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秘密のベールに包まれた畜産試験場に潜入!美味しさへのあくなき探究と職員の鶏愛に感動

       

この情報は2020年6月9日時点の情報となります。

    高知県の畜産になくてはならない「高知県畜産試験場」。でも実際のところ何をしているところなの?秘密のベールに包まれた畜産試験場に潜入してみた!

    高知県畜産試験場とは

    高知市中心から車で1時間弱のところに位置する佐川町。こちらに高知県畜産試験場はある。

    「試験場」と言うからには、ここで色々な実験が行われているかと思いきや、周辺に広がるのはのどかな風景。なんとも牧歌的な景色だ。

    奥に見える山の斜面では、土佐あかうしが放牧されている姿も見えた。

    こちらで高知家の○○取材班を迎えてくれたのは、畜産試験場の職員 恒石望太郎さん。

    恒石さん:ちょうど今、「土佐はちきん地鶏」のお父さん鶏である「クキンシャモ」を出荷するところです。見ていきますか?

    そうこうしていると、ゲージに入ってやってきたのが、高知発祥の在来種を両親に持つクキンシャモ。

    畜産試験場から、大川村で繁殖と孵化などを行う「(株)むらびと本舗」に出荷されたのち、メスの「白色プリマスロック」と交配され、「土佐はちきん地鶏」が誕生するという。

    畜産試験場というと何をしているかいまいち分からず、私たちの暮らしとは遠い存在かと思っていた。が、意外と畜産農家さんのようなこともしていると知り、少し親近感を持った○○取材班。素朴な疑問をぶつけてみた。

    -試験場っていうので、試験管をフリフリして実験をしている感じを想像していました。なんだか、畜産農家さんみたいですね。

    恒石さん:畜産試験場にもいくつか役割があって、試験管をフリフリしている部門もあります。笑

    そのほか、「土佐はちきん地鶏」や「土佐ジロー」などの鶏を農家さんに供給するために、先ほど見ていただいたような種鶏(親となる鶏)や種卵を出荷する事業もしています。食肉の味がより良くなるために、餌を研究していたり、飼育環境・衛生環境に関する研究をしていたり幅広い取り組みをしています。

    食卓で美味しく食べているお肉たちも、様々な人が関わり研究を重ねてきた結果だと思うと感慨深い。ここからは、鶏担当である恒石さんイチ押しの「土佐はちきん地鶏」について、詳しく教えていただいた。

     

     

    土佐はちきん地鶏 誕生秘話

    あまり知られていないが、実は高知は「鶏王国」なのだという。

    恒石さん:日本の在来種の鶏は、全国で38種類。そのうち高知の在来種が8種類と、他の追随を許さないほど在来種が多い県なんです。また、その歴史も古いです。

    そんな背景もあり、鳥好きの県民が多いんです。全国的にも珍しい「卵肉供用地鶏」として「土佐ジロー」が県内の養鶏農家で広く飼育されていますが、他にも愛玩動物として買う人が多い傾向にあります。全国的に人気がある小型のニワトリ「プチコッコ」も、愛玩のニーズに応えるために当試験場で開発されたました。

    そんな鶏王国 高知で平成17年に誕生したのが「土佐はちきん地鶏」だ。


    畜産試験場で飼育する「土佐はちきん地鶏」左:メス 右:オス

    いわゆるJAS規格で「地鶏」と冠した食肉が認められたのが、平成11年のこと。全国的な需要の高まりを感じ、高知県でも平成13年に地鶏肉の開発に本格的に取り組み始めた。

    鶏王国の威信をかけて取り組むからには、最高に美味しい鶏肉でなければならない。

    まずは、「土佐九斤(トサクキン)」など高知県の在来種を使うことを決定し、それぞれの肉質の特徴をより引き出す組み合わせの研究が重ねられた。4年の歳月をかけて、ようやく「土佐はちきん地鶏」誕生したのだ。

    <最終的な種鶏の掛け合わせはこちら↓>

    「土佐九斤(トサクキン)」の持つムネ肉の美味しさと、「大軍鶏(オオシャモ)」の持つモモ肉の美味しさ。それを併せ持ったのが「クキンシャモ」だという。そして、肉の美味しさをそのままに、肉用鶏としての育てやすさなどのバランスを見て選ばれたのが「白色プリマスロック」。こうした系譜を引き継いで生まれたのが「土佐はちきん地鶏」なのだ。

    ちなみに、「土佐はちきん地鶏」という名前には、高知の負けん気が強く元気な女性を指す「はちきん」という言葉が用いられているほか、「土佐はチキン」という鶏王国ギャグが隠れている。

    現在、「土佐はちきん地鶏」に与える飼料を研究しているとのことで、現状の「土佐はちきん地鶏」と飼料に「あるモノ」を加えた「土佐はちきん地鶏」の両方を試食させていただいた。

    まだまだ研究中とのことだが、○○取材班的には「あるモノ」を加えた肉の方が味が濃く、旨味が爆発しているように感じた。

    誕生してから10数年間たった「土佐はちきん地鶏」だが、まだまだ進化を続けているようだ。

     

     

    職員の皆さんの推しは…

    お話を聞いている中で、鶏を担当している職員の方々にもそれぞれ「推し」の鶏がいることが判明。それぞれのお気に入りポイントを伺うと、鶏に対する溢れる愛が垣間見えた。

    川村悠真さん

    特技:土佐ジローの人工受精。人工授精は手間のかかる作業であるが、川村さんの技術で効率が格段に改善された。

    推し鶏:小軍鶏(コシャモ)


    小軍鶏。個性的な顔がタイプなんだとか。

     

    尾野由佳さん

    担当:獣医師。餌の改良により、食肉がどのように変化するか研究中。試験場に配属されるまでは、様々な畜種を担当していたが、今では鶏に夢中。

    推し鶏:猩々矮鶏(ショウジョウチャボ)


    丸っとしたフォルムと、ツンと立ったお尻の羽がキュート。

     

    恒石望太郎さん

    趣味:食べ歩き。食に関しては異常なほど探究心が高く、カレーを研究するためにインドで修行したこともあるほどのグルメオタク。

    推し鶏:クキンシャモ

    はちきん地鶏のお父さんとなる鶏。かわいさよりも美味しさ重視のセレクト。特に脂身が、感動を覚えるほどの美味しさだという。

     

    ちなみに、日々研究を重ねる職員がおすすめする美味しく食べる方法についても伺ったぞ。

    恒石さん:今日のように、鶏肉の味を比べるならシンプルに塩焼きがおすすめですが、はちきん地鶏を美味しく食べるなら、圧倒的に「鍋」がおすすめです。はちきん地鶏からでる出汁がたまりません。最後は雑炊で、スープまで残さず楽しんでもらいたいですね。

    土佐ジローの卵を楽しむなら、やはりシンプルに卵かけご飯。小ぶりな卵なので、ご飯の量とのバランスも取りやすく、朝食や料理の締めにぴったりです。

    そして、卵肉供用地鶏「土佐ジロー」の真骨頂は親子丼でしょう!地鶏のコクと歯ごたえ、卵黄の濃厚な旨味とすっきりとした白身がご飯の糖と絡み合って、脳内が幸福物質で満たされます(笑)。

    高知の地鶏は、どれも間違いない美味しさです。ぜひご家庭でも食べてみてくださいね。

     

    なるほど!はちきん地鶏はじっくり焼くのが正解かと思っていたが、鍋だったのか。説明を聞いているだけで食べたくなってきた。今晩は、土佐ジローの親子丼とはちきん地鶏の鍋、締めの雑炊と、W炭水化物で高知の地鶏を堪能しよう。

     

    文/長野春子