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神戸で開業47年 高知の新鮮食材を提供し続ける郷土料理の老舗店「土佐」兵庫県神戸市中央区三宮町

       

この情報は2022年8月2日時点の情報となります。

 

「土佐」は、兵庫県神戸市中央区の目抜き通り『三宮センター街』の地下三宮センタープラザ東館にある、その名の通り土佐の郷土料理店。センタープラザが建った当初からお店を構えられていて、開業47年にもなる老舗店です。

経営されているのは、店主の所谷和彦さん・冱美(さえみ)さんご夫婦。店主の和彦さんが脱サラして始められたお店なのだそう。

今回は、店主の所谷さんご夫婦に「土佐」を始められた経緯や高知への想いなどをお伺いしました。

脱サラで宿毛から神戸へ。高知直送の食材で郷土料理を提供


高知名物「うつぼのたたき」

─「土佐」は、どのような経緯で始めることになったんですか?

所谷さん:脱サラをして、高知県宿毛市から神戸へ出てきました。昭和50年(1975年)のことです。おばさんから店の権利を譲り受けて、最初は土佐の有名旅館の板前さんと3人で土佐料理店を始めたんです。土佐出身やし、他のことを知らなかったから、どうせやるなら土佐料理をしようと。それが結果的に他店との差別化になり、当店の強みになりました。

─当時のエピソードで、印象に残っていることがあれば教えてください。

所谷さん:開店当時の47年前のことです。ニンニクを鰹のタタキに使おうとしたら、笑われまして。今でこそニンニクは、餃子や料理に使われる食材になっていますが、当時はまだ神戸では浸透していなかったんです。

─そのような中でニンニクを使われるなどして、関西にも高知の味を伝えようとされていたわけですね。

所谷さん:お客さんからは、「高知の料理は、珍しい」と喜んでもらえました。高知からちゃんばら貝やうつぼ、にろぎ、やけど(ハダカイワシ)を取り寄せたりして。そうしなかったら、生き抜いてこられなかったんです。

魚介と野菜がふんだんに入った寄せ鍋の卵とじ

─当時の厳しい日々のことが、お言葉の端々から感じられます。脱サラをしてお店を構えられたとのことですが、仕入れルートなどはどう開拓されてこられたのでしょうか?

所谷さん:最初は仕入れのルートを持っていなかったので、高知県に問い合わせたり、大阪の高知県事務所に伺ったりしてルートを開拓していきました。そのおかげでいつも、高知直送で仕入れた新鮮な食材を使った料理の提供ができています。特に、うつぼのタタキは関西では珍しく人気のメニューです。

お客がお客を呼び、口コミで土佐名物料理店として知られるように

─開業する上で、大変だったことはありますか?

所谷さん:脱サラして高知から神戸に出てきて、そのうえ裸一貫で立ち上げた店ですので、来店してくれるような知り合いはもちろん、お客さんもなかなか来ていただけず。借金をして始めた店でもあったので、小さい子供を2人抱えながら、家賃やビルの管理費を支払っていくのは、大変でした。今でもまだコツコツと返済しているところです。

─お客様がなかなか来られなかったとのことですが、どこに転機があったのでしょうか?

所谷さん:何気に店に来てくれたお客さんが、次の来店時にお客さんを連れてきてくれるようになり、徐々にお客さんが増えていったんです。ほとんどが口コミでした。

所谷さん:前神戸市長の矢田立郎さんは、神戸市職員時代から来てくださっていましたし、高知にゆかりはなくても地元神戸の新聞やラジオ、大学教授や、公務員、銀行員なども沢山きてくださいました。

最初に来店してくださったお客さんに、ええ人が多かったんです。それだけでなく、お客さんからは、お店を運営するためのアドバイスもいただきました。

─口コミが広がってお客様を呼ぶ、好循環になったわけですね。

所谷さん:そうですね。周りからは、客筋のいい店と言われています。

元気でぼちぼち店を続けていけたらそれでいい

─今後のお店のことについて、何か計画があればお教えください。

所谷さん:現在80歳と76歳なので、今のままお店を続けていけたら、それでいいです。体を動かせて、2人が食べて生きていけたら、それでいい。ぼちぼち、やっていけたらと。すでに独立した息子達がいますが、継がせることは考えていません。

47年間、神戸で土佐料理を提供し続ける高知PRのパイオニア

濃厚な味わいが特徴の高知地鶏「土佐ジロー」の卵かけご飯

─所谷さんのご出身地は宿毛市とのことですが、宿毛市がどんな場所なのか、教えていただけますか?

所谷さん:宿毛市は、四万十川の西、愛媛県との県境にある市です。交通の便があまり良くなく、都会からも遠く離れた地域なためか、陸の孤島ともいわれていますね。そんな宿毛市ですが、芸人の間寛平さんの出身地でもあるんですよ。

─陸の孤島ですか。コロナ禍になって県をまたぐ移動が難しい日々が続いています。以前はどのようなときに帰郷をされていたのでしょうか?

所谷さん:親兄弟が現在では宿毛市におらず、いとこやはとこしか暮らしていないため、10年ほど前から帰郷することはなくなりました。以前は、実家とお墓参りに、JR土讃線の夜行で6~7時間かけて帰っていました。

─瀬戸大橋などが開通していても、神戸から6~7時間もかかるのですね。そうした故郷や高知に対して、改めて今どんな想いを感じておられますか?

所谷さん:悠々とした大自然の中で育ったことが、精神的に役に立ったと感じています。高知県人は、小さいことにこだわらない、明るくておおらかな気質。さっぱりとしていて、裏表もない。純粋で、人の面倒見が良い。そんな人たちが集まる高知県県人会に参加して、高知県出身でよかったと思います。

─県人会の繋がりが支えにもなっているんですね。今後、高知県に対してこんなことをしていきたいといった構想などはお持ちでしょうか?

所谷さん:高知県への恩返しとまではいきませんが、高知の食材を関西で提供し続けることです。味は、関西に合わせていますが、高知特有の味付けのほうが良さが出る料理は、そのままの味で提供しています。それらを決して高い料金ではなく、高知の値段そのままで関西で提供し続けることも、一つの恩返しかと考えています。

 

店舗情報

郷土料理 土佐(とさ)

住所:兵庫県神戸市中央区三宮町1-9-1 三宮センタープラザ東館 B1F

電話番号:078-331-6080

参考URL:https://tabelog.com/hyogo/A2801/A280101/28006322/ ※公式ではない

営業時間:11:30~21:30

定休日:日曜日 ※祝日は営業