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高知から全国へ!印刷会社が運営するペーパーアイテム専門店「ペーパーメッセージ」

       

この情報は2023年7月6日時点の情報となります。

高知・東京・大阪に3店舗を展開する、ペーパーアイテム専門店「ペーパーメッセージ」。
店内に足を踏み入れると、色とりどりのカラフルなオリジナルイラストが描かれたアイテムが所狭しと並び、心躍る空間が広がる。
こちらのお店を運営しているのは、創業85年を迎える印刷会社「本山印刷」だ。
今回は、ペーパーメッセージ事業部の代表・本山珠里さんにお話を伺った。

全国にもここだけ!?オリジナルの紙ものが豊富に揃う「ペーパーメッセージ」

高知・東京・大阪と3店舗を展開するペーパーメッセージ。

高知のお店があるのは、高知市中心部の帯屋町商店街から一本南側。おびさんロードに面した場所にある。

お店で待っていてくれていたのは、本山印刷の取締役で、ペーパーメッセージ事業部の代表を務める本山珠里さんだ。

歴史ある印刷会社が、なぜペーパーメッセージというブランドを立ち上げ、小売事業をスタートさせたのか、その歩みを振り返っていただいた。

本山さん:ペーパーメッセージを立ち上げたのは、2009年のことです。立ち上げ前には2〜3年ほどの構想期間があり、県が主催する起業セミナーなどに参加しながら、計画を固めていきました。

-なぜペーパーメッセージを立ち上げようと思ったのでしょうか?

本山さん:そもそも、この事業を立ち上げようと思ったきっかけには二つの理由があります。一つ目は、印刷業を取り巻く環境の変化です。厳しい価格競争やデジタル化の波の中で、印刷業としてどうやって生き残っていくかを考えなければならなかったこと。そして二つ目は、お客様に向けて自社の価値をどのように伝えていくのかということです。今ある設備・人を活かし、さらにデザインという力が加われば、お客さまの思いに応えることができるのではないかと考えました。そして行き着いたのが、紙やインク、印刷の魅力が詰まったお店を開くことでした。

印刷業はBtoBと言われる企業間の取引がメイン。そのため、個人のお客さまに商品を販売する小売業への挑戦は初めて。さらに、お客さまの注文品でなく、自社のオリジナル商品を作ることも初めて。

すべてが初めてという状況の中でも、本山さんの思いは明確だった。

本山さん:紙・印刷・加工・デザインに工夫を加え、印刷のおもしろさを伝えるお店にする。そこだけは、当初からずっと変わらない思いです。

そうして、2009年に会社のすぐ近くにペーパーメッセージ1号店となるお店がオープンする。

 

お客さんが来ない!苦難の連続だった開店当初

本山さん:開店当初はまったくお客さんに来てもらえず、オープンから1年ほどの期間は今思い出してもゲンナリしてしまうほど大変でした。笑

手応えを感じられない日々だったが、イベントに出店するとたくさんのお客さんがペーパーメッセージの商品を「かわいい」と手にとってくれる。


写真:開店当初は、シンプルなカッティングカードがオリジナル商品の主力だった。

また、専属イラストレーターとの出会いもあり、生まれる商品の幅もグッと広がっていった。

「商品は間違っていない。知られていないことが問題だ」と、高知の中心商店街への移転を決める。

そうして、2011年に現在の帯屋町店がオープンしたのも束の間、なんとその翌年には東京・吉祥寺に2号店がオープンする。

本山さん:東京には、小さくても独自な取り組みをしている印刷屋や文具店、雑貨屋などがたくさんあります。イラストレーターと話している中で、私たちも東京で勝負をしたいという思いが強くなり、東京への出店を決めました。しかし、高知でもまだまだ十分な売り上げを上げられていた訳ではなく、周りは大反対。それでも、これは絶対やらないといけないという強い思いで、なんとか周りを説得し、オープンさせることができました。

その後、吉祥寺店がきっかけとなり、大手アパレルメーカーのノベルティ制作を受注するなど、仕事の幅は広がっていく。

本山さん:地方にある会社でも、デザイン力や企画力が東京で評価してもらえ、仕事がいただけるということが自分たちの自信になりました。

そして2020年には、大阪・天満に3号店がオープンした。

現在では、文具や生活雑貨を扱う「LOFT」の店舗を巡回するポップアップを開催するなど、日本各地で認知度は高まっている。


写真:一輪挿しの花瓶と花を自由に組み合わせることのできるカードは、数ある商品の中でも人気の商品。

 

高知から全国へ!高知の魅力を商品に落とし込む

ペーパーメッセージの商品ラインナップの中で、「土佐みやげ」というシリーズがある。


写真:「土佐みやげ」カワウソシリーズ。

高知の名物や名所、土佐弁がイラストになって、カードやシール、メモ帳やマスキングテープになっており、お土産物としてはもちろん、自分用にと買っていくお客さんも少なくない。


写真:「土佐みやげ」土佐犬ワイルドシリーズ。

本山さん:高知を訪れた観光客の方に対して、自分たちにしか作れないものはなんだろうと考え、「土佐みやげ」シリーズが生まれました。オープン初期から「土佐みやげ」の制作を始め、現在は商品数もだいぶ増えています。

本山さん:NHKの朝の連続テレビ小説「らんまん」の放送にあわせ、「博士の草花」という新しいイラスト柄が誕生しました。日本を代表する植物学者・牧野富太郎博士が命名した植物を描いていて、このイラストをきっかけに牧野博士や牧野植物園のことを知ってもらい、高知に足を運んでもらえたらという思いが込められています。

こちらのイラストは、四国銀行が顧客へ配る頒布品のデザインにも採用されている。

四国銀行の担当者である営業統括部竹内さんに、今回の頒布品にペーパーメッセージのデザインを採用した理由を伺った。

竹内さん:元々、ペーパーメッセージさんにはノベルティのデザインや路面電車のデザインを依頼していました。今回、「らんまん」放送に合わせて、高知県の観光博覧会「牧野博士の新休日」が開催されるということで、地元銀行として盛り上がりの一助となるよう取り組めることはないかと検討していました。そんな時にこちらのイラストを拝見し、まさにピッタリということで、ティッシュ、ふせん、マスクケースの3種を作成いただきました。

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本山さん:地元の銀行さんや企業さん、また行政の皆さんからお声がけいただき、私たちのデザインを採用いただくのは何より嬉しいことです。東京や大阪で挑戦しながら、自分たちのデザイン力・企画力を磨き、地元高知で還元していく。それが、私たちが目指す理想の姿です。

ペーパーメッセージを立ち上げるきっかけとなったのは、決してポジティブな理由ではなく「なんとかしなければ」という使命感だったかもしれない。しかし、「印刷の楽しさを伝えたい」という本山さんの思いに共感してイラストレーターやデザイナーなどスタッフが集まった結果、店内に並ぶ商品はどれも楽しく、ワクワクするものばかり。

立ち上げから14年。苦難の連続だった数年間を耐え抜き、ペーパーメッセージは芽吹き、花咲く季節を迎えている。

 

 

ペーパーメッセージ 帯屋町店

住所:高知市帯屋町1丁目13-23 アベニュービル1階
TEL:088-822-1156

文/長野春子