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高知の名店がこぞって使う小麦香る製麺所「佐竹製麺」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

       

この情報は2022年11月13日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹にとんかつ、フレンチにエスニック、そしてスイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす「美食おじさん」ことフードジャーナリストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する高知家の〇〇の人気連載記事「高知満腹日記」。今回は、マッキーさんがこれまでに訪ねた名店がその麺をこぞって使うという高知市の「佐竹製麺」を訪ねてきました。

高知では何回か、ラーメンや中国料理屋で湯麺を食べた。

その中で二軒頭抜けていた店がある。

ひとつは高知市内にある「弥栄園(みいろんゆん)」の「国産小麦のシンプル汁そば」である。

具はネギだけと言う潔いラーメンのスープは、ギリギリの塩味で、品のある滋味が口の中に広がり、体の隅々まで染み渡っていく。

そして麺をすすって目を丸くした。

甘い小麦の香りがする。

高知はうどんが美味しい県である。

つまりいい小麦を使って製麺されている県なのである。

当然中華の麺もおいしくなるということを、この料理が証明していた。

【関連記事】麻婆豆腐に焼売に芥藍菜のエビみそ炒め!中国料理を食べて知った高知の底力「中華料理 弥栄園(みいろんゆん)」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

もう一軒は、惜しまれつつ店を閉めた、キングオブ町中華の「宝永」である。

「鶏と豚だけでは味が出ない。だから必ず魚を入れる」という薄茶色のスープは、味が透き通り、優しいのだが、奥底にしぶとい滋味がある。

そんなスープを絡めて口元にのぼってくるのは、しなやかな極細麺である。

あまりの麺のうまさに、どこかと聞けば、高知市神田(こうだ)にある「佐竹製麺」だという。

「あそこはいい麺を作る」。

そうご主人は言い切った。

実は前者の「弥栄園」も「佐竹製麺」だったのである。

これは絶対製麺所を訪ねなくてはいけない。

そう思って、神田まで足を伸ばした。

小さな製麺所では、若き社長が出迎えてくれた。

聞けば県内の中国料理店やラーメン屋に、注文に応じた麺を作り卸しているのだという。

創業は昭和37年。

最初は卵麺だけを作っていたということだが、今は麺の種類が10倍以上増え、10数種類作られている。

評判が評判を呼び、取引先は順調に増えてゆき、人数も増やして多くの麺を製造するようになっていった。

しかし、コロナの影響を受ける。

数多くの店が営業を休止し、一気に売り上げが激減した。

そこで苦肉の策で構えた自販機が当たった。

生麺とスープをそれぞれに売る自販機である。

元々麺の評判がよく、近隣の方も麺を買いに来ていた。

そこへ自販機ができたということで評判を呼び、多くの人が訪れるようになったという。

そこで僕も麺を購入し自宅に送ってもらうことにした。

買ったのは、生パスタと中華細麺の卵麺のストレートと縮れ麺である。

自宅に送られてきた麺で料理をした。

まずは、生パスタでサルサポモドーロ、トマトソースのパスタを作った。

うむ。トマトの甘みに小麦粉の甘い香りがからんで、イタリア人でもないのにどこか懐かしい気分になる。

次に作ったのは、細麺で炸醤麺風冷たいつゆそばである。

つるると麺がつゆを絡めながら口元に登ってくる。

その唇当たりが実にいい。滑らかで心地よい。

調子に乗って、冷やし中華も作った。

これもストレート麺である。

麺の確かな食感が、優しい錦糸卵、しなやかなハム、煮汁を含んだ椎茸、爽快なきゅうり、シャキッと弾む紅生姜という役者たちと、絡み合うのが楽しい。

これも麺の存在感があってこそ生まれる楽しさだろう。

そして最後はラーメンを作った。

シンプルなラーメンで、「弥栄園」を見習いネギだけで、スープは豚と鶏で作ってみた。

麺は縮れ細麺である。

あぁ、うまい。

滋味深いスープを絡めなが口に入ってくる麺の美味しいこと。

スープと麺というこの料理の本質の美味しさがある。

こりゃあ、クセになる。

また取り寄せようっと。

高知県高知市神田「佐竹製麺」にて