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【高知グルメPro】地元愛されイタリアンから人気の和食屋に夜の〆の屋台餃子までそろう「廿代町」のおススメグルメ6選 食いしんぼおじさんマッキー牧元の高知満腹日記セレクション
この情報は2023年6月25日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす「美食おじさん」ことフードジャーナリストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は前回に続き、高知のイノベーティブレストラン「IHARA」の料理を紹介します。
前回に続いて、井原尚徳シェフがやられている高知のイノベーティブレストラン「IHARA」の料理をご紹介したい。
【前回記事】フレンチでもイタリアンでもないイノベーティブレストラン「IHARA」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記
アミューズ、前菜と続いて、ワインが出された。
ギリシャワイン「クシノマブロ」のロゼである。
ギリシャのナウサ地区の石灰質の土壌で作られるロゼワインで、赤茶色がかったロゼの色合いが美しい。
プラムやラズベリーの香りのニュアンスが感じられ、紅茶やハーブ、オレンジの香りもほのかにする。
その優しい香りに、食欲がぐっと湧いてきた。
こちらの井原シェフは、前職の「ヴィラサントリーニ」がギリシャのサントリーニ島をイメージして作られており、店にはギリシャワインがたくさん用意されていた関係で、彼も精通している。
この旨味たっぷりのロゼワインが、高知の気候とも合うことを知っているのだろう。
さあ、前菜二皿目が運ばれた。
「貝のスープ」である。
一口飲むと、海がそこにあった。
鮑、赤貝、長太郎貝、蛤の出汁に、ニラや野菜の出汁を合わせ、ゆっくり火をいれたという。
地牡蠣とフロマージュブランペーストを下に敷き、昆布だしに紫蘇、四万十青海苔と足摺岬の海藻も加えている。
鮑はコールラビと長時間茹でたという。
手間暇という滋味にあふれていて、海の豊穣が押し寄せてくる。
しばし、うっとりとなっていると、三皿目の前菜が運ばれた。
「海老のフラン」である。
赤牛とハチキンのコンソメ、真鱈の白子焼き、フキノトウオイルが加えられている。
何よりエビの優しい甘みに富んだ、フランの美味しいこと。
口に運ぶたびに穏やかな気分を運んでくる。
ローストした黒胡麻を練り込んだフォカッチャが出され、次の皿は「マンボウの腸」である。
世界中のイノベーティブレストランやイタリアン、フレンチの中で、マンボウの腸を出しているのは、ここだけだろう。
高知県民にはおなじみのマンボウの腸は、マリネして焦がし、菜花と金柑、フルーツトマトの蒸し焼きを添え、猪のラルド(塩漬け熟成させた背脂)の粉末と高知の地鶏である土佐ジローの卵がかけられている。
マンボウの腸はミノのような食感で、上に乗せられた様々な旨味といただくと、表情を変える。
合わせたのは、高知のよさ来いワイナリーで作られるワイン「雄宝」というワインである。
雄宝というシャインマスカット系ぶどうを皮ごと醸造し、オレンジワインにしたものである。
すっきりとしていて香り高く、この旨味の重なりと次の魚料理を持ち上げてくれる。
魚料理が運ばれた。
ヒラメである。
ホタテのペーストを巻いてホエーでマリネしてからソテーしたという、ヒラメである。
食べれば、実にエレガントで、ワインが恋しくなる。
白ワインと木の芽のヴァンブランソースも酸味と深い旨みがあって、さらにワインを呼び込む。
生きくらげや焦がしバターで炒めてから作ったというじゃがいものミルフィール、魚とビーツのチュイルという付け合わせも心憎い。
そしていよいよ肉料理ときた。土佐あかうしである。
塩麹とぬたでマリネした肉を焼いてから少し燻したという。
塩麹で旨みが複雑となった赤牛に唸る。
折り重なった香りに酔う。
そこへすかさずジュブレイ・シャンベルタンを流し込めば、至福である。
これまた、付け合わせもユニークで手が込んでいる。
菊芋のガリとピュレ、グレープフルーツでマリネしてから、焼いた新玉ねぎという布陣であった。
付け合わせにも、高知の食材を駆使しながら、手をかけ、誠実に作られている。
そして締めは、ご飯であった。
四万十の竹内さんの仁井田米を、鶏と鯛の出汁で炊き上げ、キーマカレー仕立てで食べさせる。
添え物は生胡椒ゆず酢漬け。
香り高い米が、スパイス香を放つカレーを受け止める。
最後にまた一つ高揚させられてしまった。
さあ、あとはデザートである。
高知「IHARA」のデザートと名付けられたそれは、下には八朔のマリネ、そこへ柑橘と山椒のメレンゲ、マキノジンのジェラートが重ねられ、上からサフランのアイスパウダーがかけられる。
高知食材総動員のデザートは、甘さが抑えめながら、夢見心地になる美しさがあった。
続いて出された小菓子、カヌレや、ヘーゼルナッツやローズマリー、タイムをかけた焼きたてフィナンシェ、ピーカンナッツチョコを食べながら、改めて高知という土地が産んだ食材の豊かさと多彩さに感心し、その力に圧倒された二時間半を噛み締めたのであった。
高知県高知市はりまや町2丁目「IHARA」にて