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【高知グルメPro】鉄板観光スポット「日曜市」エリア追手筋のおススメグルメ4選 食いしんぼおじさんマッキー牧元の高知満腹日記セレクション
この情報は2023年5月7日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹にとんかつ、フレンチにエスニック、そしてスイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす「美食おじさん」ことフードジャーナリストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する高知家の〇〇の人気連載記事「高知満腹日記」。今回は、漁師町であり人気の観光スポットでもある中土佐町久礼の『なかとさクレスタンカリー&coffee「aster」』でオリジナルパキスタンカリーとコーヒーをいただいてきました。
漁師町、中土佐町の久礼に、パキスタンカリーとコーヒーの名手がいた。
『なかとさクレスタンカリー&coffee「aster」』の2人の名手である。
こちらは、空き店舗を一定期間貸し出し、本格営業へ向けてノウハウを学んでもらうという、久礼大正町市場のプロジェクト「チャレンジショップ」に応募した2人が、一つの店舗で二つの店をやられている。
『なかとさクレスタンカリー』を担当する東京都から移住してきた中土佐町地域おこし協力隊の卒業生のディギーさんこと田中誠一さん(写真・右)と、『coffee「aster」 』を担当する滋賀県から移住の疋田(ひきだ)隆介さんのお二人である。
「なかとさクレスタンカリー」は久礼とパキスタンを合体させた店名である。
できますものは、鰹節ココナッツカレー、チキンパキスタンカレー。それにこの二つを合わせて、地元の名所にちなんだ双名島カレーとなる。
出かけた日曜日はイベント当日で、このあいがけのスモールポーション600円があるというので、それをいただくことにした。
鰹節ココナッツカレーは、鰹節、パプリカ、カスリメティリーフなどが入っている。
鰹節は、土佐市宇佐町の「浜吉ヤ」と中土佐町久礼の田中鮮魚店がコラボして作った、厚削りの鰹節を使っているという。
実は、船から揚がった鰹のなかに10%くらい不味いカツオがあり、それをゴシ鰹と呼ぶ。
それは外見だけではわからず、身を割ってみないとわからないやっかいなもので、高知の目利きの魚屋でなくては見極められない。
硬い、血生臭い、身が白いなど色々あり、刺身では食べられないが、加熱するとおいしくたべられるのだという。
「田中鮮魚店」では、それを工夫して商品を作っている。
一切れたりとも無駄にすまいという、カツオ愛が感じられる鰹節である。
鰹節とカレーと聞くと、妙な感じを抱くかもしれないが、スリランカではモルディブフィッシュといって、鰹節文化があり、出汁としてカレーに使う。
であるから、ごくごく自然なのである。
鰹節ココナッツカレーは、玉ねぎを炒め、スパイスとトマトピューレ、鰹節をドバッと入れて水を足し、ココナッツと塩、少しのアーモンドで味付けをしたカレーである。
食べれば、ココナッツの甘い香りと鰹節の風味がよく合う。
僕らは南の海からやってきたんだよ、と囁きかけてくれる。
気分はパキスタンに飛ぶが、根底には揺るぎのない高知がいる。
パキスタンに永住した高知県民が作り出したカレーといったところだろうか。
一方、チキンパキスタンカレーは、煮こんでそぼろ状になったもので、カレーに滋味がとけこんでいる。
玉ねぎとトマトにスパイスを足し、チキンと一緒にオリーブオイルで煮込み、水分が飛んだら鶏肉をほぐして味の調整をしたカレーだという。
チキンと鰹節カレーを混ぜて、その旨みやココナッツのコクが渾然と混じり合い、スプーン持つ手が止まらなくなる。
一見優しそうな顔をしていながら、これは中毒性のある危険なカレーだな。
カレーを食べたら、コーヒーが飲みたくなる。
これもまた当然の帰結だろう、
coffee「aster」では、漁師町ブレンドというのを頼んだ。
疋田さんが厳選した豆び深煎りをブレンドしたものだという。
コロンビアがメインで、ブラジル、ホンジュラス、ガテマラをブレンドしたのだという。
久礼の水は、若干硬水で、コーヒーがさらにうまくなるらしい。
香り高きコーヒーは、実にマイルドで、コクと甘みがある。
疋田さんは、高知に毎年遊びに来ていてすっかり気に入り、今回のチャレンジャーになったという
「なぜ高知が気に入ったのですか?」と聞いてみた。。
「人が面白いんです。みんなどこでも友達みたいに接してくれる」。
そう言って笑われた。
カレーとコーヒーは、人情味溢れるこの町で生き、愛され、さらにお二人は深化していくのだろう。
中土佐町久礼『なかとさクレスタンカリー&coffee「aster」』にて