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【高知グルメPro】地元愛されイタリアンから人気の和食屋に夜の〆の屋台餃子までそろう「廿代町」のおススメグルメ6選 食いしんぼおじさんマッキー牧元の高知満腹日記セレクション
この情報は2024年7月14日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす美食おじさんことマッキー牧元さんが高知の美味しいお店や生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は、ランチで洋食までいただけるフレンチレストラン「三木ドゥーブル」にお邪魔してきました。
高知の中心エリアの帯屋町に店を構える「三木ドゥーブル」にランチをいただきにお邪魔した。
白いスープが,テーブルに置かれた。
ヴィシソワーズ である。
一口飲んで,心が緩む。
「ああおいしい」と、思わず呟いた。
昔、食べ歩きの先輩から,「スープのうまい店は,いい店だよ」と、教えられたことを思い出す。
ひんやりとして、液体の中に潜んだじゃがいもと西洋ネギの甘みが、丸くなじんで舌を包む。
丁寧な仕事が感じられるスープに、これからの料理に期待が膨らむ。
やがてランチメニューのひとつ、キッシュが運ばれた。
いつもならキッシュは選ばない。
あまり味の差が出ないからである。
だが、「じっくり炒めた玉葱とプティサレ(塩漬け豚)のキッシュ」という言葉に惹かれたので、頼んだのであった。
いい。
プティサレの練れた塩分と滋味が、玉ねぎの甘さの中に染み込んでいて、しみじみとうまい。
こいつとバテドカンバーニュを交互に食べる幸せは、フランス郷土料理ならではである。
昼なのに、ワインが恋しくなった。
続いて登場したのが、「四万十ボークミラノ風カツレツ 温野菜のヴィネグレット和え」である。
細かい衣で薄切り肉を香ばしく揚げてある。
これが四万十ボークの力だろうか。
薄いながらも豚肉の甘みが噛むほどに増していく。
続いても豚肉料理、「窪川ポークロースのコンフィ 生ハムとグレープフルーツのサラダ」が運ばれた。
低音の油でじっくり煮込まれた豚肉は、噛めばホロリと崩れて柔らかい。
脂身の甘みが立ち上がり、肉の味がしっかりと舌に乗って来る。
これもワインが恋しくなる。
料理を食べた瞬間に、無性にワインが飲みたくなることこそが、フランス料理のエスプリである。
付け合わせのマッシュポテトや蕪のソテーも、センスがあって、心憎い。
ここまでは歴としたフランス料理だが、あえて洋食風料理も選んでみた。
「Bランチ」は、チキンソテー、オムレツ,カニクリームコロッケの盛り合わせである。
コロッケもタルタルソースも、王道洋食のご飯が恋しくなる味に仕上がっている。
半熟に仕上がったオムレツは上出来で、チキンソテーは肉汁をたっぷりと溜め込んでいる。
この3点を交互に食べる幸せがあって、思わず子供みたいな笑顔になっちゃう。
この他にも、フランス産骨つき地鶏のコンフィや、小鴨のロティ、仔羊背肉ロティ、オリーブ牛もも肉ロースト、黒毛和牛ロースト、魚のランチやハンバーグ、ロースカツレツなどがメニューにあり、仕込みが相当大変なんだろうなと思う。
食後に三木シェフに聞いてみた。
「大変です。でもいろんな料理を楽しんでいただきたくて」と、べつに大変ではないよ、という口調で話された。
元々お父様が、東京ホテルオークラのオープニングスタッフとして料理人をやられていて、四万十出身のお母さんの関係で東京から移住し、50年近く四万十町の窪川で洋食屋をやられていたのだという。
三木シェフは、東京銀座のマリオットホテル で働き、高知に戻って店を出され、もう23年目になるという話だった。
夜は予約のみで基本はコースだが、アラカルトで食べたいお客さんもいて、それにも対応しているのだという。
お客さん本位の方なのである。
夜のスペシャリテとしては、四万十出身ということで、窪川豚や四万十ポーク、米豚を、常時出されている。
さらには、四万十産のアスパラ、四万十の鮎を低温で焼いて仁井田米とリゾット にし、青海苔をアクセントを添えた料理や、冬には特定の猟師が捕獲した猪や鹿を出すのだという。
これは困った。
昼ごはんで満足している場合ではない。
夜も来なくてはいけないではないか。
高知県高知市帯屋町1丁目「三木ドゥーブル」にて