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胃袋を鼓舞するラーメン2杯!うどん屋の隠れ人気メニュー「三里うどん本舗」とキングオブ町中華「宝永」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2022年5月22日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹にとんかつ、フレンチにエスニック、そしてスイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす「美食おじさん」ことフードジャーナリストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する高知家の〇〇の人気連載記事「高知満腹日記」。今回は高知麺の旨さを実感できるラーメン2杯をご紹介します。

「中華そばは隠れた人気です。実は製麺機買って、自家製麺やったんですけど、うどんを打つのが精一杯でやめましたわ」。

高知市十津の「三里うどん本舗」の店主は言われた。

うどん屋にラーメンとは珍しい。

いままで高知のうどん屋は、10軒近く行ったがラーメンをやっているところはなかった。

そこで気になり、頼んでみたら、これがすこぶる美味しいラーメンだったのである。

お姿もいい。

茶色のスープには透明感があって、細麺が見え隠れしている。

そこにチューシューが二枚、シナチク、キャベツの千切りときた。

昭和をしのばせる姿である。

醤油味のラーメンスープは、こっくりと濃く、そこに極細麺がからむ。

味がよくしみた煮豚と優しい味のシナチクというコントラストがいい。

そしてラーメンの具としては珍しいキャベツの千切りを麺と一緒にすすれば、しなやかな麺との対比が生まれて、実に楽しいのであった。

「スープは、うどんの出汁に昆布をたくさん入れて取ります。動物系は使っていません。でも最後に鶏油を少し垂らしてます」。

ご主人はそう言ってにっこりされた。

そうか、このうまみの膨らみは、中国料理でよく使われる鶏油(鶏から抽出した脂)だったのか。

うどん屋なのに、工夫がある。

うどん屋ながら、ラーメン屋に勝る誠実がある。

それは、心をふっくらとした手で撫でるラーメンだった。

【記事】うどん愛溢れるうどんがタダのうどん屋「三里うどん本舗」

 

「鶏と豚だけでは味が出ない。だから必ず魚を入れる」。

キングオブ町中華、高知の「宝永」のご主人は言った。

さすが「宝永」、ラーメンスープも一筋縄ではいかない。

スープを飲めば、さまざまな旨みが迫ってきて、食欲を掻き立てるのである。

だから散々ここで料理を食べた後でも、無性にラーメンを注文したくなるのである。

肉と魚によるスープは旨味が深いのに、丸くまとまっている。

何かの味が突出してない。

薄茶色のスープは、味が透き通り、優しいのだが、奥底に「あなたをぜったい離さないわよ」というしぶとい滋味がある。

食べ進むうちに、そんなスープの虜となる。

スープを絡めて口元にのぼってくるのは、しなやかな極細麺である。

あまりの麺のうまさに、どこか聞けば、高知市神田(こうだ)にある佐竹製麺所製だという。

「あそこはいい麺を作る」。

そうご主人は言い切った。

覚えておられるだろうか。

以前ご紹介した、高知市内の「弥栄園(みいろんゆん)」で食べた「国産小麦のシンプル汁そば」の甘い小麦の香りがする麺の話を。

【記事】麻婆豆腐に焼売に芥藍菜のエビみそ炒め!中国料理を食べて知った高知の底力「中華料理 弥栄園(みいろんゆん)」

同じ製麺所である。

高知は、うどんが美味しい県である。

旨い麺が作られている県なのである。

当然中華の麺も美味しくなるというわけである。

あらためて高知の実力を思い知った。

ラーメンの、こっくりと煮しめられた焼豚も、淡い味付けのタケノコ水煮も、しみじみとおいしい。

それは、我が胃袋を鼓舞するラーメンだった。

【記事】絶品いちご入りチャーシュー酢豚!餃子にギアラにピータンと大将おススメを食べつくす高知のキングオブ町中華「宝永」

※宝永は2022年6月閉店しました。