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おむすび界のTKG「煮卵おむすび」から王道の塩にパリパリたくわんまでいただける「おいしいごはん本舗」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2022年8月28日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす美食おじさんマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は、美味しいおむすびがいただける「おいしいごはん本譜」であれこれいただいてきました。

おむすびに目がない。

素人のおむすびから玄人のおむすびや、コンビニのおむすびまで、すべて愛している。

だから最後の晩餐は、塩おむすび、と決めている。

そんなおむすび好きにとって、聞き捨てならない情報が入った。

高知に美味しいおむすびを食べさせる専門店があるというのである。

高知市内中心部にあるその店は、「おいしいご飯本舗」という。

店頭には様々なお米が売られている。

「朝霧舞うお米の郷で育てられた、仁井田米きぬむすめ」や、「てっぺん棚田米」、「三原村コシヒカリ」といった、選び抜かれた高知の米が数種類売られている。

これは気合の入ったおむすび屋である。

店内に入れば、「天空の郷ヒノヒカリ」「にこまる」「高知ミルキークィーン」など様々な米が売られ

ている。

そしてショーケースには、ずらりとおむすびが並んで待ち構えている。

形は三角、正統型おむすびである。

ちなみに、おにぎりとおむすびの違いを正確に言えば、おにぎりはどんな形でもよく、おむすびは三角でなければいけない。

おむすびは、山に住む神様と自分を結ぶものであるから、山の形を象って三角に握られたという。

塩、昆布、しそ梅、梅おかか、紅鮭、高菜といったお馴染みの種に混ざって異色がある。

炊き込みご飯おむすびに、十六種雑穀米。

パリパリたくわんというのも気になる。

さらには珍しい「煮卵」というのもある。

「煮卵って、卵を一個入れるんですか?」

そう聞くと、

「そうです。こんなに卵を入れて、握るんです。人気ですよ」と、煮汁につかった煮卵を見せてくれた。

よし、まずは基本の塩を試そう。

聞けば、一番人気は塩で、一人で10個や15個買っていく人もいるという。

おいしいお米の前には具はいらない。

そう思うお米好きの人が高知には多いのだろう。

食べれば、海苔の香りが広がって、その後からゆるく、ふわっと握られた米が口の中で舞っていく。

塩によって引き立てられた米の甘みが広がって、幸せな気分になる。

小ぶりなおむすびなので、朝ごはんにいいだろう。

何個でも食べることができる、おむすびだった。

次の人気だという、パリパリたくわんもいってみた。

分解してみると、おむすびの側面に刻んだ沢庵が、どっさりと入っている。

食べればネーミングに偽りなし。

ボリッ、パリッと、たくわんが歯の間で弾けて、実に楽しい。

たくわんを小口切や輪切りではなく、細く切ってあることがポイントで、そこから生まれる歯応えがこのお

むすびの魅力である。

全国のたくわんおむすびも見習って欲しい。

しそ梅は、これまた大きな梅干が潰されて片面にびっしりと入っている。

どうやらこの店のおむすびは、どれも具のサイズが大きい。

米と具が、がっぷり四つに組んで、どうだあと叫んでくる迫力がある。

チマチマせずに、梅干なら梅干、鮭なら鮭と存在感を示さなあかん。

高知人の気風の良さ、おおらかさが出たおむすびである。

そんな姿勢が前面に出ているのが、煮卵である。

煮卵一個、おむすびとセットになってノリで巻かれている。

おむすびが、大きな煮卵を、よいしょとおんぶしているような姿が微笑ましい。

しかも味が馴染むよう、白米ではなく、煮卵の汁を炊き込んだご飯であるところが、憎い。

あむっと、大きな口を開けて噛めば、半熟の黄身が現れる。

黄身の甘みが米の甘みと抱き合って、顔が崩れる。

こりゃあ、おむすび界のTKGである。

全国のコンビニが真似する日も近いかもしれない。

さらに今回は、出会えなかったが、とうもろこし炊き込みご飯とか日曜日限定で鰹飯もあるらしい。

最後に、「こんなたくさん米を売られているのですが、何を使われているのですか?」と、販売員のおばさ

まに聞いてみた。

すると「冷えてもおいしいものを選び、ブレンドして使ってます」。

そう答える顔が、自慢げなのが素敵だった。

高知県高知市帯屋町1丁目「おいしいごはん本舗」にて