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「エノキ茸の逆襲!白金台のフレンチに添えられる『極みえのき』のチカラ」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2020年11月29日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす美食家・食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は、エノキ茸の概念を変える生産者さん「横田えのき」を訪ねました。

そのエノキ茸に出会ったのは、白金台にあるフレンチだった。

東京の白金台「クロデグルメ」という店の主菜であるステーキの付け合わせとして、添えられていたのである。

大体フレンチにエノキ茸は似合わない。

ステーキの付け合わせにも似合わない。

安い食材という印象があるため、高級感あふれたフレンチをはじめとした料理店では、あまり使われない。

ところがどうだろう。

そのエノキ茸は食感にたくましさがあって、シャキシャキと弾み、勇壮な味のステーキを盛り上げるではないか。

今まで食べてきたエノキ茸とは違う食感と香りがある。

聞けば、高知で栽培している「極みえのき」というブランドだという。

それは是非生産者を訪ねなくてはいけない。

その後も東京・八丁堀「シックプテートル」というフレンチでも出会うことができた。

それは昆布締めにしてあり、主食材に負けない味と香りを放っていた。

これは、いやがうえにも生産者を訪ねなくてはいけない。

その決意で、今回機会を得た。

「極みえのき」を作られているのは、高知市にある「横田きのこ」の横田慎二さんである。

このエノキ茸の美味しさの秘密は、培地の時に室戸沖の海洋深層水を入れることだという。

ミネラルと塩分、カルシウム豊富な海洋深層水で育むことによって、甘くて歯応えも増し、鮮度保持の期間も長くなる。

高知は魚介が豊富で美味しいことが知られているが、それも栄養分豊富な海で魚たちが育つからである。

エノキ茸もまた、高知の豊かな海の恩恵を受けていた。

ちなみに横田さん曰く、えのき、しめじ、椎茸を海洋深層水で育ててみたら、エノキ茸が一番相性良く、違いが出たという。

室戸から海洋深層水を運び、1日250リットルを使う。

栽培場を見学させてもらうと、薄暗い部屋の中では、6千株の菌が眠っていた。

23日間で菌の成長は完了し、15度に保った部屋で一週間かけ、発芽させる。

その後低温に慣らす慣らし室を経て生育室へ。

全体で250日仕込み、118度まで上げて完全滅菌をする。

こうして1日6千袋のエノキ茸が出荷される。

年間にして450トン生産されているという。

エノキ茸は、全国で13~14万トンの生産量で、そのうちの8割が長野と新潟で作られている。

ただしこの「極みえのき」は別格である。

値段も普通のエノキ茸よりは高いが、高いだけの理由がある。

ただし、どうしても安く、味も香りも弱い茸として消費者認知されているため、価格競争では厳しい。

だがこれは、そんな立ち位置だったエノキ茸の逆襲ではないか。

フレンチでも使われているのである。

エノキ茸の地位を一気に上げるのが、「極みえのき」なのである。

横田さんは、このエノキ茸を広めるために、様々な商品も開発されていた。

ひとつが7時間乾燥させた「菜菓」である。

これはエノキ茸の味が凝縮して、香ばしく旨味がある。

コリコリとしているのだが、噛んでいると口の中の水分で戻るのが楽しい。

もうひとつが、茹でて割き、タレに5時間漬け、50度で15時間かけて乾燥させた「おつまみえのき」である。

これはおせんべいのような香りと味わいがして、」少しだけ食べようかな」と手を出したら、もう止まらなくなる危険なスナックである。

いずれも「極みエノキ」の力強さがあったからこそ、完成したものだろう。

皆さんもこの記事を読んだら是非「極みえのき」を取り寄せて、食べて欲しい。

必ずやエノキ茸の概念が変わることを約束する。

 

高知県高知市介良丙「横田きのこ有限会社」