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【高知グルメPro】うなぎの肝!ひれ!レバー!ホルモン!絶品うな重の前に串焼きでまず一杯!高知市堺町「鰻HASHIMOTO」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

この情報は2024年2月11日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす「美食おじさん」ことマッキー牧元さんが、高知の料理店・生産者さんをめぐる「高知満腹日記」。今回はまだまだあった!高知の絶品鰻屋「鰻HASHIMOTO」にお邪魔してきました。

高知はかつて日本有数の養鰻王国であった。

清流として名高い、四万十川や仁淀川を目指して、遠くフィリピン沖からうなぎの稚魚が北上し、川で太って海に戻っていく、最良の環境にあったからだろう。

今でこそ鹿児島に取って代わられたが、盛んに養鰻が行われてきたという。

その関係で、鰻屋が多い。

このコラムでも四万十市「四万十屋」、佐川町「大正軒」、高知市「うなぎ処 福」「ひろめの鰻処 まん」「源内」「かね春」、南国市「かいだ屋」と、多くの鰻屋を取り上げてきた。

しかし、まだ知らない、素晴らしい鰻屋があったのである。

「鰻HASHIMOTO」でメニューを開けて、嬉しくなった。

「うな重」や「白焼」「肝焼」という定番料理だけではなくて、肝臓と腸、ヒレ、背びれやつくねなどの珍しい串ものがあるではないか。

早速、蒲焼きを焼いて貰う前に、串焼きを、蕎麦前ならぬ「うな前」としていただくことにした。

運ばれた串焼きは、写真右からカブト、ホルモン(腸)、ヒレ、レバー(肝)、背びれという布陣である。

やや苦味を感じるレバーやホルモン、ふんわりとした食感の背びれなどを楽しみながら、ビールをやる。

次につくねが運ばれた。

今まで全国で多くのうなぎ屋にでかけたが、つくねは珍しい。

皮を引いたひき肉に、玉ねぎ,蒲焼を入れ、片栗粉少し入れて団子状にまとめたものだという。

卵黄とマスタードのソースをつけて食べれば、これまたビールが恋しくなる逸品である。

さあ、今度は白焼きが運ばれた。

こいつは、塩かわさび醤油でいただこう。

ひとくち、かじってみれば、口内にうなぎの香りが広がった。

脂の乗った白焼きを塩やわさびで締め、そこにすかさず燗酒を流し込む。

なんとも幸せな時間がやってくる。

さあ、いよいよメインイベントのうな重が運ばれた。

焦げが少なく、一面鼈甲色に焼かれた蒲焼きが御飯の上で鎮座している。

蒸さずに、さばいてそのまま焼く、高知独特の「地焼き」ならではの、カリッと弾ける表面が香ばしい。

それでいて中は、蒸しを入れたかのようにふんわりしている。

その対比がいい。

うなぎを綺麗に焼いてやろうという思いが現れた蒲焼きである。

タレはキレが良く、ご飯固めで、吸い物は淡い味わいで、鰻をもり立てる。

さらには、仁淀川産の山椒が素晴らしい。

苦味が一切なく、体を浄化するかのような、鋭く爽やかな香りだけが立ちのぼってくる。

そのため、うなぎの邪魔をせず、調和を生む。

目を閉じれば、深山に踏み込んだような感覚に包まれる。

実だけでなく葉も入れているとのことだから、これほどまでに鮮やかな緑色をしているのだという。

「この仁淀川山椒使ってから,ほかの山椒使えなくなりました」。

そう、ご主人の橋本 尚武さんは言われたが、まさしく仁淀川の澄んだ空気と水をそのまま表している山椒である。

「うなぎは地焼き独特のカリ感があるのに、ふんわりもしている。他にはないですね」。

そう伝えると、橋本さんは言われた。

「個体差があるんですが、それをいつ食べても同じ美味しさに焼き上げるか。そこを目指しています」。

蒸しだとそのあたりは調整できる。

しかし、地焼きだけだと、難しい。

「炭と鰻の距離感を常に意識しています。ほかでは必要な脂まで焼いちゃう傾向にありますが、必要な脂を残しつつ,表面をカリッと焼くように目指しています。しかし、しっかり焼けていないと中がふわふわにはならない。最初の返しを我慢し、焼き面の具合を見なくとも音や煙、身の砕け方、串を持った重みなどで判断します」。

いかに自分の感覚をそこにもっていくか。

日々研鑽しながら、理想に向かって技術と感覚を高めていく。

そのことを重ねられてきたからこそ、いつ食べても美味しい鰻がいただけるのである。

高知県高知市堺町1-12「鰻HASHIMOTO」にて