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【高知グルメPro】和歌山県から移住してきた主人が作る美味懐石をいただく「峯岩」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2024年3月31日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなすフードジャーナリスト「美食おじさん」ことマッキー牧元さんが、高知の料理店・生産者さんをめぐる「高知満腹日記」。今回は高知市の割烹「峯岩」で和歌山県から高知に移住してきたご主人の料理をいただいてきました。

高知県で食事をして、ご主人と話していて気づくのは、よその県からの移住者が多いことである。

「すぐ他人と仲良くなれる県民の人柄が気に入りました」

「食材のポテンシャルの高さと豊富さに驚きました」

「南国気候というか、太陽の強さが好きです」

などと様々な理由で移住してきた理由を語る。

この「峯岩」のご主人も移住者で、和歌山県出身だという。

同じ太平洋に面した土地なので、気候も似ているだろうと思うが、彼も食材の力に魅せられたという。

店に立つは彼一人。

カウンターに座り、いろいろ話しながら料理ができていくのを眺める時間が嬉しい割烹である。

1月にいただいたコースをご紹介しよう。

睦月 大寒と書かれた最初の一品は、「ブロッコリー摺り流し」だった。

ブロッコリーの柔らかい甘みが滲んだ汁で、体がゆっくりと温まっていく。

続いては富士型椀に入れられた「鰆白味噌仕立て」が運ばれる。

あぁ、しみじみとうまい。

炭で炙った鰆が椀種で,椀妻には海老芋、京にんじんが、吸い口には柚子が添えられる。

白味噌の汁が体の隅々にまで染み渡り、完全に外気の寒さから解き放った。

「ブロッコリー摺り流し」でこわばっていた喉を開き、この汁物で体中を弛緩させたようだった。

続いてはお造りで、「鮮魚旨ゼリー」と書かれている。

鯛に塩をしてオリーブオイルかけ、コウシンダイコンの昆布締めをのせ、土佐酢ゼリーをかけてある。

赤く輝く色合いが、目に刺さる。

晴れやかな気分を呼ぶお造りである。

続いて「鰤しゃぶ」が出された。

大根おろし、麩 、水菜 、柚子胡椒を添えて。

脂がのったブリが、しなやかに口の中で崩れていく。

冬への感謝が生まれる瞬間である。

続いての焼き物は、ウナギの蒲焼きであった。

焦げがなく、均一な飴色に焼かれている。

一口食べて既視感を感じた。

そう、先日記事にした、「鰻HASHIMOTO」の蒲焼きと似ているのである。

【記事】うなぎの肝!ひれ!レバー!ホルモン!絶品うな重の前に串焼きでまず一杯!高知市堺町「鰻HASHIMOTO」

聞けば、「鰻HASHIMOTO」と同系列で、ご主人もそこで少し修行したのだという。

白焼きして、一回軽く蒸してから、蒲焼きにしたのだという。

いい焼きである。

ふんわりとしてうなぎ本来の旨味がある。

付け合わせは、高知県産実山椒を炊いたものと酢漬けカリフラワーで、うなぎの味わいを一旦切って、再びうなぎに向かわせようという、心憎い添え物である。

続いてはおしのぎで、「蕪菊菜粥」が出された。

柔らかく炊いたカブラのお粥にカラスミが散らされ、天に茹でた菊菜があしらわれている。

心が座る慈愛に満ちた味わいでなあ。

でも、カラスミの風味で、酒も飲めるぞ。

強肴には、「黒毛和牛と下仁田葱」が出された。

和牛は炭火焼きにし、味醂と醤油のソースに、下仁田ネギの青い部分はソースにし、白い部分は焼いて添えられてある。

手前のネギソースをたっぷりからめて食べるといい。

ネギの甘みと牛肉の脂の甘みが同調する。

締めのご飯は、「桜海老の釜炊き御飯」であった。

桜海老は一緒に炊き込み、上に揚げた桜海老を乗せてある。

岩田醸造の金山寺味噌と自家製柴漬け、赤出汁と漬物である。

金山寺味噌を出されるところが和歌山出身らしい。

甘みは、抹茶ティラミスに炊いた黒豆、高知県産の栗。

最後にご主人の写真を撮らさせていただくと、いかにも人懐こそうな顔をして笑われた。

こんな笑顔を作る人の料理は、信頼できる。

 高知県高知市廿代町7-23「峯岩」にて