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上皇上皇后両陛下が召し上がられた土佐料理を作った「土佐料理 司」社長が語る高知の魅力とは

       

この情報は2019年5月30日時点の情報となります。

1917年創業の『土佐料理司』。その長い歴史の中には苦労もたくさんあったそう。大正時代から令和まで生き残るためには、何が必要なのか…社長に直接インタビュー!

高知、東京、大阪に店舗展開している『土佐料理司』。創業100年を超える老舗にはどんなストーリーが隠れているのか、今後の展開など三代目社長の竹内太一氏に直接話を聞いてみたぞ。

 

■変化し続ける老舗

記者:創業が大正6年ってかなり歴史がありますね。

竹内社長:1917年(大正6年)の創業から戦前までは祖父が3つ料亭をしていたけど、戦争で全部焼けてしまったんです。その後大衆食堂を二代目の父が始め、その後1964年に司をスタートしました。私が引き継いだときは借金があり、本当に大変でした(笑)

けど、あと20年で100周年が迎えられる! と先の目標が見えていたので、なんとかなる! とポジティブな気持ちでいました。やはり何をするにも先の目標をもってないとダメです。

 

記者:社長に就任して苦しかったことは?

竹内社長:苦しいこと…いろいろあったけど、リーマンショックや東日本大震災があったときはかなり腹くくりましたね。お客さんが減ったのでなんとかしないと…と思い。

 

記者:そんな苦悩を乗り越えられた理由は?

竹内社長:他店を真似ないことですかね。100店舗出して成功している会社もある。それはそれで素晴らしいことだけど、そのやり方はうちに合ってない。司は100年続けるために今あるものを常に磨き上げてます。

 

記者:老舗とはいえ、時代とともに変化しないといけないこともあるのでは?

竹内社長:永く続くお店にするためには変化も必要と考えてます。一定の“司クオリティ”は保ちつつ、時代に合わせたやり方も取り入れてます。

その例として、2018年11月24日に35年続いた大阪の店舗をリニューアルしました。

ここは板前がいるバルとして展開しているんですが、昔ながらのメニューだけでなく、料理人が一手間加えた料理も提供しています。

立ち飲み席も備えて、高知の郷土料理や地酒をカジュアルに多くの世代の方に楽しんでいただくための、新たな挑戦です。

 

■へそまがりな高知県民

記者:高知を知り尽くした竹内さんが思う高知の魅力はどこですか?

竹内社長:みんなへそまがり(笑)いごっそう精神が好きだね。相手が大企業でも怯まない高知県民の強さ。それは男性だけでなく女性も。そういう気質が個性的でいいね!

あとは自然。海や川、山があるって当たり前じゃないんです。東京へ出るまで気づかなかったけど、大切な資源ですね。あとやっぱり、高知の食材は本当に美味しいです。

 

記者:高知の食材といえば上皇上皇后両陛下が高知へお越しになった時、昼食を提供されたのは司ですよね?

竹内社長:退位を前に、最後にご出席された三大行幸啓のひとつ『全国豊かな海づくり大会』の式典の際、昼食として司の『土佐風懐石弁当』を提供させていただきました。

次の100年に向けてスタートしたタイミングで高知食材を堪能していただけたことは、本当に光栄なことでした。日程が決まってから、その時期にベストな状態で提供できる食材を探して、メニューを考えました。

 

記者:食材繋がりで…これからの鰹、土佐料理そして高知について思うことは?

竹内社長:近年乱獲により、水産資源の漁獲量が減ってしまっています。このままでは鰹がいなくなってしまうから守らないといけない! そう思い『高知カツオ県民会議』の設立に参加しました。

定期的にある会議で高知の経営者や有識者が集い、鰹を通して高知をどうしていくかを話合っているんです。ただ話すだけでなく、鰹の町・中土佐町の鰹のイベントに参加したり、日本遺産の登録に力を入れたりもしてるんですよ。残念ながら今年は登録されなかったですが。

土佐料理は…土佐料理って名前をつけたのはうちですが、定義はないんです。作る人それぞれの個性があるほうがいい。なので、土佐料理という言葉にとらわれすぎず、自由な発想で新たな料理ができたら嬉しいですね。

これからの高知について…高知の大きな問題は人口減。私が学生の頃は人口85万人くらいいたけど、今は70万人を切ろうとしている。2040年には50万人となると、今から策を練らなければならない。

そのために司としては、高知県産品を県外へ売って安定した雇用を増やすことで、少しでも高知に貢献できればと考えている。

 

記者:今後土佐料理を通してチャレンジしたいことは?

竹内社長:これからも素材から考えたメニュー開発をしていきます。大阪に出したバルのように、今までにないチャレンジもして新たな客層も獲得できるよう励みます。

あと、高知の商店街に県外資本がどんどん入って老舗が少なくなっている。県外のお店だけになると高知の魅力がなくなるので、3世代4世代で来てもらえる店をつくっていきたい。「よき店はよき街をつくる」。高知らしいお店が残るよう、今後どうするべきなのか、司として何ができるのか引き続き考えて行きたいです。

 

高知をこよなく愛する竹内社長。

竹内社長のように、次の時代へ向け高知が一丸となって将来を真剣に考える時期にきているのかもしれない。

 

■カンブリア宮殿に出演

竹内社長、毎週木曜日10時00分〜放送の『カンブリア宮殿』(テレビ東京)に近々出演するぞ! 番組内では「地方の生き残り策」のヒントについて語っているそうだ。

「小説家の村上龍さんとタレントの小池栄子さんとの対談は緊張しました。とくに村上龍さんの質問が鋭くて。どの部分が放送されるのかわからないけど、司だけでなく高知のいろんなスポットも撮影しているので、放送が楽しみ!」

と話す竹内社長。放送日時は番組の都合で変更になる可能性もあるので番組ホームページで確認しよう。

 

株式会社 土佐料理 司

HP:https://www.katsuo.co.jp