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店名の「高知」は高校時代の仲間への応援のため 京都・三条大宮「炉端焼 高知」

       

この情報は2022年4月6日時点の情報となります。

京都三条会商店会は、歴史から考えても、規模からいっても、京都を代表する商店会です。1914年に始まり、今は約800メートルのアーケードの下に、200近くの飲食店・小売店・医院などが並びます。

その一角にあるのが、「炉端焼 高知」。店内に入ると、店内にびっしりと張られた高知県の郷土料理の名前が目に飛び込んできます。

大将の佐藤栄喜さんに、店名の「高知」に込めた想いをお聞きしてきました。

ひたすら高知県にこだわった料理を出したい

-お店の名前が「高知」とは、思い切ってそのものズバリにしましたね。

佐藤さん:高知県にとことんこだわりたいと思っています。まずは、高知県産の食材ですよね。こだわりすぎた結果、メニューの数が減ってもかまいません。ただし、そうならないように、仕入れはしっかりやらせてもらっています。

土佐湾中部の須崎市あたりの漁港などにも度々足を運んでいるんですよ。春と秋はカツオ、夏はハモ、秋にタチウオ、冬はブリと四季折々に質のいい魚が上がります。もう40年ほど飲食業界にいますが、まだまだ知らないことがあって、高知県に行くたびに、魚にせよ山菜にせよ、「こんな食材があるのか」とびっくりさせられます。一生勉強です。

―その高知県ならではのメニューには、今日は何がありますか?

佐藤さん:ウツボがあります。ぜひ、食べてみてください。ウツボは、食べるときには骨抜きをしなければなりませんが、ヌメヌメとしているからさばくのも大変な魚のため、ほかの土地ではあまり食べないみたいですね。しかし、その身は白身でコリコリしていて、実は高級魚なんです。

ウツボをよく見ていただくと、透明感があると思います。これほど白く透き通ったものをだしているところは、京都では他にはないはずです。ウツボの美味しい食べ方としては、軽く表面を火で炙り、たたきとして食べるのがおすすめですよ。

あと、野菜ならばイタドリかな。高知県人には懐かしく、ほかの地域の人には目新しい味のはずです。

「歳を取ったら じっくりと経営したい」と京都で再スタート

―ご出身は高知県内のどちらのご出身でしょうか?

佐藤さん:生まれたのは、県南東部の室戸市です。野球をやるために、高知市内の高知中学・高知高校に進みました。高校の方は、春の甲子園でも夏の甲子園でも優勝経験もある野球の強豪校です。中学から寮暮らしでした。ですから、出身地を尋ねられたら、「室戸市」よりも「高知市」と答えています。

―高知県を離れたのは、いつでしょうか?

佐藤さん:高校を卒業して、まず大阪にでました。1年ほど会社勤めをした後、寿司職人の修行を始め、22歳のときにはもう自分の居酒屋を持っていました。場所は東大阪市の布施です。そこから、支店も作って、数店舗を展開するまでになりました。ところが、これらがうまくいかなくなって、46歳で最後まで残ったお店も閉めました。いわゆる「金融危機」のころの話です。

―京都のお店はいつからですか? また、大阪から京都に移ったのには、どんな理由があったのでしょうか?

佐藤さん:最後のお店を閉めたすぐ後に、知人から「京都でやっているお店を手伝ってやってくれ」と頼まれ、京都に来ました。この「炉端焼 高知」を開店したのは、3年前です。

前の自分のお店を閉めた後に、あちらこちらの繁盛店を見て回りました。再スタートでは、大阪でお店を持つ選択肢もあったとは思います。しかし、「この年齢からならば、大阪よりも京都のほうが落ちついて、お店がやれる」という気がしたんです。一方、大阪は「時代の流れに合わせ、バタバタとお店のやり方も変えていかないといけない」といった印象を持ちました。

それとね、お店を出してから気がついたんですが、どうやら高知県を前面に出したお店をやるのには、大阪よりも京都の方が都合がよさそうなんですよ。京都は坂本龍馬とのゆかりが深くて、その分、龍馬も人気があります。新選組に襲われて亡くなったのも、京都の「近江屋」です。龍馬への人気がお店にはプラスに働いている気がします。

今後の事業展開について

―今後、お店はどう発展させていく予定でしょうか?

佐藤さん:「今後、どうするか」は常に計画を練っています。気になるのは、郷土の偉人です。「岩崎弥太郎だったら、このお店をどう経営するのだろうか。坂本龍馬だったらどうか」なんて考えます。

計画の内容は、具体的には「どんな建物にして、内装はどうして、メニューはどうする」などです。今のお店はお金がないときに始めたので、十分なことができませんでした。早く次のお店を持って、気に入ったように内装・外装をしたいんです。

―具体的な構想はあるのでしょうか?

佐藤さん:ポイントはやはり木ですね。ほかの素材ではぬくもりがでませんから。参考にしようと思って、高知県西部の梼原町(ゆすはらちょう)にも行ってきました。愛媛県との県境にあって、清流で知られている四万十川の源流地域です。

東京オリンピックのメイン会場の新国立競技場で知られる隈研吾さん設計の建物がいくつもああります。ホテルや図書館、町の庁舎など、いずれも内装にも外装にも木を多用し、周囲の野山に溶け込んだ建物です。それらを見ながら、「こういった建物を京都に持ってこられないか」と考えていました。

梼原町は高原地帯です。気象条件によっては雲海が見られ、温泉もあります。私は今後のビジネスのために行きましたが、観光にもいいですよ。

高知県への想い・高知県人としてのプライド

―地元を離れて長いようですが、高知県への想い入れはありますか?

佐藤さん:もちろん、ありますよ。泥谷(ひじや)光信・土佐清水市長、楠瀬耕作・須崎市長など高校時代の先輩方が地元でがんばっています。実はお店の名前を「高知」にしたのも「地元の外で、自分ができる協力はこれぐらいかな」と思ったのも大きな理由です。

佐藤さん:使っている食材も、須崎市あたりが多いものの、可能な限り高知県全域から選ぶようにしています。中学・高校には生徒は高知県全域から来ていました。寮に入っていたせいもあって、高知市以外の連中とも仲良くなりました。「彼らの地元の食材を使うことで、ちょっとはあいつらの役に立っているかも」と思いながら、お店をやっています。

店舗情報

炉端焼 高知

住所:京都府京都市中京区三条大宮町276-2

営業時間:11:45〜14:00/17:00〜22:00

定休日:不定休

URL:https://robatayaki-kouchi.owst.jp/

電話:075-841-5026