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高知でいただくナポリ感じるピッツァマルゲリータ&パスタ「pizza.s.sekine(ピッツァ エス セキネ)」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2021年6月13日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす“美食おじさん”マッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は、ピッツァの生まれ故郷ナポリに風土や人々の気質が近い高知のピッツェリア「pizza.s.sekine(ピッツァエスセキネ)」を訪ねた。

高知野菜のパスタをいただいたときたら、お次はピッツァだろう。

【記事】高知で野菜料理を食べるならココ!太陽の匂い感じる高知野菜リゾット&パスタ「イタリア料理専門店 akka」

ということで高知市は、南万々にやってきた。

「pizza.s.sekine(ピッツァエスセキネ)」は、2020年の4月にできたピッツェリアである。

燦々と照りつける太陽、青い空に海、おおらかな県民気質、豊かな野菜や果物と、高知はピッツァの生まれ故郷ナポリに近く、最もピッツァが似合う土地だと思っていた。

しかし残念ながら、いままでおいしいピッツァに出会っていない。

店に入れば、小麦粉の甘い香りが漂い、奥には耐火レンガで組み上げた窯があり、中では薪が燃えている。

いいぞ。

これこそナポリピッツァの光景ではないか。

早速、基本の基である、「マルゲリータ」と「マリナーラ」を頼む。

ナポリピッツァでは、この二つがきちんとできてなくてはいけない。

「マルゲリータ」はモッツァレラチーズとバジルの葉を載せたシンプルなピッツァで、ナポリを訪れた王妃マルゲリータのためにピッツァ職人が作ったとされる、伝統的なスタイルである。

一方「船乗り」という名前の「マリナーラ」は、トマト・ニンニク・オリーブオイル・オレガノを使ったピッツァである。

にんにくの香りが磯香を感じさせるからこの名前がついたという説もあるが、お腹をすかせた漁師たちが、パン屋さんに来て、その場にあったトマトとオリーブオイルで美味しいものを作らせたのがきっかけだという説の方が説得力がある。

いずれも具材がシンプルなだけにごまかしがきかない。

真のナポリピッツァ協会の認定も、この2種で判断するという。

さあ運ばれてきた。

パンが焼けた香ばしさと同じ香りが立ち上って、顔を包む

コルニチョーネ(ピッツァの外円の縁、耳たぶ、額縁)もふっくらと膨らんで、焼け焦げは少なく、気泡もない。

マルゲリータは、モッツァレの白と、バジルの緑、オイルに溶け込んだトマトの赤が対比を成しながら、三色がくっきりと浮かんでいる。

一方、マリナーラは、にんにくの白、オレガノの緑、トマトの赤が鮮やかに映えている。

食べれば生地はしなやかで、軽くもちっと押し返す弾力があって、歯を喜ばす。

何より具材と生地のバランスがいい。

たくましくも調和がとれている。

トマトの酸味、バジルやオレガノの香り、生地の甘い香り、ニンニクの香りやかすかな苦み、チーズのコク、オリーブオイルの旨みが手を取り合い、ほどよい塩加減などが、美しく響き合う。

普通は手でパクパク食べるが、これはイタリア人の様にファークとナイフを使い、先端の尖っている方から折りただんで食べてみたくなる。

そうして食べても、焼けた生地が柔らかいので、きれいに食べられる。

おそらく加水率も高いのだろう。

一軒前の店でパスタとリゾットを食べたというのに、ピッツァを瞬く間に食べ終え、なにか嬉しくなってパスタ頼んでしまった。

豆と豚肉の煮込みという、渋いメニューである。

パッパルデッレという幅広手打ち麺に、豆の優しい甘みと豚肉のうま味がからんで、楽しい。

そんなパスタもピッツァも、お昼は前菜盛り合わせとドリンクがついて1350円というからお値打ちである。

店内が満席なのも、今まで高知にはなかった質の高いピッツァや質の高いパスタ料理が食べることがかなうからであろう。

メニューを見れば、ナチュラルワインも充実しているようである。

よし今度は、昼から飲むぞ。

それこそ高知らしい、正しいピッツェリアの過ごし方なのである。

 

高知県高知市南万々「pizza.s.sekine(ピッツァエスセキネ)」にて