グルメ
美味しいヘルシーな「高知家の朝ごはん」銀座のアンテナショップで買って作っていただきます!
この情報は2019年8月25日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。
「ハーブは親友です」。
まるふく農園の園主・楠瀬康博さんは、そう言って、実に優しい笑顔を作られた。
「いなくなったら困ります。植物全体が友達なのです」。
「まるふく農園」は、高知の閑静な住宅街にポツンとある。
中に入ると様々な香りに包まれた。
中央には、おそらく日本最大のカレーリーフの木とレモンユーカリの大木が天に向かって伸び、周囲には、様々なハーブが植えられている。
タイムやマジョラム、ローズマリーにディル、ミントにセージといったお馴染みなものから、タイ料理に登場する、バイマックルーにレモングラス、ガランガル、キューバでモヒートに使われるミントの一種、イエルバブエナ、アーユルヴェーダに使われるツボ草のゴッコラ、ステビアより甘いスイートハーブメキシカン、スーパー植物と言われるペルー原産のモリンガなど、珍しい植物も多い
ミントだけでも20種類、全部で100種類は育てられているという。
しかも、無農薬、自然農法である。
そのきっかけなどを、奥様が作られたハーブクッキーを食べながら、伺った。
「もともとは、同級生が高知市内に「ラビルブランシュ」というフランス料理店のシェフをやっていて、彼からこういうハーブが作れないかという打診があったのです」。
こうして元々兼業農家をやっていた楠瀬さんは、ハーブづくりを始める。
面白かったが、高知ではハーブの売り先がない。
青果市場に努めている親戚に店を紹介してもらうが、仕入れてくれても使う量もしれている。
そこで楠瀬さんは、どうせやるならと思い切って、農薬使わない、肥料も与えない、自然農法を始める。それが面白かった。
「現代の農業の基礎をすべて忘れなくてはいけないんです。なかなかうまくいかないけど、たまにうまくいくので、やめられない」。
すると土がサラサラになってきたという。
「種撒いて水をやると、土が弾くんです」。
例えばルッコラは、芽がでるまでは水やるが、あとはハウスの中でも水はやらないといった方法を取るというように、水のやり方一つとっても様々である。
結果として、すべてのハーブの持ちが良くなった上に、香りが太くなった、
肥料を使った根を自然農法の畑に入れると、微生物をバランスよく増やすのだろうか、虫もつかず、病気にもかからないという。
ここのハーブ類や植物を使う高知のレストランは、なんと幸福なのだろう。
たくさんのハーブを詰め込んだハーブ水を飲みながら、思う。
一週間に一回はお邪魔して、午後の時間を過ごしたい。そんな気持ちを伝えると、楠瀬さんは言った。
「自然の中にいれば心が落ち着きます」。
そう静かな口調で話される瞳には、安寧という幸せが宿っていた。
高知県高知市福井町「まるふく農園」にて