんな『アートアクアリウム展』が四国・高知に初上陸。
    高知家の〇〇取材班も、さっそく潜入してきたぞ。

     

    まず今回、展示を見る前に、木村さんにお話を聞かせていただくことに。

    ―今回なぜ高知で開催したのですか?

    木村さん:僕は元々土佐錦魚(とさきん)が好きで、アートアクアリウムの家紋にも土佐錦魚を入れています。今回コロナ渦で、本当は賑わうはずの年末年始もそうではない状況。様々な土地で観光疲弊が起こる中、縁あってお声がけいただき、土佐錦魚で思い入れの深いこの高知を盛り上げたい、そう思ってお引き受けすることにしました。

    アートアクアリウムの家紋。

    尻尾が開いた扇子のような独特な形をしている。高知の金魚“土佐錦魚”がモチーフとなっている。

    ―金魚は全部で何種類、何匹いますか?

    木村さん:種類は50〜60ほど。数としては1万匹はいるかと思います。

    金魚は、かつて人の手によって生み出された観賞魚。

    『アートアクアリウム』はそんな金魚たちの晴れ舞台と木村さんは言う。

    そのため、多くの金魚を良い環境で美しく見せるための努力が欠かせない。

    温度や水質管理など金魚たちの環境には最大限に配慮し、金魚たちに愛情を注ぎ、幸せに過ごしてもらえるように心がけていると言う。

    ―館内をまわる上で、おすすめの楽しみ方は?

    木村さん:1作品ずつ、ストーリーをつくり、それに合わせたライティングや音楽、表現に工夫を凝らしています。アートアクアリウムは見る人を選びません。カップルでも、家族連れでも、どんな世代の方でもきっと楽しんでもらえる内容になっていると思います。

    木村さんのお話を受けて、早速高知家の〇〇取材班も館内を回ることに。

    10以上ある展示の中で、今回はおすすめのものを中心にご紹介していく。

     

    『アートアクアリウム展』の見どころ

    1、花魁

    アートアクアリウムの代表作が、この『花魁(おいらん)』。

    約1,000匹の金魚が舞うように泳ぐ大きな水槽だ。

    水槽は、高さ2.4m、最大直径2mと巨大。これは江戸時代の遊郭を表現しているそう。瞬くように水槽を照らす光は、江戸の花街の艶やかさを演出している。

    大きな水槽の中で泳ぐ金魚たちは、遊女の中でも上位だった“花魁”と、それを目指す女性たちに見立てられており、そのテーマを知ってもう一度眺めると、まるでその美しさを競い合っているかのようにも見えてくる。

     

    2、金魚品評

    水面が波立たないように作られている円形の水槽。

    横から眺めても、上から覗いても、泡や波紋も見られず、まるで水の塊を切り取ってきたかのような、透明感が特徴的な展示だ。

    水底は白くなっているため、上から覗くと金魚の影が水底に写り、美術品を観ているかのような、ついつい写真におさめたくなるアートになっている。

    横から観るとまた違った印象。

    餌を求めてか、水面に寄ってくる金魚がまた愛らしく、この作品から離れ難くなるのも魅力のひとつ。

     

    3、ボンボリウム

    江戸時代から現代に至るまで親しまれている雪洞(ぼんぼり)をイメージした作品。

    まんまるだったり、縦長だったり、雪洞の大きさも形も様々。

    真っ暗な空間に、ぼんやりと照らされる金魚たち。

    時間で色が移り変わっていくので、同じ瞬間は2度とない。

    このスタイリッシュな雪洞と、可愛い金魚の組み合わせは必見。

     

    4、大政奉還金魚大屏風

    どれも自信を持っておすすめできる作品ばかりのなか、木村さんが強いて一つあげるならこれだと教えてくれたのが、この『大政奉還金魚大屏風』という作品。

    かの昔、土佐藩が“大政奉還”をなし得た事がテーマとなっており、ここ高知にぴったりの作品。

    幅約7.8mほどの大きな屏風の形をした水槽を使用していて、今回の展示の中でも一番大きな作品だ。

    水槽には、プロジェクションマッピングで日本美術史の移り変わりが投影されており、約7分の物語が屏風の中で進んでいく。

    屏風の中はもちろん、屏風の下の光が反射している面も水槽になっており、大小様々な金魚が泳いでいる。金魚とプロジェクションマッピングとの融合には驚かされた。

    この作品は見どころが多く、様々な楽しみ方ができるため、入場者の滞在時間はこの作品の前が一番長いそうだ。

     

    5、大奥

    『花魁』同様の大きな水槽に加え、その周りにも水槽が多数並ぶ複合的な作品『大奥』。

    これは、金魚を愛でる文化が花咲いた江戸の “大奥”という時代や文化的な背景を表現している作品だ。

    それぞれの水槽で泳ぐ金魚で、たくさんの女性が自らの美貌を競い合うような大奥の世界観を表しているのだとか。

    全ての水槽から常に水が溢れており、光に反射して、キラキラ光る様がとても美しく、また、赤やピンクで照らされる水槽が独特の妖艶さを表している。

     

    その他にも

    今回紹介した以外にも、様々な作品があった。

    日本の伝統芸能である“九谷焼”や“江戸切子”を使った “和”との美しいコラボレーション作品や、プリズム効果をもたらす多面的な透明の水槽を用いた作品など。

    館内は様々な展示、そして様々な種類の金魚で溢れていた。

    展示を観て終わり、どの展示にも共通することを発見した。

    それは、展示を美しく見せるライティング技術にも終始目を奪われるが、展示一つ一つの世界観に合わせた“香り”や“音楽”もまた、作品のクオリティを一層深めているということ。

    従来の美術作品とは違った、五感で楽しむことのできる空間に終始驚かされてしまった。

    そして何よりどの作品も、金魚をより美しく見せる工夫がされており、木村さんの金魚への強い愛が伝わってきた。

    命を取り扱っている作品なだけに、煌びやかなだけでなく、どこか儚げな切なさも感じる空間となっていた。

     

    最後に

    展示を一巡りした後、最後に木村さんから「高知家の〇〇」読者に向けて、こんなメッセージが。

    木村さん:やっと今回縁あって、四国に辿りつきましたが、次回いつ四国で開催できるかは実際のところわかりません。高知では今回しか展示されないものもあると思うので、“また今度”ではなく、必ず“今”見て欲しい展示です。

    今回高知家の〇〇取材班は、一般公開後の訪問だったため、すでにSNSなどには作品の写真がいくつか投稿されていた。

    しかしそれは、実際自分の目で一つ一つ作品の前に立ち、感じるのとは全くの別物。光と音楽と香り、そして舞い泳ぐ金魚たちが組み合わさって生み出されるアートは、同じ瞬間は二度ない究極の美術作品。

    なんとすべての作品撮影O K。

    絶え間なく変わっていく光と、生きている金魚の動きが、作品の印象を変化させ、つい何度も何度もシャッターを切った。

    きっと人それぞれの楽しみ方ができる『アートアクアリウム展』

    期間は3月までと長期開催なので、今ここでしか見ることのできない『命』のアートを一度その目で体感を。

     

    施設情報

    アートアクアリウム展~高知・金魚の海~

    開催期間:2020年12月19日(土)〜2021年3月7日(日)

    開催場所:オーテピア西敷地(高知市追手筋)

    開催時間
    平日:午前11時〜午後8時(最終入場7時半)
    土日祝:午前10時〜午後8時(最終入場7時半)
    ※12月29日〜1月3日:午前10時〜午後8時(最終入場7時半)

    料金:平日 一般1,100円、子ども600円(小学生以下)、3歳以下無料
    土日祝日と12月29日〜1月3日の間:一般1,300円、子ども700円(小学生以下)、3歳以下無料

     

    ※チケットは、事前に購入をお願いいたします。新型コロナウィルスによる影響の中でもお客様に安心してご鑑賞をいただくため、入場日・時間帯を指定した入場券(予定枚数に達し次第、販売終了)となります。詳しくはHPをご覧ください。

    ※当日券もありますが、事前販売が予定枚数に達しない場合のみの販売となります。

     

    主催:公益社団法人高知市観光協会
    お問い合わせ:088-823-4016
    営業時間:午前9時〜午後7時

    https://welcome-kochi.jp/artaquarium-kochi.html