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【高知グルメPro】作り手の人柄がにじむ香り高いうどんがいただける「さぬきうどん将元」食いしんぼおじさんマッキー牧元の高知満腹日記
この情報は2023年2月22日時点の情報となります。
これまでたくさんの記事をご覧いただいている「高知家の〇〇」ですが、その中でも人気だった記事や、まだまだみなさんにご覧いただけていないおススメ記事を「Back To 高知家の20○○」としてご紹介します!
今回は2022年3月1日にご紹介した、日本を代表する植物学者である「牧野富太郎」の名を冠したクラフトジン「マキノジン」を紹介した記事です。
これまでご愛読いただいている方も、初めて来たよという方も、是非お楽しみください!
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司牡丹酒造があるのは、佐川町の市街地。高知県中西部に位置し、高知市中心部からは車で約45分ほどの場所だ。
創業は1603年(慶長8年)。なんと、関ヶ原の合戦後まもなくという時代。
「酒蔵の道」として町内外から訪れる人の多い、情緒ある街並みの中に蔵はある。
酒造りが行われる時期には、一帯にふわっと酒の香りが漂う。
仁淀川水系の副流水を仕込み水として造るのは、辛口淡麗の日本酒。
写真提供:司牡丹酒造
食中酒として最適な、料理を引き立てる酒造りを行なっている。
今回は、司牡丹酒造の専務取締役 山岡徳生さんにお話を伺った。
ちなみに、山岡さんのお気に入りの商品は、看板商品である「船中八策」。
写真提供:司牡丹酒造
山岡さん:いい意味で「主役にならない」お酒です。淡麗辛口の純米酒で、食べながら飲むのに最高です。
現在、司牡丹酒造は高知市のバーテンダー塩田貴志さんとともにクラフトジン造りを行なっている。
【記事】高知の名バーテンダーが人生を賭けて世界一のクラフトジン作りに挑戦! 美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記
司牡丹酒造では焼酎造りも行なっており、焼酎庫には年代ものの焼酎が眠っている。
今回、佐川町出身の植物学者・牧野富太郎の名を冠したクラフトジン「マキノジン」に使われるのは、20年ものの焼酎だ。熟成を経て、まろやかで、コクや深みが増している。
牧野富太郎は「日本植物学の父」といわれ、2023年のNHK朝の連続テレビ小説「らんまん」のモデルとなることが決定した、今注目の偉人だ。
山岡さん:正直なところ、焼酎として美味しく飲んでいただけるものなので、クラフトジンに蒸留するのがもったいないなと感じることはあります。ですが、ジンとして生まれ変わることで、たくさんの人に愛される価値あるお酒として受け入れられるのですから、お酒っておもしろいですね。
写真提供:司牡丹酒造
マキノジンは、ボタニカルといわれる12種類の植物を漬け込んだ焼酎を蒸留し、貯蔵熟成させたもの。
ボタニカルには、牧野富太郎が妻の名前から命名した「スエコザサ」や、高知県産のブシュカン、生姜などを選定していて、スパイシーで香りが強く、エキゾチックな仕上がりになっているそう。
そして、蒸留には司牡丹酒造の1983年製の蒸留器が使われている。
山岡さん:こちらの蒸留器は、10年以上の間、使われることなく蔵で眠っていました。クラフトジン造りを通して、蒸留器が活躍することができたこと、蔵人がジンを蒸留する技術を学べたことなどプラスの効果がたくさんありました。
今回、塩田さんが持ちかけた「マキノジン」製造だが、司牡丹酒造は牧野富太郎とのつながりが元々あった。
山岡さん:実は、牧野富太郎の実家は酒造りを佐川町でしていたんです。「岸家」という屋号で、代々営んでいたそうです。
植物学を学ぶため上京する際に酒蔵を人手に譲り、のちに司牡丹酒造に譲られているそうなのだ。勉強部屋としても使っていたという蔵は、老朽化や自然災害の被害などで現存しない。
山岡さん:実は、この蒸留器がある場所が「岸家」の酒蔵跡地なんです。長い時を経て、こうして牧野富太郎ゆかりの酒造りがこの場所でできているということは、なんとも不思議なご縁ですね。
牧野富太郎が若かりし頃に勉強し、出入りしていた場所で、「マキノジン」が蒸留されているとは。驚きの事実だ。
山岡さん:再び牧野富太郎と関わり、ゆかりのある商品造りができるというのは、私たちにとって嬉しいことです。長期熟成された焼酎がクラフトジンとして生まれ変わるというのは想像していなかった未来ですが(笑)。ですが、酒によって食卓を豊かにするというのは、私たち司牡丹の酒造りと同じです。「マキノジン」と高知の食を、たくさんの方に楽しんでいただきたいですね。
不思議な巡り合わせで「マキノジン」を製造することになった司牡丹酒造。
日本酒、焼酎、そしてクラフトジン造りへ。これまでも、そしてこれからも新しいことへのチャレンジは続く。
牧野富太郎が生涯をかけて純粋に植物を愛したように、酒造りへの情熱は止まることがない。
司牡丹酒造
住所:高知県高岡郡佐川町甲1299
電話:0889-22-1211
文/長野春子