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高知県初トラフグの養殖に成功!無毒で高品質な土佐市の新名物『龍馬ふぐ』を堪能

       

この情報は2021年3月11日時点の情報となります。

    高知県内でも珍しいトラフグの陸上養殖を行っている、土佐市に事業所を構える株式会社タナックの取り組みと、龍馬ふぐの料理を提供しているお店をご紹介。

    今、土佐市の新たな特産品として、絶賛売り出し中の『龍馬ふぐ』をご存知だろうか。

    今回は、『龍馬ふぐ』を養殖している現場を訪れ、これまでの経緯や今後の展開について株式会社タナック・土佐工場(土佐市蓮池)の担当者に話を聞いた。

     

    異業種から『龍馬ふぐ』の養殖に挑戦

    大阪府に本社を構えるタナックは、住宅や立体駐車場などの骨組みやタイル外壁といった建材・住宅部材の製造を行っている会社だ。高知県宿毛市や三重県などに工場がある。

    一見、ふぐの養殖とは無関係のように見える。実は、従業員のある行動が転機となってふぐの養殖事業を始めたのだ。

    タナックでは製品製造の際に竹酢液と竹炭が出ていて、これを何とか利用できないかと考えていた従業員。試しにこれを当時飼っていた熱帯魚の水槽に入れてみたところ、水質が浄化され、魚が大きく成長したという。

    このことに着目し、高知大学農学部の教授と共に実験と研究を重ね、2014年に養殖に特化した工場を土佐市に作った。2015年には、成長したふぐからの採卵に初めて成功し、卵から成魚まで育てるノウハウの研究を続けてきた。

    土佐工場では、200トンの水槽を4基、60トンの水槽を6基設置して、約2万匹を養殖している。

    県内外への出荷や、飲食店やホテル等との取引先の増加に積極的に取り組んでいるのだという。

    お話を伺ったのは、稲見 佑子(いなみゆうこ)さん。

    -なぜ、トラフグを養殖することになったのですか?

    稲見さん:他にも候補はいくつかありましたが、トラフグは扱いやすいサイズで、陸上で養殖するのに向いている種類なんです。

    私たちが知る限りでは、高知県内でトラフグが養殖されているところは、ほとんどないと思います。
    土佐市は水が豊富で水質も良いので、養殖に適した環境ですね。

    -養殖をする中で大変なところは、どんな部分ですか?

    稲見さん:「歯切り」ですね。

    ふぐを1匹ずつ鷲掴みにして、口を開けてニッパーで一気に歯を切る作業です。
    出荷するまで、1匹につき3回は必ず行います。

    ふぐの歯は、釣り針をかみ切るくらい非常に鋭いので「歯切り」をしないと、ふぐ同士が噛み合いをしてヒレがボロボロになってしまいます。

    養殖をする上で、必要な作業です。


    写真:ふぐの歯

    -『龍馬ふぐ』の特徴を教えて下さい。

    稲見さん:龍馬ふぐには5つの特徴があります。無毒、良質、環境にやさしい、栄養が豊富、安全性です。

    その他当社では、水槽内の水流をあえて速くし、ふぐが積極的に泳ぐ環境を作っています。このことによって、程よく筋肉がつき身が引き締まるんです。

    水流と餌を管理することで、安心安全で良質なトラフグを育てることができます。

    写真:仕分けの様子

    -これから『龍馬ふぐ』をどのように展開していきたいと考えていますか?

    稲見さん:一時的なブームといったものではなく、定着をさせていきたいですね。ふぐは脂質が少ないので、季節によって味が変化しないんです。

    ふぐと言えば鍋のイメージが定番ですが、例えば夏には焼きふぐがおすすめですし、他には和食だけでなく、洋風の味付けなどで食べても美味しいですよ。若い人にも食べてほしいですね。

     

    龍馬ふぐが堪能できる『割烹 玉杯』

    こうした取り組みを知った地元の飲食店が一緒に盛り上げていこうと、新メニューの提供をはじめた。

    そのひとつが、商店街にある老舗の『割烹 玉杯』だ。

    昨年6月から『龍馬ふぐ』をメインにした定食を提供している。

    弾力があり歯ごたえ抜群のてっさ(ふぐの刺身)や、旨味が凝縮された唐揚げ等がついてお値段は2,400円(税別)と、トラフグ料理としてはリーズナブルな価格。

    ふぐ好きはもちろん、ふぐを初めて食べる人からも「おいしい」「人に勧めたい」と好評だ。

    また昨年の11月からスタートした鍋のコース。値段は4,300円(税別)。

    ぶつ切りのトラフグの身と白子が盛り付けられたお皿に、思わず歓声が上がる。

    鍋以外にも、てっさや湯引き皮ポン酢、唐揚げが付いており、龍馬ふぐを余すことなく堪能できる贅沢な内容になっている。

    せっかくなので、土佐市にある蔵元『亀泉酒造』の日本酒で乾杯。

    てっさや湯引き、お鍋に欠かせないポン酢はお店の手作り。

    その美味しさに箸もお酒もどんどん進んでしまう。

    ムチッとした歯ごたえの身と、口に入れた瞬間にトロッととろける白子をそれぞれ味わえるのは鍋ならではの楽しみだ。

    〆は、龍馬ふぐの旨味がたっぷり染み込んだ雑炊。

    心がホッと和む味わいに、お腹がいっぱいなのに思わずおかわりしてしまった。

    大満足で店を後にしようとしたとき、隣の席に座っていたお客様からも「これが土佐市で作りゆう『龍馬ふぐ』よ」「初めて食べる!おいしそうやねぇ」と、話す声が聞こえてきた。

    これから土佐市の新名物になるかもしれない『龍馬ふぐ』。ぜひ沢山の方に味わってほしい。

    ※定食及び鍋コースは、3月末までの期間限定
    ※ふぐ料理は2人前から、前日までに要予約。

     

    企業/店舗情報

    株式会社タナック 土佐工場

    住所:高知県土佐市蓮池4609-1
    電話番号:050-3303-6271(代表)
    FAX:088-828-7050

    割烹 玉杯

    住所:土佐市高岡町丁乙38
    営業時間:午前11時30~午後1時/午後4時30分~午後10時まで
    定休日:月曜、第4日曜
    電話番号:0120-026-678

     

    文/上野 伊代