高知家の◯◯高知家の◯◯ 高知県のあれこれまとめサイト
高知県のあれこれまとめサイト
  • facebook
  • x
  • instagram
  • youtube
 

仁淀川沿いの人気ドライブインで贅沢天ぷらうどん「ドライブイン引地橋」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2023年5月28日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹にとんかつ、フレンチにエスニック、そしてスイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす「美食おじさん」ことフードジャーナリストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する高知家の〇〇の人気連載記事「高知満腹日記」。今回は、仁淀川流域の人気ドライブインで美味しいカレーライスをいただくはずでしたが…。

仁淀川沿いの渓谷を走っていくと、やがてぽつんと建つ「ドライブイン引地橋」が見えてくる。

外に掲げられた看板には、「ドライブイン引地橋」という店名の上に、大きく「茶屋」と記されているのがいい。

旅する人をくすぐる名前である。

そのせいだろうか、一見どこにでもあるようなドライブインだが、昼時を大きく過ぎているというのに、なぜか車が多く止まっていた。

店に入れば満席である。

メニューを見れば、そばうどん類、カレーライス、ラーメン、丼物と、典型的なドライブイン的炭水化物オンリーで、攻めてくる。

実はここのカレーライスがおいしいと聞いてやってきた。

昔懐かしい、昭和育ちおじさんの胃袋をくすぐるカレーライスらしい。

「カレーライスをください」。

「すいません。今日はご飯が終わってしまったんです」。

なんと。

残念なお知らせに、すごすごと辞退する私ではない。

それでは作戦を変更して「天ぷらうどんをください」と、気持ちを入れ替えた。

やがて運ばれた天ぷらうどんは、予想を超えていた。

海老が2本 、長芋、南瓜、にんじん、インゲン、椎茸の天ぷらがのっているではないか。

こんなに多くの天ぷらが乗っている天ぷらうどんは、なかなかない。

すっかり嬉しくなってしまった。

天ぷらが多いため、次第に衣が剥がれて、たぬきうどん状態になっていく状態もたまらない。

ふやけた衣のふにゃふにゃが、うどんとからむ。

細いうどんと絡む。

そのちょっと下品な感じが、好きだなあ。たまらない。

やわやわのうどんとふにゃふにゃの衣という、情けない食感同士がいたわりあう優しさがある。

ふにゃふにゃ、つるり。

もはや歯の出番はなく、唇や舌や上顎に甘えっぱなしである。

つゆの色は濃いが、味は濃くない。

そのなにげないうまさも好きである。

「このうどん、天ぷらたくさんでおいしいわ」と、店のおばちゃんに話すと、

「天ぷらは、高知市の御畳瀬(みませ)から買ってきてるの。ちょっと高いけど、おいしいの」と言って、嬉しそうに笑った。

高知市まで45km、車でも一時間かかるとこへ買いに行っているのか。

意外にすごい。

すっかり気分を良くして、おでんも食べることにした。

入り口におでん鍋があって、タネを刺した串が乱立している。

それをお客さんたちが群がるようにして、次々と買っていくのだ。

テイクアウトする人あり。店内で食べる人あり。

「どうぞ好きなのを」とおばちゃんがいう。

残念ながらじゃがいも、大根は売り切れだったが、卵、こんにゃく、じゃこ天、すまき、ちくわ、牛蒡巻きと、次々に頼んでしまった。

「ここでお金払うんですか?」と聞くと

「いや後でいいです。おいしかったら払ってね」と、おばちゃん。可愛い。

おばちゃんの笑顔を見ていたら、無性にカレーライスが食べたくなってきた。

よし必ず、リベンジするぞ。

高知県吾川郡仁淀川町引地「ドライブイン引地橋」にて