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オランダ人土佐和紙作家から学べる匠のスゴ技とは…?

       

この情報は2017年12月2日時点の情報となります。

二人で一つのものをつくりあげる…。そんな共同作業は夫婦やカップルの絆をさらに深めてくれるいいチャンス。しかもセンスがものをいうクリエイティブな作業だと、お互いの知られざる才能に気付かされることもあるかも。そこでぜひおすすめしたい共同作業が、梼原町でのオリジナル和紙作り体験。

今回その体験をするために向かったのは、「土佐の匠」にも認定されたオランダ人和紙作家ロギール・アウテンボーガルドさんが営む紙漉き体験民宿「かみこや」。オリジナル和紙作りを通じて体験者の夫婦二人の絆はますます深まるのか!?

雄大な四国カルストと里山に抱かれた紙すき体験民宿

指導してくれるロギールさんは、オランダ在住当時に製本に関わる仕事をしていたことから和紙に興味を持つ。日本各地で手漉き和紙の工房を巡った結果、高知と土佐和紙の魅力に惹かれ1981年に移住。その後修行を経て独立し、和紙づくりを通じて様々な活動を精力的に続けてきた。

紙漉体験民宿「かみこや」をオープンしたのは2006年。施設内は工房やショールームのほか、食堂、客室があり、各所にはロギールさんの和紙が使われ、独特のぬくもりを感じるしつらえになっている。宿泊も人気だが、もちろん体験だけも利用できる。

施設の背後には四国カルスト、客室からは落ち着いた里山の風景を望むことができる自然豊かなロケーションも自慢。現在は奥さんと息子さんで切り盛りしていて、三人のあたたかいホスピタリティ、そして紙漉体験の楽しさが口コミで広まり、県内外はもとより海外からもお客が訪れているらしい。

インテリアに彩りを加えるオリジナル和紙

今回挑戦するのは身近な草花を和紙にすきこんだ「草花すきこみ作品作り」。

作る和紙の大きさは25×40センチのサイズ。そのままでも切り分けて使っても良し、くるっと丸めてランプシェードにするのも良し、アイディア次第でどんな使い方もできるスグレモノだ。

体験の冒頭は、2階にあるショールーム和紙の文化や人との関わりなどのレクチャーから。在日30年以上のロギールさんは、流暢な日本語を話す。「紙幣の原料としても使われているよ」と和紙の歴史や文化を日本人にも分かりやすく解説してくれる。

ショールームには大きさから彩りまで様々な和紙が展示されている。独特の風合いと耐久性で支持されている土佐和紙を、実際に手にとって観賞してみよう。

次にロギールさんと外に出て和紙の原料に触れてみる。三椏(みつまた)、楮(こうぞ)といった和紙の主な原料は、畑でギールさん自身が栽培している。

今回の体験で使用するのは写真の楮。この楮を束ねて蒸し、その皮を原料とする。楮の皮の繊維の、長く絡みやすい性質が紙作りに適しているのだ。

自然素材と人の手による世界で一枚だけの作品づくり

レクチャーが終われば早速和紙づくりのスタート。

まずは楮を板の上で叩き繊維質を柔らかくする「叩解(こうかい)」と呼ばれる作業から。

トン、トン、トンと3回、小気味よくリズムを刻んで叩きほぐしていく。3回目は少し強めに叩くのがポイント。楮の塊は左右に広がっていくので、叩くのも平行移動しながら行い、大体3往復すればこの作業は終了。

柔らかくなった楮はバケツの水に入れてほぐし、さらにザルに移してきれいな水に4秒さらすことで、一層白さが増す。

ここまできたら、次に和紙にすき込む草花の採取のため再び外へ。工房周辺にはコスモスや紅葉など季節の草花が生えているので、のんびり散策しながらお気に入りを探しだそう。

草花を選ぶポイントは、「比較的乾燥して、あまり固くなく分厚くないもの。まだ葉が緑だと、和紙にした際に時間の経過と共にアクが出ることもあるから注意してね」とロギールさん。

また大きな葉でもちぎって配置するなどの工夫で自分らしさを表現しよう。

採取する草花は両手に一杯くらいの分量を集める。あとでロギールさんが使えるかどうかチェックしてくれるので、あまり深く考えず多めにチョイスOK。

「これ、ちょっとかわいくない?」。普段あまり気に掛けなかった枯れ葉も、視点を変えればそれだけでちょっとしたアート作品かも。二人でそんなおしゃべりしながら里山を散策するのも楽しい。

周辺の草花以外にすき込みたいものがあれば持参することもできる。

では草花が集まったら工房に戻って作業再開!

さきほど叩解した原料と水、そしてネリとよばれる粘り気のある液体を混ぜ合わせる。ネリはトロロアオイやハナオクラと呼ばれる自然素材。繊維が沈まず固まらないようにする役目がある。その強力な粘りに二人も思わず「うわ〜〜! すごい粘り!」と驚きの声を上げる。

混ぜ合わせた紙料を柄杓ですくい、枠の中にそぉっと流し込む。まずは枠の周辺から流し、残りは中心から全体にまんべんなく流していく。バケツの中の紙料が残り2センチほどになるまで、この作業を10回ほど繰り返す。

この作業が終われば、集めてきた草花を好きなように並べていく。重要なのは端から約1センチ離して並べること。それ以外は自由。ここがセンスの見せどころ!

「さてどうしようかな〜?」と悩みつつも、最初の一枚を置いてしまえば、あとは感性のおもむくまま。お互いの作業をチラ見しつつ「う〜ん、そうきたか!」と会話も弾む。

続いて並べた草花を固定するために、さらに紙料を3回静かにたっぷり流そう。

最後は彩りを加えるため、桑や杉、また土などで色をつけた紙料を好みで加える。

作品の上に台紙を敷いて、上からタオルで圧迫して水分を絞り出す。これを何度か繰り返したら、さらに紙を重ねて今日の作業は終了。紙を重ねる時は二人の力を合わせて慎重に!

作品を光にかざせば、優しい風合いの彩りが目を楽しませてくれる。「なかなかいいセンスだね!」。ロギールさんも二人の作品に感心するばかり。

この後、作品は天日干しを行い、しっかり乾かして台紙をはがせば完成!

「初めての和紙作りだったけど、予想以上に楽しかったね!」と満足げな二人。約2時間という体験時間も、集中して行う作業もあるので、思いのほかあっという間に感じた。

作品が手元に届くのは約1週間後。作品を部屋に飾れば、それを目にするたびに楽しかった思い出が蘇るはず。そんな記憶をカタチとして残せる和紙作り体験は、夫婦やカップル円満に一役買ってくれること間違いなし!

※情報提供※  高知家エクストリームトラベル社