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四国銀行に就職したら山で研修するらしい!?新入行員が山から学ぶ大切なこととは

       

この情報は2024年5月7日時点の情報となります。

銀行に就職!なのに研修は山の中!?

新入社員研修といえば、事業に関する基礎的知識を身につけるために座学をしたり、ビジネスマナーを身に付けたりといったことが一般的だろう。

しかし、四国銀行の新入行員研修は一味違う。銀行員なのに、なんと「里山整備」の研修があるのだ。

里山整備研修は2024年から新しく取り入れられた研修で、58名の新入行員が3グループに分かれて間伐に取り組むという内容だ。

今回、銀行員が山の中へ!?という変わった研修に密着させてもらった。

 

初めての山道、初めての間伐に悪戦苦闘

研修の場となっているのは、香南市野市町。高知市中心部から車で30分ほどの場所にあり、「のいち動物公園」を三宝山方面に少し登った先にあるのが今回の研修の現場だ。

太平洋や香長平野を見渡せる場所に少し開けた休憩できる場所があり、そこからヒノキが植林された森へと入っていくことができる。

四国銀行は、2021年からこの場所でヒノキ林の間伐や雑木処理、下刈りなどを行い、健やかな森を育てるボランティア活動を年2〜3回の頻度で行なっている。

こうした活動は、高知市で森林保全のためのボランティアを行う「こうち森林救援隊」のメンバーと共に行なわれており、これまでの参加者は四国銀行の行員やその家族を中心にのべ200名を超えている。

今回は、こうした森林環境保全のための活動を新入行員にも体験してもらうというもの。

貫禄ある「こうち森林救援隊」のメンバーとは対照的に、フレッシュな新入行員は少し緊張の面持ち。

ヘルメットやチェーンソーから体を守る防護服を装着したら、いざ山へ。

この辺り一体は「県立のいち総合公園」という県有地。そのため、山の一部には階段など歩きやすいよう整備がされているが、少し逸れると数十年前に植林されたヒノキが密集する手付かずの植林地となっている。

傾斜があり、足場の悪い山の中を歩いてそれぞれの持ち場へ向かう。

参加者の中には、木にしがみついて体を安定させる姿も。それほどまでに不安定な足元が続いている。

ようやく持ち場についたら、説明を受けてから間伐に取り掛かる。

事前にチェーンソーの使い方や伐採の仕方は説明を受けたが、やはり最初はチェーンソーの大きな音に怖さを感じてしまう。

恐る恐るだが、初めての伐採が成功。

感想を聞いてみると、「怖かったですが、木が倒れる瞬間は気持ちいい!」と爽快感を感じているようだった。

間伐や「玉切り」と呼ばれる幹を丸太に切断する作業を行うだけでなく、作業する中で「なぜ間伐をするのか」「どうしてこの木を選んだのか」「どの方向に倒すのか」という問いが「こうち森林救援隊」メンバーから投げかけられる。

体を動かすだけでなく、里山整備の奥深さに触れ、環境保全について考える機会となった。

傾斜のある山道を歩き、間伐に取り組んだ新入行員の面々。4月だというのに、作業後には汗だくに。

「山に入るのは思ったよりも大変だった」「銀行員になって、まさかこんな研修があるとは思っていなかったが、初めて間伐をし、四国銀行の地域振興の取り組みを知ることができたので今後の業務に活かせそう」といった声が聞かれた。

自分たちで玉切りしたヒノキはお土産にお持ち帰り。帰りの車の中では、ヒノキのいい香りが広がったことだろう。

 

地域を知り、地域のこれからを考えるスタートライン

そして、昼食は物部川エリアの地元食材をふんだんに使った「ものべん」。

香美市で採れたタケノコの煮物や近くの手結港に揚がったシイラの甘酢あんかけ、小夏など春の食材が並んだお弁当。

こちらのお弁当は、物部川エリアの観光地域づくりを行う「(一社)物部川DMO協議会」が提供するものだ。

体を動かしてお腹が空いているので、一層美味しい!

お腹を満たしたら、午後からは銀行に戻りグループワークを行う。

午前中に体験した里山整備や地域貢献をテーマに事業アイデアを出し合い、プレゼンテーションを行なった。

こうした研修を取り入れた経緯について、担当の四国銀行総合企画部の青山浩さんにお話を伺った。

-新入行員研修で里山整備に取り組むというのはかなりユニークな取り組みかと思いますが、きっかけなどを教えていただけますか?

青山さん:4月に実施する新入行員研修(20日間)では、ビジネスマナーやコミュニケーション、金融や銀行業務の基礎知識を学ぶとともに、お客様対応を想定したロールプレイングや端末研修といった実践的な研修を実施しています。今年からは、それに加えて里山整備の研修を取り入れました。これは四国銀行が取り組む地域貢献活動や環境保全の取り組みを知り、考えてほしいという思いからです。この経験をきっかけに、四国銀行の一員として地域振興に取り組んでもらえたらと思います。

銀行の仕事は地域を知り、暮らしを知り、営みを知るところから始まる。

新入行員研修で里山整備というと少しミスマッチなように感じたが、銀行員として必要な視点を身につけるための研修であったことが分かった。

銀行員として歩み出した、58名の若者たち。

地域のこれからを考える銀行員として、一人ひとりが自分らしく仕事を楽しんでいってほしい。

 

四国銀行の環境保全の取り組みについてはこちら(↓)から
https://www.shikokubank.co.jp/profile/kankyo/

 

文/長野春子