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【高知グルメPro】初体験!酢味噌うどんを地元人気店でいただく「手打うどん田吾作」フードジャーナリスト・マッキー牧元の高知満腹日記

この情報は2025年4月20日時点の情報となります。

フレンチにエスニック、割烹にとんかつ、居酒屋から立ち食い蕎麦まで、年間700軒食べ歩き、料理評論、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす、食べるプロ「食いしんぼおじさん」ことフードジャーナリストのマッキー牧元さんが高知の飲食店・生産者さんをまわって紹介する高知家の〇〇の人気連載記事「高知満腹日記」。今回は、高知県香南市野市町にある、地元民に人気の「手打うどん田吾作」におじゃましてきました。

長い間うどんを食べてきたが、まだ知らないうどんがあった。

高知市から車で30分ほどの香南市野市町に店を構える「手打ちうどん田吾作」の「酢みそうどん」(550円)である。

高知のうどん屋には、すでに20軒近く行ったが、この品書は初めてである。

高知のうどん屋お約束の「おでん」が湯気を立てている、明るい店内の席に着き、「酢みそうどん」を頼んだ。

うどんが運ばれてくるまでに、おでんをつまむ。

高知に幾度となく足を運ぶうちに、うどん前のおでんがすっかりお約束になってしまった。

さあ、「酢みそうどん(冷)」(550円)が運ばれてきた。

うん。

一口食べて唸った。

冷たいうどんに酢味噌がかけられただけのものだが、酢味噌とうどんが実に合うではないか。

うどん自体のほのかな甘みと酸味、味噌の塩気と旨味が重なり合って、別天地へ運んでいく。

よくよく混ぜていただけば、こりゃあ、酒のつまみにしてもいいぞ。

さらに、ここへ醤油を少しと柚子酢かけると、味の輪郭が強まった。

これも美味しい。

だが僕は、酢味噌とうどんだけの関係に軍配をあげたい。

次にお願いしたのが「みそかけうどん(温)」(510円)である。

あれ?味噌がかかっていないじゃないか。

そうか、店内で売っているおでん用の味噌を好きなだけかけて食べるうどんなのだ思い、

「これをかければいいんですか?」

そう聞くと、これで出来上がりなのだと、おばちゃんがいう。

よく見れば、薄い薄い色あいの味噌汁だった。

つまり味噌汁の具がうどん。

そういうことなのね。

「みそかけうどん」の「かけ」は、「かける」ということではなく、「かけうどん」の「かけ」なのであった。

続いて、品書きに見つけてしまった。

「ラーメン」(550円)である。

うどん屋のラーメンは、ラーメン専門店の味と重ならない。

一言で言えば、優しいのである。

一口食べたて、「うまっ!」とはならないが、じわじわと旨味が顔を出してくる穏やかさがある。

以前、別のうどん屋で食べたラーメンもそうだった。

ここのラーメンもまた、主張が強すぎない。

ご主人に聞くと、

「うちのラーメンは、「中日そば」を食べて、僕が作るのがおいしいのではないかと始めたんです」。

「中日そば」とは麺が中華麺、出汁つゆがうどんつゆという、高知のご当地ラーメンである。

〆は「カレーうどん(温・生卵入り)」(890円)と、いってみよう。

ここまでの麺料理は皆優しかったが、これはパンチがある。

辛さも後から湧き出てくる。

汁はまろやかなのだが、奥底から舌をキックする味の強さがある。

ここに柚子酢を入れると面白い。

酸味が辛さをまろやかにしてくれる。

揚げ玉を入れても楽しい。

「田吾作」は、36年やられているのだという。

うどんは細めだが、昔はもう少し太く、粉が代わって細めにされた。

「酢みそうどん美味しかったです、誰でも考えそうなのに、ここにしかない料理ですね」

と聞くと、

「まかないとして酢味噌と柚子をかけて食べていたのが、表の品書きになりました」

と言われた。

高知のうどん屋のオリジナリティは、とどまるところを知らないのである。

店舗情報

手打ちうどん田吾作

住所:高知県香南市野市町西野2545-1

電話:0887-56-3443

営業時間:11時~15時

定休日:月曜日