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「レア」「バラ」「鶏むね」3種の「ちゃあしゅう」が選べる連日満席のラーメン店「らーめん土佐町439」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2023年1月22日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹にとんかつ、フレンチにエスニック、そしてスイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす「美食おじさん」ことフードジャーナリストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する高知家の〇〇の人気連載記事「高知満腹日記」。今回は、高知県北部の中山間地の土佐郡土佐町田井「らーめん土佐町439」を訪ねてきました。

開店して、まだ一ヶ月も経ってないラーメン屋にやってきた。

去年12月20日、高知県土佐町に開店した「ラーメン土佐町439」である。

店は、以前はこのコラムでも紹介したうどん屋「繁じ」の場所にあった。

「繁じ」閉店後に、そっくりそのまま借り受けたのだという。

店一番の売りは「塩らーめん(750円 ※平日ランチ時は600円)」である。

早速頼むと、「チャーシューはどうなさいますか?」と、聞かれた。

「バラちゃあ」「レアちゃあ」「鶏胸肉ちゃあ」と、3種類の中から選べる。

塩らーめんは、レアちゃあにしてみた。

やがて運ばれてきた、その姿が美しい。

透き通ったスープを通して細麺が見え、白髪葱の上に糸唐辛子が乗り、太いシナチクが脇をしめ、奥にチャーシューが2枚並んでいる。

どうやらレアちゃあとは、半生風にしっとりと加熱した焼豚らしい。

「はぁ」。

スープを一口飲んで、思わず満足のため息が漏れた。

味が澄んでいる。

鶏の滋味が素直に出た味わいで、深く、綺麗な味わいが、口の中で広がっていく。

そこへ柚子がふっと香った。

さすが高知、刻み柚子がこじゃんと(土佐弁で「たくさん」の意)入っていて、後味を爽やかにする。

「塩ラーメンはごまかせません」。

そう、ご主人の河端浩史さんは言われた。

脂もうま味も足すことなく、鶏の味わいと塩だけで作り上げるスープは、火加減や塩加減、鶏の質など、すべてに渡って細心の仕事が必要なのだろう。

シナチクをかじり、チャーシューを頬張り、麺をすすり、スープを飲む。

体の中に養分が溜まっていく感覚があって、気分が充足していく。

次に「濃厚鶏白湯らーめん」(850円)を、お願いした。

こちらのチャーシューは、白湯の味わいに合わせて、バラちゃあにする。

薄茶色に染まったスープの上には、大きなばら肉のチャーシューが一枚とシナチク、小口切りのネギが乗せられ、黒胡椒がたっぷり振られている。

塩と白湯でネギの様子を変えるとは、芸が細かい。

スープを飲めば、とろりとコラーゲンのうま味が広がった。

鶏ガラと豚ガラのバランスよく、濃厚ながら、豚ガラスープにありがちな臭みがない。

この粘度の高いスープをからめながら口元に登ってくる麺がたまらない。

サイドメニューとして頼んだ、「A G O飯」もおすすめである。

アゴ節の粉と海苔を乗せたT K Gで、アゴ節のうまみでご飯が進むことこの上ない。

食べ終えて、ご主人からお話を聞いた。

河端さんは、大阪出身だという。

もともと田舎移住を望んでいて、高知には憧れていた。

そして、高知のことを調べていくうちに現在の物件が見つかり、急遽ラーメン屋を始めることになった。

大阪では牛骨ラーメンの店をやっていたが、高知の地鶏「はちきん地鶏」の魅力を以前から知っており、この鶏を使ってラーメンを始めることを思いついた。

入念に周辺の外食事情を調べていたせいで、計画通り、開店してから満席が続いているという。

何しろ、となり近所のラーメン屋まで20キロあるという、ラーメン過疎地である。

今は地元の人はもちろん、市内からも車で来るお客さんも増えた、

最後に439という店名の意味を聞いた。

「4つのThank youという意味です。お客様、働く仲間、業者様、地域の皆様への感謝を込めて付けました」

そう語る河端さんの笑顔が清々しい。

予想以上の忙しさで、仕込みが間に合わず、まだ出していないという「煮干し醤油ラーメン」を次回に食べにこよう。

そう自分に誓いながら、店を出た。

 高知県土佐郡土佐町田井「らーめん土佐町439」にて

 

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