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蒲焼きが2段!食いしん坊心をくすぐる地焼きのもっちり「鰻重」に歓喜 佐川町「大正軒」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2021年1月31日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす美食家・食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回はマッキーさんの記事で人気の高い「鰻」。佐川町の「大正軒」を訪ねてきました。

ご飯の上で飴色に焼かれたうなぎの蒲焼が、ふっくらと膨らんで、その身を誇っている。

ごくり。

思わず唾を飲み込んだ。

あとはもう、脇目も振らず、一気呵成である。

噛めばもっちりとして、歯がうなぎに包まれる。

身の中はタレにマリネされたように、タレとうなぎの甘みが渾然一体となって、味が濃い。

タレは濃密で、たっぷりとかかっている。

うなぎを二列で置かず、一列で置かれるスタイルも珍しいが、このもっちりとした食感も珍しい。

ここは佐川町の「大正軒」。

料亭のような佇まいで、個室の桟敷でいただいのたのは、うな重上 3500円である。

創業大正2年、四代目和田匡弘さんに焼いていただいた。

蒸さない地焼きである。

15分前後じっくり焼いていく。

聞けば、昔からこのスタイルで、一列で並べていたという。

今夜のうなぎは、一匹300gというから通常の鰻屋より少し大きいのを、三分の二ほど蒲焼にしている。

今は全国の問屋から仕入れているといううなぎだが、それぞれ個体によって差があるので、ふんわりと焼くのは熟練の技がいるという。

「一本で焼くので厚みが出ます。誰にも負けないうなぎを目指しています」。

そう和田さんは言って、目を輝かされた。

ふっくらとして柔らかいが、うなぎの筋肉を感じる蒲焼である。

「噛んで」とうなぎから言われるような、凛々しい蒲焼である。

蒲焼を噛み噛み、すかさずご飯をかき込む。

ここで、ふと気がついた。

ご飯に乗せられているのはうなぎ1本の三分の二だ。

残り三分の一はどこへ行ったのか?

次のお客さんへ回すのか?

はたまた、なにかしら事情があるのか。

そう思いながらいただいていると、なんと現れたではないか。

蒲焼は、上に三分の二、その下のご飯とご飯の間に残りの三分の一が挟まれていたのである。

思わず喜色満面となった。

宝物を探り当てたような、予想外のおまけをもらったような気分である。

しかも、挟まれた蒲焼は蒸された状態になっているので、よりふんわりとして、ご飯と馴染む。

ああ、憎いね、こんちくしょう。

食いしん坊心をくすぐるじゃありませんか。

食べているうちに鼻息は荒くなり、体は上気していく、

うなぎを食ったぞお、という気分が体に満ちて、精力がついた感がある。

プロ野球選手が多く訪れ愛されているというが、その理由がわかった気がした。

高知県高岡郡佐川町甲「大正軒」にて

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