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【高知グルメPro】地元愛されイタリアンから人気の和食屋に夜の〆の屋台餃子までそろう「廿代町」のおススメグルメ6選 食いしんぼおじさんマッキー牧元の高知満腹日記セレクション
この情報は2023年5月28日時点の情報となります。
立ち食いそばから割烹にとんかつ、フレンチにエスニック、そしてスイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす「美食おじさん」ことフードジャーナリストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する高知家の〇〇の人気連載記事「高知満腹日記」。今回は、仁淀川流域の人気ドライブインで美味しいカレーライスをいただくはずでしたが…。
仁淀川沿いの渓谷を走っていくと、やがてぽつんと建つ「ドライブイン引地橋」が見えてくる。
外に掲げられた看板には、「ドライブイン引地橋」という店名の上に、大きく「茶屋」と記されているのがいい。
旅する人をくすぐる名前である。
そのせいだろうか、一見どこにでもあるようなドライブインだが、昼時を大きく過ぎているというのに、なぜか車が多く止まっていた。
店に入れば満席である。
メニューを見れば、そばうどん類、カレーライス、ラーメン、丼物と、典型的なドライブイン的炭水化物オンリーで、攻めてくる。
実はここのカレーライスがおいしいと聞いてやってきた。
昔懐かしい、昭和育ちおじさんの胃袋をくすぐるカレーライスらしい。
「カレーライスをください」。
「すいません。今日はご飯が終わってしまったんです」。
なんと。
残念なお知らせに、すごすごと辞退する私ではない。
それでは作戦を変更して「天ぷらうどんをください」と、気持ちを入れ替えた。
やがて運ばれた天ぷらうどんは、予想を超えていた。
海老が2本 、長芋、南瓜、にんじん、インゲン、椎茸の天ぷらがのっているではないか。
こんなに多くの天ぷらが乗っている天ぷらうどんは、なかなかない。
すっかり嬉しくなってしまった。
天ぷらが多いため、次第に衣が剥がれて、たぬきうどん状態になっていく状態もたまらない。
ふやけた衣のふにゃふにゃが、うどんとからむ。
細いうどんと絡む。
そのちょっと下品な感じが、好きだなあ。たまらない。
やわやわのうどんとふにゃふにゃの衣という、情けない食感同士がいたわりあう優しさがある。
ふにゃふにゃ、つるり。
もはや歯の出番はなく、唇や舌や上顎に甘えっぱなしである。
つゆの色は濃いが、味は濃くない。
そのなにげないうまさも好きである。
「このうどん、天ぷらたくさんでおいしいわ」と、店のおばちゃんに話すと、
「天ぷらは、高知市の御畳瀬(みませ)から買ってきてるの。ちょっと高いけど、おいしいの」と言って、嬉しそうに笑った。
高知市まで45km、車でも一時間かかるとこへ買いに行っているのか。
意外にすごい。
すっかり気分を良くして、おでんも食べることにした。
入り口におでん鍋があって、タネを刺した串が乱立している。
それをお客さんたちが群がるようにして、次々と買っていくのだ。
テイクアウトする人あり。店内で食べる人あり。
「どうぞ好きなのを」とおばちゃんがいう。
残念ながらじゃがいも、大根は売り切れだったが、卵、こんにゃく、じゃこ天、すまき、ちくわ、牛蒡巻きと、次々に頼んでしまった。
「ここでお金払うんですか?」と聞くと
「いや後でいいです。おいしかったら払ってね」と、おばちゃん。可愛い。
おばちゃんの笑顔を見ていたら、無性にカレーライスが食べたくなってきた。
よし必ず、リベンジするぞ。
高知県吾川郡仁淀川町引地「ドライブイン引地橋」にて