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「シャリッ!!ひとつひとつ我が子のように育てた、甘いスイカのみずみずしさに、あなたはやられる。」食べ歩きスト・マッキー牧元の高知満腹日記 その86

       

この情報は2020年2月2日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」

「いつも見ているので、行く末もわかるんです」。

香南市で「アンテナスイカ」を作る、江本農園の江本さんはそう言われて、我が子のことを話すような優しい目になられた。

1つのハウスで年に3回作付けし、種まきから約3ヶ月で収穫 されるスイカは、一つの茎に一つしか実らさない。

「それぞれのスイカの個性を生かし、小さくとも美味しく育てる」ためである。

糖度が上がって美味しくできたかどうかは、叩いた音で判断する。

八百屋や果物屋の店頭で、ポンポンと手のひらで叩いて確かめる、あの方法ではない。

指で弾いてみて、低めの音であったら熟しているということである。

試しに弾いてみた。

パンという音のやつもいれば、ボンという低めの音のやつもいる。

それをその場で割って、食べさせていただいた。

みずみずしい。

スイカの精が、前歯でシャリッと弾け飛ぶ。

甘味が広がっていくが、甘さがいやらしくない。

甘味の純度が高く、濃いのだが澄んだ甘味である。

だから困ったことに、一切れ食べると、無意識のうちに、またもう一切れに手を伸ばしている。

そんなスイカである。

聞けば、甘さは糖度計では計れないのだという。

おそらく単純な糖度だけでなく、香りや食感などの質とバランスが取れてこそ感じる甘さなのだろう。

またシャリシャリがスイカの素晴らしさだと思っていたが、それは糖度とは関係ないという。

だがフワフワになると、いい面も悪い面も一緒に出てしまうらしい。

黒い種は、完熟の証。

しかし、食べ頃を逸すると 種の周りの果肉が白っぽくなり、スカスカでシャリシャリがなくなってくる。

江本農園では、樹上完熟を見極めて収穫しているので、収穫したてが一番美味しいし食べ頃。

スイカはメロンと違い、追熟はなく、採ってからしばらく置いても甘くならないので、鮮度が命なのだ。

そして、一番いい状態で採り、送る。

「だから直販にこだわりたいのです」と言われた。

家族が集まる日から逆算して、江本農園からスイカを送ってもらう。

届いたスイカを割って、家族で頬張る。

こんな幸せが一年中味わえるのである。

そうだな僕なら、こんなにもみずみずしいスイカを生かすために、スイカだけを挟んだフルーツサンドを作ってみたい。

ふわりとパンに歯が沈み込むと、少しだけいれた生クリームが舌に流れ、スイカがシャリッと音を立てて弾け飛ぶ。

清々しい甘みが弾け飛ぶ。

この江本農園のスイカなら、パンにもクリームにも負けず、鮮やかな水分を保つだろう。

そうだなお相手は、このスイカを絞ったジュースとウォッカを割った、サマーソルティードックか、ホワイトラム、シュガーシロップと合わせた、スイカのモヒートだね。

ああ、早く作りたい。

 

高知県香南市夜須町手結山「江本農園」にて