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高知で貝料理と言えばココ!心もお腹も満たされる「満潮(みちしお)」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2023年7月9日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす「美食おじさん」ことフードジャーナリストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は高知で貝料理といえばココ!という「満潮(みちしお)」にお邪魔してきました。

貝、貝、貝である。

高知市内の居酒屋「満潮」には、貝のメニューが乱立していた。

まずは刺身からもらおうか。

カツオやマグロには目もくれず、流れ子(ナガレコ)と長太郎、サザエともらってみた。

アワビも書かれていたが、惜しむらくは今夜は入荷がないという。

その分、流れ子があるさ。

流れ子とは、全国的にはトコブシと呼ばれる貝で、アワビと同じ軟体動物門腹足綱ミミガイ科の藻食性の貝の一種である。

海辺の岩の裏に吸い付き、岩の表面を流れるように這うことから「流れ子」と呼ばれているのだという

味はアワビに近く、ほのかな磯香の中から優しい甘みが滲み出る。

そしてアワビ同様に肝がうまい。

コクが深く、綺麗な味がする。

これを酒蒸しにしても美味しいだろうな。

次が長太郎である。

こいつは、 ホタテ貝の仲間で、一般的には「緋扇貝(ひおうぎがい)」と呼ばれている貝である。

貝殻がホタテと違って派手な色合いだが、味はまるで帆立である。

甘みの中に粘着質なうまみが潜んでいて、こいつはバター焼きもうまそうだな。

続いてサザエである。

コリコリとして磯香が弾けるが、味は淡い。

三者三様であるが、味わいの深さは流れ子の勝ちである。

続いて今度は、焼き選手権といってみよう。

鮮度の高い貝を、そのまま網焼きする海賊焼である。

焼けば長太郎は、ものすごい勢いで体液が出てくるではないか。

その汁で、ネギを煮てみた。

からみつくようなうま味があって、しつこい味の少し手前といった感があり、それが酒を呼ぶ。

一方、流れ子はすっきりとして、旨味の純度を感じるのだな。

さあ、お次は煮貝といってみよう。

ニナ貝と亀の手がラインナップされていた。

ニナ貝とは、大きさは2センチ前後の赤みを帯びた小さな巻き貝で、底はくるくる巻いているが、横から見ると三角形をしている。

北海道南部から九州までの太平洋側に生息しているのだという。

先の殻から出た黒いとこをチュッチュと吸って、汁をのむ。

しかるのち、ひねって身を取り出すが、身は小さく、ほとんどないといっていい。

一方、亀の手は、先っちょを破って、そこを啜る。

  

すると甘いようなエキスが飛び出てくる。

こっちの方が、味わいが濃いようである。

刺身、焼貝、煮貝といただいた。

それは最後の締めに、貝飯をいただこう。

あさりの茹で汁で炊いたご飯で、細かく刻んだあさりやささがきゴボウ、人参などが一緒に炊き込まれている。

創業約五十年間続くご飯で、ほっこりとした優しい気分を呼ぶご飯である。

高知に来て、「貝が食べたい」と思ったら真っ先に、来るべし。

貝好きのみならず、万人に愛される味であり、心を幸せで満潮にしてくれる店である。

高知県高知市廿代町「満潮(みちしお)」にて