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【高知家の〇〇特別企画『高知に来たら必ず訪れたい店』】高知の魚の類まれな力強さに圧倒される「ゆうき屋」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2023年1月10日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹にとんかつ、フレンチにエスニック、そしてスイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす「美食おじさん」ことフードジャーナリストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する高知家の〇〇の人気連載記事「高知満腹日記」。今回は、高知家の〇〇の2000記事公開記念企画「マッキーさんが高知に来たら必ず訪れたい店」の第一弾として、高知市の「ゆうき屋」をご紹介します。

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2017年からスタートした、高知のあれこれまとめサイトの「高知家の〇〇」掲載記事が、ついに2000記事に達したという。

めでたい。実にめでたい。

ひとつの県のHPの記事としては、驚異的な数である。

それだけ高知には、美味しいもののおいしいネタが豊富だという証でもある。

私も2018年から参加して4年間、飲食店の方や生産者の方、あるいは食系事業者の方々を訪ねる「高知満腹日記」を寄稿し始めて、ついに180記事に達した。

そこで2000記事公開記念として、私の「高知に来たら必ず訪れたいお店」を、何軒かご紹介したい。

まず第一弾としての訪ねたのは、高知市内にある「ゆうき屋」である。

高知といえばカツオであり、魚である。

それを語る上では欠かせない店であり、知人を高知にお連れするときには必ず訪れ、人からどこかよい店を教えてほしいと聞かれた時にも、真っ先に紹介する。

ある意味、僕はこの店を知ってから、不幸になった。

なぜなら、今までおいしいと思っていた、カツオやサバの概念が変わったからである。

この店で魚を味わう喜びを知ってからというもの、もう、「ゆうき屋」にしか行けなくなってしまった。

まずはカツオの刺身である。

高知といえばカツオのたたきだが、僕はここでは刺身にしてもらう。

皮を引いた刺身と、つけたままの銀皮作りにしてもらう。

さぁ、カツオの刺身が現れた。

すると誰しもがその姿の美しさに呑まれ、押し黙ってしまう。

神々しい輝きを放って、しばし箸をつけるのを忘れてしまうほどでである。

気を鎮めて箸でつかみ、醤油を少し漬け、ゆっくりと口に運ぶ。

うっすらとした赤みを帯びたカツオは、噛むと、舌と戯れるように崩れていく。

もっちりとしながら、どこまでも滑らかで、口腔内の粘膜を舐め回しながら崩れていく。

ねっちりと歯に絡みつき、舌に温かく擦り寄り、旨味を広げる。

その瞬間、澄んだ甘みを含んだ鉄分が舌を抱きしめるのである。

ここのカツオを一度食べたら、恋しくなって、浮気できなくなる。

人はカツオにも恋愛感情を抱くのだ。

先日は品書きに、「もんずまカツオ」があったので、速攻でお願いした。

繊維などなきかのような身は、どこまでも滑らかで、すうっと歯が包まれる。

あまりにも滑らかで舌と同化するような感覚は、上質の本鮪の中トロを食べた時、いやそれ以上かもしれない。

口をゆっくり動かすと、品のいい脂が流れ、甘い香りが口の中に広がっていく。

その他、普通の鯖とは違う、血合いがこりっと弾み、ねちっこい味が魅力の清水サバ。

橙を絞って食べると酸味の向こうから優しい甘みが現れる、太刀魚のタタキ。

どこまでも滑らかなきめ細かい身質に惚れるよこわなど、どの刺身を食べても驚きがある。

刺身だけではない、塩で焼いただけだというのに、干物のような味の凝縮感があって、酒をグイッと飲ませる「真珠貝の貝柱」。

魚の内臓を茹でて、ポン酢で和えた、この店オリジナルの一品「えんこう」は、この日はヒラメの内臓類で、肝、白子、卵、皮が揃い、中でも白子は、濃密な甘みが心を溶かした。

締めは、鰹節とカツオのアラ、鯛のアラで出汁をとった味噌汁の深い滋味、しみじみとした旨さに、充足のため息をつく。

あるいはご主人が握る寿司や、カツオ寿司やカツオ茶漬け、仏手柑で味つけた酢飯と〆サバによる押し鮨「いお寿司」もいい。

とにかくここに来れば、高知の魚の類まれな力強さに圧倒される。

そして思う。

「ああ高知に来てよかった」と。

 高知県高知市帯屋町1丁目「ゆうき屋」にて

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